ヴォクオーンとローレンス
エルフの里の長とローレンスの関係とは……
「『ヴェレダ』の名が出るか……ローレンス殿の記憶を引き継いだという話も眉唾ではなさそうだ……」
「『殿』?」
「ローレンス殿の記憶をお持ちなら解るであろう。私はあの時、ローレンス殿によって古代竜から護られた子供の一人だ」
古代竜がエルフの里を殲滅しようとした時に、障壁でブレスを防ごうとして、里のエルフ達の壁になったローレンス……
その後ろにいたエルフの一人ってことか?
「あの里にいたエルフですか……失礼を承知でお伺いしますが、ヴェレダとの関係を答えて頂きたい!」
俺の中にあるローレンスの記憶……その記憶が俺の感情にこれだけ影響するとは思っていなかった。
広間の空気が張り詰める。
「あの時のローレンス殿と古代竜の会話を記憶されてるなら、感情を抑えることも難しいであろう……私もあの時に初めてヴェレダの企みを知ったのだ。」
「では、ローレンスの推測通り……当時の族長達に叛意を持っていた、ヴェレダを元とした一部のエルフの暴走と仰る訳ですね?」
「そうだ。世界樹を護る一族……他のエルフは、それを護るために存在する。古代竜の怒りを買ったヴェレダ達の企みは、我々にとっても許し難いことだ」
「ヴェレダの……その後の動静をご存知か?」
「申し訳ないが、我々はヴェレダが生きているかどうかさえ知らないのだ……」
「そうですか……」
「ウォルフ殿は、ローレンス殿に代わり……ヴェレダに復讐をするつもりか?」
「復讐……ではないですね。俺は【調停者】と名乗る古代竜との約束をローレンスに代わって成すつもりです」
「そうか……また訪れるがいい。我々も可能な限りは協力しよう。あの時、救われた私達がローレンス殿に恩を返せるとすれば、ウォルフ殿に協力することだろう」
「貴重なお話の機会を与えて頂き感謝します」
正直、排他的なエルフとこれだけの話が出来るとは思っていなかった。
その後、ディレイト達に見送られて俺達は里の結界の外に出た。
「族長の恩人だったのだな……」
「それはローレンスだ。俺じゃない」
「フッ、また会えるといいな……ウォルフ」
「またな、ディレイト!」
俺達は少しだけ進んだ場所に転移用の魔石を埋めて【ハルムント】の拠点に転移した。
「エルフって好戦的じゃないっていうけど、魔力が大きいから圧力は凄かったな」
「マークさん達でも、そうだったんですか?」
「当たり前よクリス。私も声が出なかったわ」
「エルフの族長を相手にされてるのに、堂々とされてるウォルフ様……素敵でしたわ」
「俺としては、最低限の目的を果たしたって感じなんだけど、探索を続けるか?」
「ヴェレダってエルフを探して、この大森林を宛もないまま探索するのは効率が悪そうだな……ホリーはどう思うんだ?」
「エルフの族長がヴェレダの生死を知らないなら、大森林にいない可能性もありますわね……」
「だよなぁ」
「なら、【竜の巣】の探索を再開するか?」
「マークさん、何か考えがあるんですか?」
「情報収集も闇雲じゃ駄目だ。なら、古代竜の所に押し掛けて話をするのも一手……って訳だ」
今後について議論した結果……
数日、クランの活動を休んでから【王都】のギルドに報告することにした。
大森林の探索許可証は【王都】のギルドで発行して貰ったので、探索結果を報告する義務がある。
その後で、【竜の巣】の探索を再開するってことで話が纏まった。
転移で往き来してる以上、即日動くと不自然になってしまうので、少し日を空ける必要があるからだ。
休みの間は、大森林の探索中から続けている魔力操作の鍛練に没頭する予定だったが……
クリスとホリーから、買い物に付き合えと迫られた。
探索中に無理をさせたって思う部分もあるから、二人に付き合うのも悪くはないか……
クリスとホリーは仲が良い……
お互いに同年代の同性って存在が周りにいない時間が長かったからだろうとクリスが言っていた。
「ウォルフ様の正妻と側室になるのですから、仲良くしないとウォルフ様がお困りになるでしょ?」
買い物も一段落ついて、カフェで休憩をしている時に……相変わらずの寝言が聞こえたが無視する……
クリスも無視していると思ったら、顔を真っ赤にして俯いていた。
「それよりも、明後日には【王都】のギルドに行くぞ」
「土竜も【王都】のギルドに買い取って貰いますか?」
「亜竜種が出るのを報告しない訳にはいかないしなぁ。異空間収納がバレると面倒だから、収納袋に移す必要があるな」
「ウォルフ様の凄さを喧伝出来ないなんて、もどかしいですわ!」
悪い虫がつくから隠すべきって言ったり、喧伝したいって言ったり……ホリーが何を考えているのか、長い付き合いだけど未だに理解出来ない……
お読み頂きありがとうございますm(__)m
皆様の、PV、評価、ブックマークをモチベーションとさせて頂き頑張って更新させて頂きます。




