転移魔法
【リッチ】の結界魔法をヒントにして、ウォルフは新たな魔法を生み出す
【竜の巣】へ向かう3人と途中で別れて、誰もいない場所を探して森の奥へ向かう。
切り開けた池の畔で魔力探索を使って、周囲に誰もいないことを確認してから実験を始める。
『【空間魔法】単体で使う場合と、3人も使える様に魔道具に付与も出来ると良いんだけど……』
まず、エルフの使う【異空間収納】を重ね合わせるイメージで魔法を展開して、そこに石を投げ入れてみる。
ローレンスの【異空間収納】だと時間停止の効果もあるので、異空間中で自分の時間が停止する危険性があるかもしれない。
最初の実験の結果は予想通りの失敗だった。
【異空間収納】の入り口が両方に出来ただけで、投げ込んだ石が通り抜けることはなかった。
『まぁ……そうだよな』
【異空間収納】は出し入れが出来るのだから、片方を出口として使うことは可能なはずだ。
問題は、2つの出入口が空間的に繋がっていないことだな……
リッチはその問題を結界魔法と組み合わせることで解決していたが、それだと距離がかなり短くなってしまう。
数回試した結果、リッチの使っていた結界型の空間移動は可能になった。
出口と空間を繋げるために考えている方法、魔道具に出口となる結界型空間魔法を付与する方法を試してみるか…
入り口と出口を繋ぐ効果を持つ空間魔法は既に可能になったので、後は任意の場所とどう繋げるかの問題だから…魔道具を使って出口を固定すれば何とかなりそうだ。
『その前に、結界型空間魔法を付与した魔道具を造っておけば、クリス達も魔法に対しては安心して戦えるな』
翌日、街で買って来た指輪に結界型空間魔法を付与した魔石を再構築で融合させてみる。
『ン?……これを出口に使って空間を繋げないかな?』
入り口になる空間魔法を工夫すれば繋げそうな気がする。
夕方まで、色々と実験を繰り返した結果…
『やった!』
俺の前に浮かび上がった光る魔方陣に投げ込んだ石が、離れた場所に置いている指輪の上に浮かぶ魔方陣から飛び出した。
魔力量の調整で魔方陣の大きさは任意に変えることも可能なので、声だけ繋げることも出来そうだ。
後は、異空間を通り抜けた人間の身体に影響があるかだな。
意を決して、展開した魔方陣に飛び込む……
3つ造った指輪、同様の付与をした魔石、どれに繋げても問題無く転移することが出来た。
入り口になる魔方陣の展開は、何処に繋げるかが任意になるので俺以外には出来ないけど、付与した魔石を各街の近郊に埋めておけば速い移動が必要な緊急時に便利だな。
宿に帰って3人が【竜の巣】から戻って来るのを待つことにする。
数日待つことも覚悟して宿に帰ると、既に3人は宿に帰っていた。
「丁度よかった。この指輪を着けて自分の部屋に戻ってくれる?」
マークに指輪を渡して自室に帰って貰う。
「マーク、聞こえるか?」
「ウォルフ? 何処に居るんだ? なっ、なんだー!」
魔方陣を拡げて顔を出すと、驚いたマークが叫び声をあげた。
クリス達も魔方陣をくぐらせて転移させる。
「えっ……」
「マーク?」
2人共、状況が掴めない様子で眼を見開いて固まっている…
「この指輪にリッチが使ってた結界型空間魔法を付与してみたんだけど、それを出口に利用して転移出来る様にしてみたんだ。この付与は絶対に他言無用で頼む」
「「「………」」」
3人は無言で固まったままだ…
「リッチの結界って、あの魔法が身体をすり抜けるヤツか?」
固まっていたマークが聞いて来るが……眼が泳いでいる。
「そうだね、この指輪を着けている限りは……絶対じゃないけど、魔法は効かないと思う」
「マジか?」
「それから、この魔石を手分けして各街の近郊で人通りのない所に埋めていきたいんだけど」
少し落ち着きを取り戻して来た3人に提案する。
「この魔石を埋めた場所に、こうやって移動出来るってことか?」
「緊急時に便利だろ?」
「人に観られない場所じゃないと…とんでもないことになるな……」
「俺とクリス、マークとユリアのコンビで別れて埋めていきたいんだ。声だけ繋げることも出来るから、埋めてしまったら合流して俺の部屋に帰って来るってことにしたい」
「分かった……マジでとんでもない魔法を使える様になってるんだな……」
「分かりました。連絡は毎晩くれるんですよね?」
「ウォルフさんと私ですね。分かりました」
3人の同意も得たので、【王都】の側をマーク達、逆の方角に俺とクリスってことで話を決めた。
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