【創造神グラディアス】
古代竜から、自身のことを【調律者】と告げられたウォルフ。
その運命の意味とは……
家のリビングで3人に話すことにした。
「【竜の巣】の最下層には古代竜がいる」
「「「……」」」
「あの古代竜は千年前にローレンスと戦った竜だ。まぁ、戦ったというよりも…一方的に痛め付けたって感じだけど」
「あの魔法でも通じないのか?」
「どうかな…その後の千年でローレンスは魔術を完成させたから」
「なら、戦うんですか?」
「いや、……あの古代竜は自分を【調停者】と呼んでいた」
「「「【調停者】?」」」
初めて聞く言葉に戸惑うクリスとユリア…
マークは俺の表情の変化を見落とさない様に、じっと俺の顔を見詰めている。
「世界に影響を及ぼす存在に対する…抑制って感じの存在だ…」
「ウォルフがその存在って認識されたの?」
「いや、俺は【調律者】だと言われた」
「「「【調律者】?」」」
「【調律者】って何だ?」
「よく解らない」
「「「………」」」
「…………」
「「「……………」」」
「…………」
沈黙が続く…
沈黙の理由は解っているけど、俺にも【調律者】って存在の理由が解らないんだから仕方ない…
「ウォルフ、お前…本当は『どうでもいい』って考えてるだろ!」
「「「!!」」」
マークが沈黙を破る。
「な、なななっ何を言ってるんだマーク!」
「お前の性格を俺が知らないと思ってるのか?」
「…………」
「ウォルフさん?」
慌てる俺を、呆れた表情で見るマークとユリア。
クリスは呆然としている。
「バレたら仕方ない…な」
「ウォルフさん、本当に『どうでもいい』って思ってたんですか?」
「こういう奴なんだよ」
「本当に…もう」
驚いたクリスを宥めるマーク達…
重大なことだって解ってはいるよ?
でも…古代竜も言ってた様に、俺が気にしたって仕方ないだろ。
古代竜は神の存在にも言及してたんだ!
そんな世界のことが俺に解るはずないだろ!
何せ【神仙術】ってスキルのことすら解らないんだから…
そういった事情を説明したら3人は納得してくれた。
納得…してくれたよな?
「それで?」
「『それで?』って何だマーク?」
「今後どうするのか聞いてるんだよ!」
「今まで通りで良いんじゃないか?」
「「「はぁ……」」」
何で3人揃ってため息ついてるんだよ!
「物語みたいに神の宣託でも有ると思ったのか?」
「それは……」
「【調律者】って何もしないで大丈夫なんですか?」
「そうそう!」
「だからぁ、古代竜も『俺の自由にしろ』って言ってるんだ。それで問題無いだろ?」
マークとユリアは小声で話し合ってる。
『絶対、これから何か起こるな…』
『間違い無いわね…』
何か失礼なことを言ってるのは、2人の表情で解る…
「ウォルフさん、私は何処までも着いていきますからね!」
「う、うん」
マーク、そのニヤニヤした顔はやめろ!
話し合いはここまでにして、少し遅くなった晩飯にすることにした。
冒険者歴の長いマークとユリアは料理も達者で、クリスは2人に料理を教わっている。
最初は料理が苦手だったクリスも、最近はかなり腕を上げてきた。
俺は離れの小屋に造った風呂に魔法で水を満たした後、炎の球を水に沈めて湯を沸かす。
少し熱目に沸かしておいて、食後に女性陣から風呂に入るのが日課になっている。
冒険者は晩酌に酒を呑む人が多いが、スヴェイン門弟は普段から酒を殆ど呑まない。
奇襲されて『酔ってました』なんて言い訳が出来るはずもない。
その時にあるのは自分の死だ。
『常在戦場』武術に生きるなら当然の心掛けとして、徹底的に教え込まれている。
クリスは元々酒が呑めない。
必然的に【黒狼】は甘党の集まりになってしまった…
まぁ、冒険者を真面目にやっている限り…肥ることはあり得ないので問題無い…
みんなが風呂に入った後、最後に俺が風呂に入った。
湯槽に浸かりながら考える…
『そういえば、神って【創造神グラディアス】様で間違いないのか確かめてなかったな…』
『そうですよ』
「!?」
『驚かせてしまいましたね。私はあなた達が【創造神グラディアス】と呼んでる存在です』
『グ、グラディアス様?』
『ウォルフ、あなたは【調律者】ですね?【調停者】であるグラノスから報告がありました』
『グラノス?…あの古代竜の名前?』
『そうです。彼の者はあなたを面白い存在だと評していました』
『面白いって…其よりも、【調律者】って何を求められてるんでしょうか?』
『何も求めません。それは彼の者から聞いたのでは?』
『なら、【調律者】の存在の意味は?』
『あなたが選択する未来が意味を持っていく…それだけです』
『俺は…そんな責任を負える程の人間じゃ無いんです!』
『心配する必要はありません。全ての事象は世界の帰結であり、あなたの選択はその一部に過ぎないのだから』
『いや、意味が解りかねるんですけど…』
『彼の者が言ってた様に面白い人間ですね。私は世界を見護り続けますから、またの機会があれば…』
なんとなく、【創造神グラディアス】様が離れたことが理解出来た。
俺に何をさせるつもりなんだよ…
お読み頂きありがとうございますm(__)m
自分の拙い表現力を感じながらの更新ですが、これからも宜しくお願いしますm(__)m




