スキル【大賢者】
突如、訪れた真っ白な空間。
そこには、翼を持つ美しい女性が立っていた……
「ここは何処だ、ホリーは何処に!?」
『落ち着きなさい、ウォルフ=マークス……』
「直ぐにホリーを助けないといけないんだ、落ち着いてなんかいられるか!」
俺は出口を探して周囲を見回す。
『ここでは時間は進みません。あの娘のことが心配なのは解りますが、話を聞きなさい』
まるで女神の様な姿の女性は、静かに落ち着いた声で語りかけてくる。
「時間が進まない?」
『そうです。私の話が終われば元の次元に戻して差し上げますから冷静になりなさい』
「あなたは……?」
『私は創造神【女神グラディアス】とあなた方が呼ぶ存在です』
「そのグラディアス様が何故、俺をここに?」
『以前、あなたはグラノスからヴェレダというエルフ達の企みを聞いていますね?』
「その一人、ドゥニームがホリーを!」
『落ち着きなさいと申してます。あの者達の企みは、その危険性が我等……この世界を管理する者の許容を超えてしまいました』
「さっきの魔法のことですか?」
『あれは、次元に裂け目を造り出す空間魔法です』
「次元?」
『あなた方の住む世界と隣接する別の世界があることは、異空間収納を使うあなたは理解していますね?』
「その、それぞれの世界のことを次元と……?」
『そうです。そして次元を引き裂く魔法は、この世界その物に負担を強いる魔法ですので、その使い手は消えて頂く必要があります』
「頼まれなくても、ホリーを助けるためにドゥニームは俺が討伐してみせます!」
『今のあなたでは不可能でしょう……そこで、私は世界の秩序の護るために、あなたに【祝福】を授けます!』
「祝福?」
『あなたのスキル【ゾーン】と【魔力増大】は【大賢者】となり、使用制限が解除されることになります』
「使用制限?」
『これまで【ゾーン】のスキルは【調律者】である、あなたの生死に関わる時以外に発動することはなかった筈ですが、スキルが最上位である【大賢者】に昇華することで、常に任意の発動が可能となります』
「【ゾーン】の効果が任意で……」
『更に、魔力操作の精密性も古代竜グラノスと同等になることでしょう』
「その代価として、『ヴェレダ達を殲滅しろ』と言われる訳ですね?」
『そうです』
「その依頼、クラン【黒狼】が受けました!」
『それでは、宜しくお願いしますね』
グラディアス様から放たれる光が俺を包んだ……
目の前に広がる光景の中に腕を切られたホリーの姿が!
『結界、時間停止付与……【時元牢獄】』
俺は結界に時間停止を付与してホリーの周囲に展開させる。
スキル【大賢者】の効果だろうか……今まで成功しなかった時間停止結界が俺のイメージ通りに発現した。
「ドゥニーム!」
【ゾーン】を上回る魔力操作の精度は、俺の身体強化の効果も大幅に上げていた。
「瞬間移動だと!?」
その速度はドゥニームが瞬間移動と錯覚するほどとなり、言葉を発した次の瞬間にはドゥニームの首は跳んでいた。
「ウォルフ、ホリーは!?」
結界の中で時間停止しているホリー……
マークは何が起こったのか理解出来ずにホリーの心配をしているみたいだな。
「ホリーの周囲の時間を止めた。今から結界に入ってホリーの治療をするよ」
「時間?……治療?」
結界の中に入った俺は、空中で停止しているホリーの左腕を手に取りホリーの身体を抱きあげた。
ホリーの左腕を傷口に当てた状態で魔術を展開していく……
『浄化……』
まず、傷口を浄化して接合を開始する。
『再構築……』
まず骨から、続けて神経、血管、筋肉、筋、肉、皮膚……
ローレンスの知識にある人体の構成。
それを手本に腕の接合を試みる……
ホリーの腕が接合出来たと判断した俺は、時間停止の結界を解除した。
「キャアァァァ……あれ?」
お約束の反応だな……
「わっ、私の腕……無事ですわね……ウ、ウォルフ様!?」
ホリーからすれば、腕を斬られた次の瞬間なんだから状況が理解出来る筈がないよな。
「ウォルフ様、私よりもあのエルフを!」
「終わったよホリー。怖い思いをさせてしまったね……ごめんな」
「おっ、終わった?」
「ウォルフ、クリスちゃんを連れて来たぞ。ホリーの治療を!」
マークがクリスとユリアを連れて来た……
「ホリーさん、怪我は!?」
クリスが怪我を探してホリーの身体を見回す。
「いきなり腕が切断されたと思いましたが、気のせいだったみたいですわ……」
「気のせいじゃなかったぞ。俺はお前の腕が跳んだのを見たんだからな!」
「マーク、あなたは何を言ってるんですの?」
「ウォルフ、説明しろ。何があった!?」
マークも事態を把握することが出来ず、全てを把握している俺に説明を求めて来るが……
「悪い……少し落ちる」
安心したからか、俺の意識は薄れていった……
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構想を表現する表現力不足に悩みながら、拙作を書き続けています。
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