クラウディア=リーヴァル
新しい主要キャラ、クラウディア=リーヴァルの登場です。
「思ってたよりも活気のある街ですね!」
バルガナーン大森林との境界の壁。
その壁を行き来するための門の近くに【ガナン】の街はある。
「価値のある素材が多いから冒険者が集まるんだよな」
「そう言うマーク達は何でこの街に来たんだ?」
「師範から『軍ではなく冒険者として生きるなら修行して来い』って言われたのよ」
「修行ですか!」
「………やっぱり鬼だな…」
『修行』って言葉に憧れの表情をみせるクリス。
俺とマークは遠い眼をして黙りこむ…
スヴェイン門下でも将来を渇望されてたマークとユリアは十八歳から二年間、軍に所属していた。
軍に入ることは強制ではないが、将来スヴェイン門下を率いる立場になった時、その経験は必ず活きてくると高弟達の薦めで騎士団に入団していた。
二人は貴族ではなく平民の出自なので、冒険者として…『民衆に近い立場から貢献していきたい』という理由で冒険者の道を選んだ。
幼かった俺は二人を見て『カッコいい』と憧れたな…
現在では『このリア充カップルが…』って思ってるのは秘密だ。
それはともかく、修行の場にここを選んだ父の厳しさは鬼だと思う…
俺自身も十歳から冒険者登録させられてダンジョンに放り込まれたな…
後に聴いた話では、気配を消した高弟が警護してくれてたらしいが、当時の俺は父の顔が鬼に見えていた。
「街のギルドで討伐隊に参加してたな…懐かしい」
「そうね…」
死んだ魚の様な眼をした二人が呟く…
【バルガナーン大森林】で採取出来る素材は価値が高く、採取依頼も多く出されるが、植物系の採取依頼以外は討伐隊の成果に左右される。
狙いの獲物を探して奥地に踏み込むと、危険度が跳ね上がるので大森林周辺にいる魔物を討伐するためだ。
それでも、ここにいる魔物は国内にいる魔物よりも強力な個体が多く…返り討ちにされた冒険者の数は知れない。
そんな討伐隊に一年間参加していたマーク達は、数段腕をあげて【王都】に戻って来た。
【リッチ】討伐の時、マーク達がスヴェイン門下の部隊を率いてたのは、その経験を買われたそうだ。
街のギルドに情報を集めに行こうと二人が提案したので、経験者の言葉を尊重してギルドへと向かう途中…
「ウォルフ様?」
この声…その銀髪は……
「やっぱり! やっと見つけましたわ!」
そこには、スヴェイン道場の門下生で一つ年上だったホリーがいた。
「ホリー!?…何でこんな所に?」
驚いた俺にホリーが抱きついて来る。
思わず身をかわした俺をジト眼で見ながらホリーは言う。
「ウォルフ様が【バルガナーン大森林】に向かうと聴いたので、ここで待ってたんですわ!」
「何で?」
「もう! ウォルフ様と一緒に行くために決まってるでしょ!」
「?」
唖然とする俺とクリス。
マーク達が頭を抱えて距離をとる…
ホリーはスヴェイン門下生であるが、それはお忍びの姿で…
本名は【クラウディア=リーヴァル】
公爵家令嬢であり、王国魔導師団長だ。
「ホリー、公務はどうした?」
「あら? 立派な公務ですわ?」
「何処が公務だ!」
「アルフレッド殿下から、ウォルフ様を必ずレイスル王国に連れ帰る様に仰せつかってますわ」
「………」
「勿論、私の愛しいウォルフ様を護るため…ウフフ」
何か寝言が聴こえた気がするが無視して…小声で耳打ちする。
「なぁ、『様』はやめてくれって昔から言ってるだろ。公爵家令嬢が平民に『様』はないだろ」
「身分なんて関係ありませんわ。私が認めた大事な方なんですから」
蒼い表情のクリスが震える声で聞いてくる。
「ウォルフさん…そちらの方は?」
「私は王国魔ど…むぐっ!」
慌ててホリーの口を塞ぐ俺とユリア。
こんな処で洒落にならない話をするなよ…
王国の最重要人物の一人になってしまってる自覚がないにも程がある。
暴れるホリーを引き摺って、俺達は宿に入る。
よく、周りから『人拐い』って誤解されなかったもんだ…
そんな事になれば……
よそう、考えるだけで恐ろし過ぎる…
「何をするんですの!?」
「「「やかましい!」」」
部屋に入った俺達に喰ってかかるホリーだったが…
俺達三人の表情を見て大人しくなった。
「お前、【リッチ】討伐の後に魔導師団長になったんじゃなかったか?」
「それがどうかしましたか?」
「「『どうかしましたか?』じゃねぇ!」」
「ウォルフ様だけじゃなく…マーク、あなたまでが私にそんな口をきくんですの?」
「うっ!」
ホリーの剣幕に圧されるマーク。
「あの…この方は…?」
いきなりの騒動に動転していたクリスが疑問を口にする…
「私は王国魔導師団長クラウディア=リーヴァルですわ」
「魔導師団長!?」
「そして、ウォルフ様の婚約者ですのよ!」
お読み頂きありがとうございますm(__)m
自身の拙い表現力の参考にさせて頂きたいと思っていますので、よろしければ、ご意見、感想、誤字報告等、お願い出来ればと思っています。




