最終準備
ホリーを加えたウォルフ達【黒狼】は予定外に対応することになる……
【黒狼】にホリーが加わることを決めた翌日…
俺達はギルドの依頼表を見ながら、【バルガナーン大森林】の魔物について分析していた。
「マーク、以前と変わった様子はないか?」
「あまり変化なさそうだな…」
「ユリアはどう思う?」
「マークと同じ印象ですね」
「ウォルフ様がいれば大丈夫ですわ!」
「「「「………そうですね…」」」」
真面目に分析している俺達の中に一人お花畑がいる…
こいつが魔導師団長だったなんて…魔導師団、大丈夫か?
「ウォルフ、お前がいない処ではもう少し…いや、ほんのちょっとはまともなんだぞ?」
「本当か?」
「何を失礼なことをおっしゃってるんですか!」
無視して話を進めたい処だが、準備万端で【ガナン】まで来た俺達と違いホリーの準備は今から揃える必要がある。
「お前、剣しか持って来てないだろ!」
「そっ…それは…急いでましたから…」
「よく、ここまで無事に来れたよな…」
「愛の前には障害などありませんことよ」
これで…ふざけてないのが痛い…
会話が噛み合わないが、ホリーとの会話は何時でもこの調子だ。
クリスは呆然とホリーを見ている。
「前魔導師団長のエリー様以外は制御不能なんだよ…」
「すっ、凄い方ですね」
「回復魔法に関しては王国随一の腕だから、クリスも学ぶことは多いと思う…」
「剣はどうなんですか?」
「俺の身体強化を多用したスタイルは、ホリーから魔力操作を習って研鑽したものだから…スタイルは似ているね」
最初不満そうな顔だったホリーがドヤ顔になってる。
話が横路に逸れてしまったが、マークと俺が前衛、クリスとユリアが後衛、ホリーが中央で遊撃と支援の型で探索することに決定した。
戦闘に関してはホリーの回復魔法は頼りになる。
スキル【魔力増大】の効能を最大限に活かしたホリーの回復魔法の対象は個人ではなく、周囲にいる複数の人間を対象にすることが可能だからだ。
クリスも【回復効果大】のスキルを持っているので、個人に対してはホリーと同等の効果をみせている。
魔導師団長級の回復魔法を使える人間が、俺を含めて三人もいるクランなんて贅沢な話だと今更ながら思う。
まあ、俺の回復魔法は系統が違うが…
元々、【黒狼】のメンバーはスヴェインの剣の特徴から、重装備は避けて魔物の革を使った軽量の装備で統一されていた。
重さで速度を落とすよりも、速い動作で先制するのがスヴェインの剣だからだ。
更に、クリスと俺の回復魔法があるので、余程の致命傷か即死でなければなんとかなるって前提もあった。
しかし、ホリーの装備は…いや、装備ではなく御召し物としか表現出来ないピンクのドレスでは、探索に出る訳にはいかない。
これでよく無事に【ガナン】まで来れたと感心する…
スヴェイン門下で剣だけは持ってたから、そこらの冒険者や暴漢では太刀打ち出来ないことは解っているが…
ドレス姿の令嬢が剣を持って乗り合い馬車にいるってシュール過ぎだろう。
とにかく、装備を揃える必要がある。
マーク達が以前に利用してた防具店で防具を選ぶことにした。
魔物の革を使った防具は質に左右されるので、適当な店で適当に選ぶ訳にはいかないからだ。
【バルガナーン大森林】で採れる素材は強力な魔物の素材なので、【ガナン】の防具は質が高い。
魔物が強力ってことは、耐久性の高い魔物の表皮を素材に出来るから、必然的に質は高くなるのは道理だ。
後は、素材を活かす職人の腕の差なので、マーク達の知識を信頼することになった。
「私は魔導師ですのよ?」
「「「「…それで?」」」」
「【リッチ】騒動の時、甲冑だったからウォルフ様は気付いてくれなかったじゃないですか!マーク達には気付いてたのに!」
「お前も俺に気付いてなかっただろ?」
「うっ!」
「しかも、あの時にユリアとは会ってないぞ」
「昨日は気付いてくれたでしょう?やっぱり甲冑姿じゃウォルフ様の眼に入らないってことじゃないですかぁ!」
「お前…こんな最前線近くの街のギルド前に、そんな格好でいて目立たないとでも思ってるのか?」
「女は愛する方の前では綺麗でいたいんです!」
「とにかく、甲冑じゃなければ連れて行けないぞ!」
渋々了承したホリーの甲冑を選ぶ。
クリスも小柄だけど、更に小柄なホリーに合うサイズは少なく、胸当て、手甲、足甲にした。
「こんなの可愛くないですわ…」
ブツブツ言ってるホリーの後ろでユリアがクリスに耳打ちをする。
『クリスも大変ねぇ、『残念』二人が相手じゃ…』
クリスが大慌てでユリアと小声で言い合いをしてる…
また、ユリアがクリスをからかってるのか?
明日は早朝から街を出て、【バルガナーン大森林】の探索を始める予定だ。
予定外はあったが、クラン【黒狼】として初の遠征が始まる。
お読み頂きありがとうございますm(__)m
ストックを切らさないことを心掛けながら、出来るだけ早めの更新を目指しています。
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