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ターゲッティング

「ついに来たか......」


今日は、大会当日。

みんなはとても緊張していた。

会場はこの学園だが、知らない制服や知らない人達が沢山いる。


「えー、本日は晴天に恵まれて......」


学園大会の開会式。やはり、どの世界でも開会式は好きになれないな。

知らないオッサンの話を聞かされたところで、誰が得するというのだろうか。

むしろ時間がもったいない。やめるべきだろう。


「それでは、これより魔術学園大会を、開始致します!!」


パチパチパチと、拍手が巻き起こる。

さてと、無事始まったことだし、自席に戻るとするか。

俺は、大会の種目の載っている紙を見る。

最初はターゲッティング、リリアからか。


「リリア」


ふぁい?と間の抜けたような返事。緊張しているようだ。

アンドレ程ではないがな。


「大丈夫だ。今まで練習してきたことを活かせば、余裕で勝てる!お前なら出来る!」

「は、はいっ!」


よし、その意気だ。

リリアは、ロナに比べれば気が小さい方だが、魔力量ならロナに勝っている。

大事な場面でも、冷静に物事を判断できるのがリリアの強みだ。


『第一種目、ターゲッティング。該当の生徒は、待機所でお待ち下さい』


ハードロックという、音を反響させて大きくし、さらにそれを拡散させるという特性を持つ石での放送がかかる。

校内放送みたいなものだ。


「行ってきます!」

「おう」


リリアは走って行った。そんなに急がなくで、時間は間に合うのだが、まぁ気持ちが高ぶってるのだろう。

それに比べ、ロナはいつになく大人しい。


「ロナ、なんか大人しいが大丈夫か?あ!?」


こいつ......緊張し過ぎて真っ白になっている!?

さっきからまるで微動だにしない。

ただの屍のようだ。


「ロナ!ロナ!しっかりしろ!!」


まるで目を開けたまま気絶していたかのように、パチッと目覚めた。


「あぁ良かった。そんなに固まるんだったら、軽い運動でもしておけ」

「あ、うん。そうするよ」


そう言ってロナは立ち上がると、手首足首を回し始めた。

さて、そろそろ始まるかな。


『それでは、入場して下さい』


選手達が、ぞろぞろとステージへ入場して行った。

ステージは意外と広く、周りには沢山の板が置いてある。

どうやらあれを、先生達が魔術で持ち上げて浮遊させるそうだ。

そして、問題は他人と同じ場所だということ。一人づつやるわけではなく、全員でステージに上がるので、他の人よりも速く、多くの看板に魔術を当てるのが鍵となる。


「頑張れ、リリア」

『それでは、始めっ!』


うわあああっと、一切に看板が動き始める。それと同時に、全員が詠唱を始めた。

全員の狙いは一つ。

高得点の板だ。

あれを取れば、普通に倒すよりも五倍の特典が入る。

ただし早い者勝ち。

だから、俺がリリアの杖に施した改造は......


「ショット!!」


バンッと板に魔術が当たった。

そう、ショットだ。そしてそれを放ったのは、リリアだ。

俺が施した改造、それは魔術の発動速度や、弾速の強化だ。

誰よりも速く、とにかく誰よりも速く飛ばすことだけを意識した。

しかしその代わりに、精度と威力が減少する。

だが、リリアはそれを埋める技量を兼ね備えている。


「やった!」


思わず俺も声を上げて喜んだ。

その後も、リリアは凄い速度で魔術を放っていく。

最低限の威力で、最速で撃つ。

誰よりも速く、誰よりも正確に。

そして......


『終了です』


板が一斉に、気力を失ったかのように倒れた。

リリアは、疲れ果ててハァハァと息を切らしている。

これは、どうだ?ほかの学校でも、結構速い詠唱の人がいた。

最低でも上位には入っていると思うのだが......


『集計結果が出ました。一位、ディアノラ学園、エル・クロー!!』


なに!?


『二位、エイブラッド学園のリリア・ヒューミリー!』


リリアは、惜しくも二位だった。

しかし、リリアは落ち込んだ様子もなく、むしろ喜んでいた。


「や、やったぁ!!!」


本当に惜しかったが、二位は凄い結果だ。

これは素直に喜んでもいいだろう。

クラスメイト達も、みんな喜んでいた。

やったなリリア、よくやったぞ。

俺は帰ってきたリリアを褒めた。


「さすがだなリリア、やっぱりお前は凄いぞ!」

「は......はいっ」


照れているのか、顔が赤い。

しかしそれよりも嬉しさの方が勝っているようだった。


「一位は取れなかったですけど......」

「そんなもん気にするな、ほんの少しの差だ。惜しかったけど、二位でも充分すごいぞ!」


ロナはまた照れているようだ。

そして次は、ロナもレイラも出ない競技だがもちろん俺達の学園からも出る。

だが、他のクラスだったので、俺は干渉していないが......なんとかこのまま上位を保っていた。


「うーん......しかし、強いなあそこ」

「ディアノラですか?」

「あぁ」


聖ディアノラ学園。

毎年、俺達のエイブラッド学園と上位を争う学園だ。

あそこの生徒達は、生まれつきの天才が多く、気高い貴族が多いらしい。

それに今年は、勇者の孫であるアルスを差し置いて今一番注目されている生徒がいる。

それが


「聖ディアノラ学園の勇者候補、ノクディ・オロン。勇者の直系子孫であるアルスよりも勇者に近い男か」


今のところはノクディは出ていない。おそらく最後の模擬戦で出るだろうが、しかしそれでもディアノラは強い。

そんなディアノラ学園の中のトップともなれば、それこそ勇者に匹敵するほどの実力者なのだろう。


『第四種目、ハント。該当の生徒は待機所で準備をして下さい』


ロナの出番か。


「よし、ロナ。まだ緊張するか?」

「ううん、もう吹っ切れた。行けそうだよ」


そうか。最初は心配したが、もう大丈夫そうだな。

今のところは少しばかりディアノラに負けている。

ここでなんとか逆転したいところだ。


「頑張れ!ロナ」

「うん。頑張ってくる!」


しかし、ハントに出場するディアノラの選手は、俺達も驚いた。


「な、なんで......?」

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