ローレンスと、その因縁
エルフとの接触はウォルフ達にどの様な影響を与えることになるのか……
「土竜だと!?」
「何をすれば……この様な……」
「それよりも、今のは異空間収納じゃないか!?」
「詠唱した様に見えなかったぞ!?」
エルフ達は気配を隠すことすら忘れて狼狽していた。
ローレンスの知識では、土竜を討伐するのはエルフでも困難なことだから当然だろう。
更に、異空間収納もエルフであれば誰にでも使えるといったものではない。
族長に選ばれるくらいの魔力を持つ、一部のエルフにしか使うことが出来ない魔法である。
「話に応じて貰えるか?」
俺の問いかけにエルフ達が相談をする。
沈黙して待つ俺達に警戒を解かず相談している様だ。
暫く待つつもりだったがエルフが問いかけて来た。
「お前達は何が目的でここまで来た?」
「さっきから言ってる通り、話がしたい」
「人間にしか見えないが、お前は何者だ?」
「俺はウォルフだ。『お前』じゃなく、名前で呼んで貰えるか?」
「……ウォルフ、貴様は人間なのか?」
「俺は名乗ったんだ。……自身は名乗らないのがエルフの礼節なのか?」
「目的も解らぬ人間を相手に名乗れるか!」
「俺は話をしたいと言った。友好的に話をしたいから礼に乗っ取って名前を教えて欲しいだけだ」
再び、沈黙の時間が流れる……
「私はディレイトだ。私が代表で話をする」
木の上から一人のエルフが飛び降りて来た。
他のエルフは俺達の動きに備えて警戒しているのだろう。
「話に応じてくれて感謝する、ディレイト」
「質問に答えて貰えるか?」
「ああ、俺は間違いなく人間だ」
「人間が、何をすれば土竜にこの様なことが出来る?」
「ダークエルフのローレンスが関係している……としか、現状では話せない」
「ローレンス?」
「知ってるのか?」
ローレンスの名前に反応する?
まさか、古代竜の怒りを買ったヴェレダの関係者か……
「少し待て、族長に伺いをたてる……」
「わかった」
族長に伺い?
この里にいる族長はローレンスとどういう関係なのか、はっきりしない状態で敵意を煽るのは下策だと判断した俺は、族長の出方次第で対応を考えることにした。
「ウォルフ?」
「族長がローレンスとどういう関係なのか知りたい。場合によっては転移で切り抜けると考えておいてくれ」
「わかった……」
他の三人への説明をマークに任せて、俺は警戒を続ける。
暫く待つと、ディレイトと名乗るエルフが戻って来た。
「族長がお前に会いたいそうだ。里へ来てくれるか?」
「全員一緒で良いんだな?」
「ああ、こっちだ」
ディレイトの先導で俺達はエルフの里に向かう。
何重にも張られた結界を通ると集落が見えて来た。
『千年前にローレンスが暮らしてた里に似てるな……』
そこは、ローレンスが古代竜と出会う前に暮らしていたエルフの里と似た造りの集落だった。
「この家だ。入ってくれ」
集落の中心部にある家に招き入れるディレイト。
他の建物よりは少し大きいが、他の建物と比べて豪奢な造りって訳でもない。
建物に入ると、そこは大広間の様な部屋になっていた。
正面に老齢のエルフが座り、左右にディレイトと、もう一人の若いエルフが座る。
部屋の左右に五人づつエルフが並んで座っている。
俺が正面に座り、その後ろにマーク達四人が並んで座る。
「ウォルフと申します。いきなりの訪問に対し、会談の場を設けて頂きありがとうございます」
「ヴォクオーンだ。この様な所まで来られる程の理由があるのであれば、我々も無下にはせぬよ」
「御配慮に感謝します。早速ですが、ローレンスというダークエルフの名前に対し反応された理由をお伺いしてもよろしいでしょうか?」
「ふむ、質問に質問で返す無礼は弁えているが、ウォルフ殿とローレンスの関係を先にお伺いしたい」
周囲のエルフ達から警戒された気配は感じるが、いきなり襲いかかって来るって雰囲気ではないな……
「ローレンスは、とあるエルフに復讐するためにレイスル王国内で魔法の研究を続けてました。その集大成として、俺の身体を乗っ取るための魔法を使い……身体の主導権を俺と争った結果、魂が消滅しました」
「その様な魔法が存在すると聞いたことはないのだが?」
「信じ難い話でしょうが、人間である俺が異空間収納を使い、土竜を屠る現実が全てです」
「ディレイトがそれを確認したと申していたが、ローレンスの魔力を取り込んだということなのか?」
「魔力だけではなく、記憶も引き継いでますね」
「ローレンスの記憶?」
「そうです。その上でお聞きしたい……ヴェレダというエルフをご存知でしょうか?」
未だに、このエルフの里に住むエルフ達とヴェレダの関係は、はっきりしない。
賭けの要素はあるが、俺は核心になる部分を……いきなりな型で問いかけることにした……
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