クラン【黒狼】
レイスル王家との関係を考えたウォルフ達はクランを設立することにした。
転移で【ハルムント】の宿に戻った後、4人で今後について話し合う。
「冒険者って型でいるなら、クランを立ち上げないか?」
マークが提案した。
クランは冒険者の集まりで、パーティー活動よりも組織的な活動を行う組織だ。
ギルドに登録することで、指名依頼を中心に活動しているクランが多数存在する。
「俺達の活動は今まで通りで、アルフレッド殿下から指名依頼が出来る型を造っておいた方が良いと思うんだが?」
「なるほど、殿下から変な工作をされない様にってことか…」
良い提案だとは思うが、1つだけ問題がある。
「俺やマーク達は元々レイスル王家に係わっているから問題無いけど、それにクリスを巻き込むのか?」
「「………………」」
2人は黙ってクリスを見つめる。
責めてる目付きではなく、彼女の選ぶ未来によって方針を考えるつもりだろう。
「わ、私は…あの時ウォルフさんに助けて貰わなかったら死んでたと思ってます。これからもウォルフさんと一緒にいたいです」
「状況次第で、ある意味アルフレッド殿下直属の傭兵みたいな状況になるかもしれないんだぞ?」
「ウォルフさん達は…理不尽に人を殺すことが無い様に…拒否も視野に入れてるからクランって型にするんでしょ?」
「そうだね…」
「なら、私はウォルフさんと一緒にいます」
クリスが強い瞳で答える。
「決まったな。じゃあクランの名前を決めるか」
マークの提案が更なる混迷を呼び込んだ…
「【薔薇の騎士団】ですよ!」
「俺やウォルフが薔薇じゃないだろ!」
「マークの【衝撃の魔神】の方が恥ずかしいでしょ!」
それぞれの趣味を改めて知って正直引く…
しばらく喧騒が続いたところで、
「ウォルフ、お前の案は?」
いきなりマークから振られる。
「ん?…【黒狼】とか…」
「ハァ?単純過ぎるだろ!」
「…ウォルフの案で良いんじゃない?」
「ウォルフさんのクランですから、ウォルフさんの案でいきましょう」
マーク以外は賛成みたいだけど、少し気になることが…
「クランの代表ってまだ決めてないよな?」
「いや…決めるまでもないだろ!」
「ウォルフ、あなたのパーティーで造るクランなんだから代表はあなたでしょ!」
「決めてないつもりだったんですか?」
あれだけ名前で揉めてたのに、そこは揉めないのか?
って言うか、俺がクランの代表?
冒険者としての経歴はマークとユリアの方が長いんだから、クランの運営も任せたいと伝えると…
「クランの代表は実力が1番重要だ」
「アルフレッド殿下に提案する話なんだから、あなた以外に出来る訳無いでしょ!」
「お前、本音は……面倒事を押し付けるつもりだろう?」
「ウォルフらしいですね」
2人から冷たい目で見られる。
確かに面倒事を避けたい気持ちが無かったとは言わないけど…
結局、【黒狼】の名前でギルドにクランの登録をした後、アルフレッド殿下にクランの設立を伝えることにした。
マークの伝で近衛師団と連絡をとり殿下と話をする機会を作って貰う。
「…という訳で、殿下からの御下命が有ればギルドを通してクランへの依頼という型でお願いしたいのですが?」
「何が『…という訳』なんだ?」
「マーク?ある程度は伝えてくれて無いのか?」
「お前は…殿下への上申なんだぞ!」
呆れ果てたマーク達に怒られながら、殿下にクラン設立の目的を説明する。
勿論、近衛師団に入団しない本当の理由は伝えてない。
「なるほど、軍には所属しないが協力はすると?」
「王国の危機においては参戦させて頂きますが、王国が侵略戦争を仕掛ける場合は参戦しないつもりです」
「…防衛のみ協力するということか」
「軍属では拒否権がありませんので」
「そもそも、スヴェイン伯爵家の人間がレイスル王家の命を聞かないということがあり得ないことだがな」
「先日も申し上げた通り、俺はウォルフ=マークスです。スヴェインではありません」
「詭弁だな。しかし、王国に叛意がないことはわかった」
多少、不機嫌そうではあるが、アルフレッド殿下からクラン設立を了承して貰ったことで【黒狼】はクランとして船出することになった。
お読み頂きありがとうございますm(__)m
連載を始めた十月は二桁だったPVが、一日三桁が頻繁になってきたことに驚いています。
こうやって、自分の拙い作品をお読み頂けることを感謝していますm(__)m
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