近衛師団長アルフレッド1
ウォルフに興味を示したアルフレッドはウォルフと接触を試みる
俺とクリスは山岳地域にある鉱山村近郊に魔石を埋めた後、近隣の村を巡りながら魔石を埋める場所を選んでいった。
国境近くの関所近辺の森に魔石を埋めた晩に、恒例になっている連絡をマーク達に入れる。
「マーク? 聞こえるか?」
「ウォルフ、少し面倒な話になった……」
「面倒な話?」
「アルフレッド殿下を覚えてるか?」
王族が絡む話か……
「殿下を忘れる国民がいるか?」
「そのアルフレッド殿下から、お前と会いたいとお話があったんだ。お忍びでな……」
「あぁ……それは面倒な話になりそうだな」
「殿下のお人柄は知っての通り、至って真面目な方だけどな」
「数日【ハルムント】で時間を潰してから【王都】へ向かうことにしようか? 1週間後に【王都】に入るくらいで話をしておいて貰えるか?」
「そうだな。こんな移動方法が人に知られると面倒どころの騒ぎじゃ無くなるからなぁ」
「じゃあ、そういうことで」
ハァ……深くため息をつく俺の横でクリスは緊張した表情になっている。
「ウォルフさん、殿下から直接のお話って……」
「裏で動かないといけない……面倒な話だろうね」
「王族から面倒なお話って……どんなお話なんですか?」
「大抵の場合は密偵か……暗殺だね」
「!!」
「まぁ、殿下は暗殺って感じの方じゃないから、密偵の依頼だろうけど」
王族、貴族の世界は華やかな表面の裏に…汚い世界がある。
利権の大きな世界だから当然だけど…
「殿下は第2王子だけど、近衛師団を率いている真面目で勇敢な方って評判の方だから……」
「どんなお話になるんでしょう……」
「ここで想像してても仕方ないから、【ハルムント】に帰って準備しよう」
「準備?」
「密偵なら……色々と魔道具を造っておけば便利だろ?」
クリスはどんな魔道具を用意するのか、ピンと来ていないみたいだ。
とりあえず【ハルムント】に帰るための魔方陣を展開して宿の自分の部屋に帰る。
「じゃあ、買い物に行こう」
「何を買いに行くんですか?」
「指輪かブレスレット?」
「えっ?」
何故かクリスが真っ赤になった……
「ウォルフさん……もしかしてプレゼント?」
「ン?」
「えっ……なっ、何でもないです!」
あっ、そういう意味にとってしまったのか?
魔道具用以外に…何かプレゼントした方が良いのか?
俺には女性のことはわからない…
結局、魔道具用とは別にクリスにイヤリングを買って帰った。
クリスが上機嫌になってるみたいで…俺も嬉しい。
「今度の魔道具はどんな付与をするんですか?」
「気配遮断にしようと思ってるんだけど、魔方陣は教えるから、クリスがブレスレットに付与してくれるかな?」
「分かりました。やってみます」
クリスがブレスレットに気配遮断を付与していく。
スキルの効果もあるのか、クリスの付与魔法の上達はかなり速い。
予想の半分くらいの時間で、4人分のブレスレットに付与が終わった。
「クリスの付与魔法はかなり上達したね」
「魔方陣を自分で考えてたら、何年もかかってますよ」
【王都】に行く迄はクリスに魔方陣の組み方を教えながら、魔力操作の鍛練をすることにしようと考える。
旅の間に貯まった魔石や素材をギルドに持って行けば当面の生活費は安心だし。
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「では、そういうことでお話を進めさせて頂きます、スヴェイン伯爵」
「畏まりました。ただ、先程申し上げた様にウォルフは当家を勘当した者になりますので、当家の者ではなく…門下の平民としてお話を承ります」
スヴェイン伯爵家の客間では、王家第二王子アルフレッドとスヴェイン伯爵であるカイルが向かい合って座っていた。
上機嫌なアルフレッドの表情とは対照的なカイルの表情……
そう、カイルは悩んでいた。
『伯爵家から勘当されても平気な顔をして好き勝手に冒険者生活を満喫しているウォルフが近衛師団?』
我が子が近衛師団に取り立てられるのは、伯爵家として面目躍如の話であり、王族から直々の要請となれば臣下としての栄誉はこの上無い話である。
……しかし、カイルは知っている。
王族からお忍びで話を……という栄誉を『面倒事』と捉える息子ウォルフの性格を……
『頼むから、上手く誘導してくれよ……マーク』
そして、カイルは知らない……
頼みの綱であるマークは既にウォルフの非現実的な戦闘力と、楽観的な性格に毒されていることを……
目の前の伯爵の表情の機微に気が付かないアルフレッド。
いや、普段のアルフレッドであれば見逃すことの無い表情ではあるが、【リッチ】を討伐出来る戦闘力、それも【リッチ】に辿り着くまで、魔物が溢れる中を単騎で駆け抜ける異常な戦闘力を持つ少年。
その少年を自身が率いる近衛師団に迎えることが出来る喜びが、アルフレッドの思考を停止させていた。
お読み頂きありがとうございますm(__)m
連載開始から一月半になりましたが、じわじわとPVが増えていくことに感謝以外の言葉が出てきません。
これを励みにさせていただき連載を続けさせて頂きます。




