バルガナーン大森林 3
探索は続く……
少しはマトモな面を覗かせながら……
「マーク、魔物が近づいて来てるぞ!」
「ああ、囲まれ始めてるな」
「この感じは、ハウンドウルフの群れだな……」
多数を相手にする可能性が高いので、俺達は雷撃を付与した剣で迎え撃つことにする。
ハウンドウルフは群れで狩りをするので、俺達を囲みながら弱点を探している様だ……
こうなると、前衛、後衛なんて意味が無い。
全ての方向から一斉に飛びかかって来るだろう……
弓で援護に回るユリアを囲む型で陣形を組む。
「来るぞ!!」
予測通り、一斉に襲いかかって来るハウンドウルフ達。
魔力探索で把握しているだけでも二十匹以上はいる。
「速いな……」
「大森林の魔物はこれだから……」
雷撃を利用して、三匹のハウンドウルフを一撃で倒しているマークに、急所である眉間を的確に射抜くユリアが答える。
クリスとホリーも危なげ無く、迫り来るハウンドウルフを斬り捌いている。
一匹斬るために剣を振ると、付与された雷撃がその軸線にいるハウンドウルフに襲いかかる。
一度に複数を相手に出来るので大丈夫そうだな……
皆の安全を確認した俺は、新しい魔法の使い方を試すことにした。
無属性の魔力……魔力その物を圧縮して、ハウンドウルフに向けて撃ち込む。
魔力弾の周囲にいたハウンドウルフが弾け飛ぶ。
ハウンドウルフの近くに【結界魔法】で結界を展開してみたが、思ったよりも上手くいった様だ。
結界で弾き飛ばしただけなので、ハウンドウルフ達にダメージは殆ど無い。
改めて、雷撃を叩き込んで討伐する。
「ウォルフ、さっきは何をしてたんだ?」
「魔力を飛ばして、距離をおいた所に結界を張れるか試してたんだ」
「何のために、そんなことを?」
「結界で延焼を防げたら、森林の中でも炎を使えるだろ?」
マークとの会話を聞いていたホリーが真剣な表情になる。
「結界で周囲を囲めば、炎の威力も上がりますわね」
「そう言われてみれば……そうだな」
「えっ、考えて試されたのではなかったのですか?」
「そこまで考えてなかった……」
ホリーに言われて初めて気づいたが……
それを正直に言ったら、皆の眼が冷たくなった。
本当は、この結界に時間停止を付与して使えれば……と思って試したことは黙っておいた。
森林は奥に進むに連れて草の背丈が低くなってきた。
周囲の木が太く高くなるに連れ葉が空を覆い、陽が当たらないからだろう。
昼間なのに薄暗いが、小さな木も少なくなって進み易い。
前から魔物にしては小型の熊が近づいて来る。
視界が開けてきたので、遠目に確認出来たのだが……
「ギガグリズリーの子供だな……」
「ああ、近くに親がいるぞ!」
小さいと言っても魔物だ。
体長はその辺にいる獣達よりも大きい。
成長すると俺達の倍以上の体長で仁王立ちになり威嚇してくる魔物だ。
大きな身体に似合わず、非常に俊敏な動きで攻撃してくる。
鋭い爪を持つ前足を振るい、動けなくなれった獲物を大きく鋭い牙で咀嚼する。
生き餌を好み、獲物が瀕死になるまで弄ぶ様に痛めつけてから土に埋める。
その習性から、人間が最も恐れる魔物の一種だ。
「どうする?」
「子供は此方に気づいてる……逃げれば追いかけてくる」
「周囲を警戒しながら、ユリアの弓で追い払うか?」
「ユリア、氷を付与した矢を急所に射てくれ」
「親は直ぐに出て来るぞ。警戒を怠るなよ」
「軍の中隊以上で対峙する魔物を、五人で討伐する訳ですわね」
「……」
緊張の中、ユリアが弓を射る。
その矢は正確に眉間を捕らえた。
「グガァァァッ!!」
唸りをあげるギガグリズリーの子供の眉間から氷が拡がり、次第に凍り漬けになっていく。
少し離れた場所から、大きな魔力を放つ魔物が凄い勢いで近づいて来る。
このギガグリズリーの親で間違いないだろう。
「ホリー、そちらから来るぞ!」
「ですわね!」
「クリス、ユリア、周囲の警戒を任せる!」
目の前に迫ったギガグリズリーを迎え撃つため、俺とマークとホリーで前衛を構築する。
怒り狂い、俺達に突っ込んで来るギガグリズリーに魔力を濃縮した魔力弾を放ち勢いを止める。
魔力弾を受け、仰け反るギガグリズリーの左右から、マークとホリーが剣を振るう。
左右同時の襲撃にパニック状態になったギガグリズリーの正面から、俺が袈裟斬りを喰らわせる。
次の瞬間に、マークがギガグリズリーの首を叩き斬ってトドメを刺した。
「ホリーも腕は落ちてないな!」
「誰に向かって言ってるのですか、マーク?」
魔導師団に所属してはいるが、幼い頃から俺達と剣の鍛練を積んできたホリーの腕は折り紙付きだ。
世間では、回復魔法こそがホリー……いや、クラウディアの代名詞と思われているが、俺達が知るホリーは健在だった。
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ストックを切らさないことを心掛けながら、出来るだけ早めの更新を目指しています(´▽`;)ゞ
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