【黒狼】流交渉術
色々と不満を抱えたクラン【黒狼】の面々
「お待たせしました。こちらへどうぞ」
レイラが戻って来ると、俺達をギルド長の待つ部屋に案内してくれた。
ん?
レイラも部屋に入るのか?
「予想よりも早く戻って来たな。その方が私も安心出来るので助かる」
「では、許可証をお返ししますので、誓約書を処分させて貰ってよろしいですか?」
ホッとした顔で出迎えてくれたギルド長に、単刀直入に俺達の要望を伝える。
「ああ、それは勿論だが……レイラから報告を受けた。うちの職員が君達の個別情報を……」
「何のことですか?」
「いや、君達がバルガナーン大しんり……」
「「何のことですか?」」
「だから、ギルドで管理する情報を……」
「「「何のことですか?」」」
「だから……」
「「「「「何のことですか?」」」」」
フッフッフッ、クラン【黒狼】のノリの良さと団結力を舐めて貰っては困るぜ。
「わかった……君達の好意に甘えさせて貰う……」
【黒狼】が敵わないのはエリー様だけだ。
ギルド長、あなたごとき敵ではないのだよ!
満足した俺達とは対称的な表情のギルド長から誓約書を受け取った俺は、机の上にあった灰皿の上で誓約書を魔術で焼いた。
「それで、素材の買い取りもここでお願いしてもよろしいですか?」
「大森林の素材か。私も興味あるから一緒に行こう」
ギルドの建物の裏手にある素材解体場に、ギルド長だけではなく、レイラもついてきた。
今回の騒動の原因になった【バルガナーン大森林】の素材に興味があるんだろう。
「ここに出して大丈夫ですか?」
「出すって……その袋は収納袋か?」
「そうです。解体してない素材を持って来てるので、解体料は支払いますので買い取りして貰えますか?」
「おお、大丈夫だ。ここに並べてくれ!」
解体場長の許可が出たので、マークに目配せする。
マーク……黒い笑顔してんなぁ。
「まず、これからお願いします!」
マークの収納袋から、両断された土竜が出て来る。
その巨体の一体だけで、解体場長の指定した解体場の一角を埋め尽くしてしまった。
「おっ、オークじゃなかったのか!?」
「竜だと!?」
「!?」
三人揃って香ばしい反応ありがとうございます。
心の中で感謝した俺は追い討ちをかける。
「オークだったらこっちの袋にありますよ?」
俺の収納袋からオークを出して並べていく。
「まっ、待て!」
「えっ、場所がマズかったですか?」
土竜に驚いて固まっていた場長が再起動して俺を止めにかかった。
「収納袋にどれだけ入ってるんだ!?」
「オークが十八体、ギガグリズリーが六体、ハウンドウルフが二十三体ですかね……」
「なんだと!?」
「後は……焼けてしまったから毛皮を素材に出来なかった魔物の牙や爪、魔石が多数ってところです」
「じゃあ、そのとんでもない数の魔物の解体をしろってことか!?」
「駄目ですか?」
「ちょっ、ちょっと待ってくれ!」
おお、ギルド長も再起動して参戦か?
期待していると、ただならぬ雰囲気を感じとった解体場職員が次々と集まって来た。
「なんだ!?」
「これってオークか!?」
「竜なんてどこから仕入れたんだ!?」
「この竜は俺に解体させてくれ!!」
程よい混沌が産まれてるな。
俺とマークとホリーが黒い笑いを噛み締めてる隣で、クリスとユリアはドン引きしている。
二人はクランの中で常識人に最も近いからなぁ……
「すまんが、もう勘弁してくれ……部屋に戻って相談させて貰えるか?」
ギルド長から本気の哭きが入ってしまったので、そろそろ真面目に話をしよう……
「お前ら……誓約書を書かせたことを根に持ってたんだな……」
「「「「「何のことですか?」」」」」
「それは、もうやめろー!!」
部屋に戻って直ぐにギルド長はマジ切れしていた。
「まず、貴重な素材の提供を感謝する。しかし、その量が余りにも膨大で……処理が追いつかん。明日から休みの職員も総動員して対処するので、残りの素材は明日まで収納袋で保管して貰えないか?」
「それは大丈夫ですが、『収納袋』と『大森林の素材』についての情報の管理だけは徹底をお願い出来ますか?」
「やはり、レイラの件も処分した方が良いか?」
「処分をする事態を防ぐのが、ギルド長のお仕事じゃないんですか?」
「君達の言いたいことは理解した。処分するよりも、今後その様な事態が起こらない様に気をつけよう」
「よろしくお願いします。では、明日お伺いします」
「こちらこそ、よろしくお願いしたい。君達の持って帰った素材は貴重な物だ。冒険者に対する処遇を曲げてしまった、このギルドに持ち込んでくれたことを感謝する」
かなり遠回しで陰険な抗議方法をとったが、俺達の意図を正確に理解してくれたギルド長は、王都のギルドを統括してるだけあって大した人物だった。
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