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不死身の賢者  作者: @Tomo
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商隊護衛


「それでは、出発します!」


レイスル王国の王都から、コーラル王国の王都を目指す商隊を率いるグリッドの掛け声で荷馬車が動き出す。


二十代半ばに見える、小柄だけどもガッシリとした体格の男グリッドとは、昨晩初めて顔を合わせた。




「アルから話を聞いてます。クラン【黒狼】の皆さんですね?」


「『アル』?」


アルフレッド殿下のことを『アル』と呼ぶグリッドは、俺達の宿の部屋でそう切り出した。


「皆さんはスヴェインに関わる『武』で王国を支えて来られた方々と伺ってます。私は『情報』を持って王国に貢献してきたヘンドリックス家に属する者です」


「あのヘンドリックス子爵家の方ですか……」


ヘンドリックス子爵家とは、代々レイスル王国の情報機密に関わる貴族である。


「私は直系でなく傍系の家に産まれましたが、現子爵家当主よりアルフレッド第二王子殿下の学友として王室に送り込まれました」


アルフレッド殿下よりも少し年上に見えるが、我が儘なお坊っちゃまを相手に出来る様に、年長の御学友を用意したってところだろうか……


「殿下の御学友でいらっしゃいましたか」


「敬語はやめて頂けませんか?」


「いや、殿下の御学友であり……王室の諜報に関わられている方を相手に若輩の自分達が礼を失する訳には……」


「スヴェイン伯爵家の御子息にその様な物言いをさせた等と知れると、私が当主に怒られますので」


「俺はスヴェイン家から勘当された身ですよ」


「あなたがその様に思われてても、スヴェイン剣術の奥義を使われる方としての扱いはさせて頂きますよ?」


あれは王国の上層部しか知らない筈の話だ。

その情報を何処から?

アルフレッド殿下がボンボンとはいえ、御学友だからと重要機密を話すとは思えない……

ヘンドリックス子爵家の情報収集能力を、敢えて俺達に知らせてきたと考えた方が良さそうだな。


「表向きは『商隊の指揮者』と『護衛の冒険者』です。雇い主を相手に偉そうな態度は怪しいでしょう?」


まるで気付いてない様に、顔色を変えず答える。


「流石、狐と狸の集まりとしか表現仕様の無い貴族家で育った方達ですね。安心しました!」


なるほど、敢えて揺さぶりをかけて俺達を試した訳だ……


「では、合格したと判断させて頂いても?」


「勿論です。宜しくお願いします!」


アルフレッド殿下も良い性格をしてるな……

俺達を送り込む前に、諜報員として信頼しているグリッドに俺達が使えるかを試させたんだろう。

グリッドが帰った後、


「ウォルフも一応は貴族らしいこと出来たんだな?」


と、マークが喧嘩を売って来たことで一悶着あったが、商隊護衛としてコーラル王国への潜入は始まった。





「盗賊が道を塞いでます。【黒狼】の皆さん、お願いします!」


コーラル王国との国境近くまで商隊が進んだ頃、グリッドの緊迫した声が商隊に響いた。


「盗賊か……俺とマークが前に行くから、ユリア達は伏兵に備えて警戒して貰えるか?」


盗賊も余程窮していなければ『荷』と『金目の物』……この場合はユリア達『若い女性』だけを差し出せば、商隊の人間を皆殺しにすることはない。

そこまでしてしまうと、商隊の数が減る、護衛が大掛かりになる、何よりも死に物狂いで抵抗されて自分達にも被害が出てしまうといったリスクが増大するからである。

そして、『若い女性』を逃がさないために、周囲を塞いでいる可能性が高い。


「前方に六人……伏兵は五人前後ですかね」


「ユリア一人で十分な数ですわね。では、私は荷を護る結界を担当しますわ」


「じゃあ、私とユリアさんで警戒します!」


ユリア達の余裕は決して油断ではない。

盗賊になる人間というのは、軍人としてやっていけない、普通の仕事を続ける根気もない、そういった『駄目人間』である場合が殆どだからだ。

そんな人間を相手にスヴェインの門弟や、真面目に冒険者をして来たクリスが遅れをとることはない。


「じゃ、行こうか」


盗賊に向かってマークが無造作に歩きだす。

剣に精通した人間なら、身体の中心線が全くブレないマークの歩き方を見て警戒するだろう。

しかし、前方の盗賊達はニヤニヤと笑いながら俺達二人を囲もうとして来た。


「俺が二人で、ウォルフが四人な!」


寝言と共にマークが斬り込む。

剣を合わせる間も無く、マークは剣の腹打ちで盗賊二人の意識を刈ってしまった。


「なっ……」


驚いて固まった残りの盗賊に向けて魔力弾を撃ち込む。


「「「「ギャアァァァ……」」」」


倒れた仲間達に眼がいってた残りの盗賊達の急所に、俺が放った魔力弾が命中した。

かなり出力を落とした魔力弾だったが、意識の外から急所を突かれた盗賊達は一発で悶絶してしまった。


振り返ってユリア達を見てみると、何も動きはなかった。


「ウォルフ様、簡単に討伐し過ぎです。残りの盗賊達も一斉に逃げて行きましたわ」


あまりにも掛け離れた戦力を目にした盗賊の残党は既に逃げ出してしまったみたいだな。

危険察知能力は優れてるのか?


勿論、褒めてる訳ではない。

その能力をマトモに活かせと呆れてるんだよ、俺は!


拙作をお読み頂きありがとうございます。


毎日更新を心掛けてもうすぐ二ヶ月になりますが、ひとえに皆様のPV、評価、ブックマークから頂ける意欲のおかげと感謝しております。


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