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不死身の賢者  作者: @Tomo
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アルフレッド殿下の要請


トガチ村の休暇を終えた俺達は、新種の魔物の出現を伝えるためにハルムントの冒険者ギルドを訪れていた。


「君達のクランはどうなってるんだ?」


ギルドの応接室に通された俺達を前に、呆れた表情のギルド長が言い放った……


「新種の魔物の情報をギルドに伝えて、冒険者の安全を確保するのは冒険者の義務では?」


「そうじゃなくて、新種の魔物も……あのエルフもだが、未知の存在を簡単に討伐してるって話だよ」


「簡単じゃないんですけど……」


「若い冒険者五人のクランとは思えない実績なんだよ!」


「ギルドに協力的で、良いクランでしょ?」


「そこは助かってる」


新種の魔物、未知の魔法を使うエルフ、未踏のダンジョン深部の情報提供……

俺達の活動は立派なものだと思うけどねぇ……


「それよりも、本題だ」


表情を一変させてギルド長が切り出す。


「アルフレッド殿下から君達に要請があるとの伝言を預かっている!」


「「「「「ええぇぇっ!」」」」」


「殿下から直々の指名に嫌そうな返事をするなー!!」


『嫌そうな』じゃなく『嫌』なんだよ!

アルフレッド殿下からの依頼なんて、絶対面倒な依頼なんだから!

ギルド長も王族の面倒くささは知ってた方が良いぞ!

あっ、ホリーも王族みたいな扱いだった……

けど、一緒に嫌がってるから良いか……


「それで、要請の内容は?」


「君達に王都で直接伝えるそうだ……」


「……」


「だから、露骨に嫌そうな顔をするなー!」


ギルド長、あなたが怒鳴っているのは王国最高位の貴族であるリーヴァル公爵家の令嬢だ……

知らないってことは幸せなんだと思うよ?





「行かなきゃ不味いよなぁ……」


「そうですわね……」


「お前らを見てると、『貴族って何なんだ』って気分になって来るよな」


「これが師範の息子ですからねぇ」


「露骨に嫌がってますよね」


俺とホリーは貴族や王族の面倒くささを嫌ってほど知ってるんだよ、残念ながら……

外面しか見てない奴らには解らないだろうけど……


「仕方ない、行くか……」


アルフレッド殿下がどんな無茶振りをして来るのか……

不安の中、俺達は王都へと出発した。




転移を使わない行程を選んだのは、俺の魔術に関する情報の漏洩を少しでも無くすためだ。

馬車で一週間の距離を、身体強化の訓練を兼ねて二日で走り王都を目指す。

勿論、【大賢者】のスキルは使わない。

普段の鍛練が、スキルを発動した時の効果を上げることに繋がると判断したためだ。

俺のスキルは決して万能ではない。

普段の鍛練の結果を底上げするのが俺のスキルだ。

底上げ具合が常識外れだけども……




王都に着いた俺達は、冒険者ギルドに向かいギルド長と話をすることにした。

俺達のクランとアルフレッド殿下の繋がりは王都の冒険者ギルドを経由するため、ギルドを無視した型になるのは不義理と判断したからだ。


「要請に応じてくれたか、これで安心出来る」


「そんなに強く要請されてたんですか?」


ギルド長のホッとした顔から、アルフレッド殿下の要請がかなり強いものだったと推測する……


「いや、レイラから『ウォルフさんは極度の面倒くさがりですよ』と聞いてたから心配だったんだ」


「「「ああ……」」」


俺とホリー以外の三人が納得してるのは何でだ?

クランの代表に対してかなり辛辣な発言をしてるんだぞ!


「アルフレッド殿下には使いを出した。少しギルド内で待っていて貰えるか?」


「なら、下の食堂で待ってますよ」


二階のギルド長室を出た俺達は、一階にある食堂とは名ばかりの酒場へと向かう。

俺達、スヴェイン門下生は普段から酒を飲まないのでこの食堂とは殆ど縁がなかったが、冒険者がギルド内で時間を潰すならここしかないって場所なのは否定出来ない事実だ。


それほど待つこともなく、アルフレッド殿下の部下である近衛騎士がギルドにやって来た。


「クラン【黒狼】の皆様ですね?」


「はい、代表のウォルフ=マークスです」


「団長から近衛師団本部に案内する様に仰せつかってます。御同行頂けますでしょうか?」


格式張った近衛騎士の態度に不安が過る……

絶対に断れない無茶振りをして来るぞ、これは……


王国近衛師団長であると同時に、王国第二王子のアルフレッド殿下が一介の冒険者クランを相手にこれだけ礼を尽くすなんて普通じゃないよなぁ。

王族が平民を相手にするなら命令して来るのが普通だ。




不安を増した俺達は、近衛師団本部内の応接室へと通された。


「待っていたぞ!」


応接室には、アルフレッド殿下が一人で座っていた。


「クラン【黒狼】、殿下からの要請を受け参りました」


「まず座ってくれ」


流石、近衛師団本部の応接室だけあって、長めのテーブルに向かい合って座るソファーは高級な三人掛け用を二つ並べている。


「早速だが……」


アルフレッド殿下は前置きなく要件を切り出して来た。


お読み頂きありがとうございます。




拙作をブックマークに加えて頂いた方々ありがとうございます。


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