【黒狼】第一回遠征終了
ギルドへの報告を終えたクラン【黒狼】
「ウォルフ、身体強化する時に魔力をスムーズに流し続ける方法を教えてくれ!」
「マーク、お前どうやってウォルフみたいな化け物と連携してるんだ?」
「クリスちゃんも俺達より強いんじゃないか?」
「身体強化が凄いよな……」
明日まで素材の納入が出来なくなった俺達は、今日もスヴェイン道場で鍛練をしていた。
昨日の俺とジーグの組み手が、身体強化を極めることで【剣豪】等のスキルを超えることが出来るかもしれないと、剣に特化したスキルを持たない門下生達のヤル気を刺激してしまった様で、俺達の鍛練に注目が集まってる。
「ユリアお姉様、マーク先輩なんて棄てて戻って来てください!」
面倒見の良いユリアは後輩から慕われていたが……
違うよな、ユリア!
お前はそちらの世界の住人じゃないと信じてるぞ!
当のマークは苦笑いをしてるので、大丈夫かな?
今日も賑やかに鍛練した後、昨晩泊まった宿に帰ろうとしてたら、門の手前で母が待っていた。
「ウォルフ、あなたは帰って来たのに道場だけで、私に顔を見せに来ることもないのね!」
「保護者の説教はエリー様だけでお腹いっぱいですよ」
「あら、エリー様にお会いしに行っても、実の母親は放っておくと言うの?」
「会いに行った訳じゃないけど……」
「それよりもウォルフ、そちらの可愛らしい娘は?」
「はっ、初めまして、クリスティンと申します。ウォルフさんに助けられて、一緒に冒険者をさせて貰ってます!」
「あら、ウォルフったらクラウディアちゃんだけじゃなく、こんな可愛い娘まで……ラルフ達と違って意外と手が速いのね!」
「誤解を受ける表現はやめてください!」
「あら、図星だったのかしら?」
その後もグダグダなやり取りが続いたが、適当に切り上げて逃げ出した。
少し天然の入った母だけど、剣の腕だけで平民から伯爵婦人という離れ業をみせた女傑だ。
エリー様ほどではないが、出来るだけ不興を買う可能性から遠ざかりたい……
翌朝、宿を出た俺達はギルドの解体場に直接向かっているところで、ギルド長から声をかけられた。
「こちらの都合で迷惑をかけたな」
「久しぶりに道場で鍛練をする機会になったので、迷惑じゃないですよ」
「そう言ってくれると助かる。解体場職員が気合いを入れて待ってるぞ、行こう!」
やはり興味があるんだな。
嬉々とした表情のギルド長を見て思う。
「待ってたぞ!」
本当に気合いが入ってるな場長……
「これだけの素材だ。昨日が休日だった奴らから『何故、呼ばなかった!』と捲し立てられてたんだ。早速、奴らを満足させてやってくれ!」
想像以上に職人集団だったんだな。
促されるままに、指定された場所に素材を取り出していくと……
「凄い、こんなオーク見たことないぞ!」
「殆どを一撃で倒してるな。状態がかなり良いぞ!」
「この近辺にいるオークやハウンドウルフとは身体の大きさが全然違うな!」
「ギガグリズリーの解体なんて初めてだ。ここで仕事してて良かったぜ!」
「お前ら昨日俺達を外して、こんな凄い素材を……ちくしょー!!」
職人達の興奮がピークに達していた。
「これだけの素材だ。昨日、解体料を払うと言ってくれてたが、ギルドからすると『高品質の素材』、『魔物の研究』、『職人の育成』といった恩恵を無視することは出来ん。逆に買い取り金額を上乗せさせて貰う!」
ギルド長から嬉しい提案が飛び出した。
金額も嬉しいが、俺達の探索結果を認めて貰えたことが何よりも嬉しい。
冒険者冥利に尽きるってヤツだ!
「これだけの成果を上げたのに、探索許可証を返納してしまって本当に良いのか?」
「暫くは、以前から取り組んでいる【竜の巣】の深層部探索を続けるつもりですから」
「そうか、あのダンジョンも潜る冒険者が多いが、深層まで潜ることの出来る冒険者がいない未踏覇のダンジョンだからな」
「では、素材の代金はどうする?」
「クランの口座をギルドに登録してますから、そちらの方にお願いします」
「解った。本当に世話になったな!」
「今生の別れみたいなこと言われてますが、クラン五人の内四人は【王都】の出身ですから、用事が有れば何時でもこのギルドに来る予定ですよ?」
「そうか、待ってるぞ!」
「レイラにも宜しく。このギルドでは俺の担当は昔からレイラですからね」
「伝えておこう!」
ギルドを後にした俺達は、その足で王都から出た。
暫く歩いた後、人気の無い森で転移を使いハルムントの拠点に帰る。
今晩は遠征の打ち上げだ。
馴染みの食堂で満足するまで喰うぞ。
お読み頂きありがとうございますm(__)m
皆様のPV、ブックマーク、評価のおかげで順調に更新させて頂いております。




