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授業

「えー、魔術というのは......」


やはりルアンナ先生は、教えるのが上手いな。


「魔術理論では、どのようにして魔術を使えるようになったのかという歴史や、その魔術の原点などを学んでいきます」

「そして、魔術理論で学んだものを活かしていくのが、この魔術実技だ」


俺は、魔術を学ぶなんて初めての経験に心を踊らせていた。一時間目では、時間が過ぎるのも忘れ、いつの間にか二時間目になっていた。

まぁ、ほとんど今までの復習みたいな授業だったけど。

まぁ、今までというのは小中学校のようなところで学んだことであり、俺は学んでいないのでとても有意義な時間だったが、周りを見渡すと退屈そうな顔の人ばかりであった。

そして、今の二時間目にいたる。


「しかし、魔術理論とは違って、本当に魔術を使う。こちらの方が楽しいと思うこともあるかもしれないが、その分危険だから気をつけろ」


ゴルド先生は強めに言った。

また脳筋そうな先生だな。体育教師がお似合いだ。


「まぁ早速やっていくんだが、まずお前らの試験の結果を見たが......なんだあれは?」


おっとこれは......?


「お前ら、弱すぎる。弱すぎるぞ......あんな魔術で良く生きてこられたものだな!」


すごい暴言だ。俺の世界だったら、保護者からクレームが来るぞ。


「しかし!その方が育てがいがある。ということでお前らっ!これから三つに別れてもらう」


おうおう、話しがジャンジャン進むな。

やはり脳筋、俺達なんかお構い無しにおいていく。

まぁ、それがこの学校の方針に沿っているのなら良いのだがな。

そして俺達は、三つのチームに別れた。


「いくら強い冒険者と言えど、一人で魔王の城に飛び込んでいく奴はおるまい。つまり、チーム戦だ。チーム戦なら、自分の不得意なことをわざわざやる必要は無い。そんなこと、他の仲間に任せちまえ」


なるほど、言い方は多少強引だが、筋は通っている。

たがら役職がいくつかに別れているし、何人かのチームを組んでいる人が多いわけか。

一人がいくつものことを学んで極めるより、数人でバラバラに学んで、個々に極めた方が効率が良い。


「各々、自分の得意な役職は、だいたい分かっているはずだ。そのための試験でもあったわけだしな。どうしても分からないと言う奴は、俺のところまで来い」


リリアは、ヒーラー。ロナはタンクで、レイラはアタッカーのところに行っていた。

そうだな......どの試験もほぼ完璧に出来たし、特に自分の得意なことは無い。

ここは先生のところまで行く方が良いか。

というか、そんな選択肢を出してしまったら、少しでも迷いがある人はみんな来てしまうのでは?少なくとも俺のいた世界では、「どちらでもいい」という選択肢があれば、大体の人は無難なそれを選択していた。

だが、俺の予想は見事にはずれ、「分からない」という人は、俺と、勇者の孫の二人だけだった。

こいつは意外。

あまりいないのも驚きだし、何よりこいつ、アルスが分からないと言うのは、変な話だ。


「二人か。君たちは確か、上位二名だな?」


アルスは、勇者が良く頭に付けているやつを首に巻いていた。

巻いていたというか、首まで落としていた。

カッコイイなそれ。


「先生、俺は自分に向いているのなんて選べません。なぜならどれも出来てしまうから。俺の役職は絞ることが出来ない」


それを聞いた周りの人は、ザワザワと話をしだした。

しかし、どれも悪い方向では無く「かっこいい」や「すごい」などの黄色い声援まで飛び交う。勇者の孫は、とても人気があるようだ。

てか、まさか俺と同じ理由だったとはな。

アルスは俺のことを横目で睨んできた。

まだあのことを引きずってるのか。

まぁ、今日一日寝ればどうでも良くなるだろう。それを祈るしかない。


「それで、お前は?」

「あ、あぁ俺もだいたい同じです。自分が何に向いているのかが分からなくて」


うんうん、とゴルド先生は頷く。

そして、俺達の肩に手を置いて助言する。


「なら好きなのにしなさい」


助言では無かった。

この先生、めんどくさいだけでは無いのか?

少し疑ってしまったが、考えてみればそうである。

好きなものにするしかない。


「お前らはどれでも向いている。攻撃も防御も魔術も。なら、自分の好きなものを選んで、それを伸ばせ」


俺達は、顔を見合わせた。

ただし、アルスは睨んできたが。

そして同時に俺は役職を決めた。

どれでも良いのであれば、ヒーラーはどうだろう。

ここは攻撃に行こうと思いもしたが、他のクラスメイトを見る限り、ヒーラーの数が圧倒的に少ない。男はほぼみんなアタッカーに言っているし、少しタンクにもいる。お前ら女の子にタンクをやらせる気か?

まぁ、そんなわけで一番人数の少ないヒーラーをやる事にした。

そしてアルスは


「アタッカーをやります。俺の火力で敵を殲滅する」


と言った。まぁだいたい予想はついたけど、かなりの自信家だな。


「俺はヒーラーで良いですか?」

「うむ、二人ともよろしい。それぞれ別れて教えよう」


そう言って、先生はアタッカーから順にタンク、ヒーラーと、それぞれの役職の役目を教えていった。

ちなみに先生の役職はタンクだそうだ。

そんな感じだな。


「では、次の授業からそれぞれ専門の先生に来てもらう。各自気合を入れてくるようにっ!」


なんだそりゃ。次から先生がみんな違うのか。

まぁ、体育で男子と女子が分けられるようなものだろう。


「よろしくお願いしますしますね、ライルさん」

「あぁ、よろしくな」


リリアがなにやら嬉しそうな顔をしている。何か楽しいことでもあったのだろうか。


「それでは、解散っ!」

「「「ありがとうございました」」」


挨拶を済ませ、みんなはゾロゾロと教室へ戻る。


「ちょっとライルー!なんで私のところ来なかったのー?」


ロナが飛んで来た。


「あぁ、悪いな。どれも迷ったんだが、一番少ない所にしたんだ」

「ライルがいないと、少し寂しい」

「大丈夫だって、レイラ。お前なら俺がいなくてもやっていける」


レイラの頭にポンと手を置く。

すると、ロナもリリアも頬を膨らませて不機嫌そうにするが、何も言わない。

なんだよ。


「どうした?」

「......なでもないっ!」


プイッと二人ともそっぽを向いてしまった。

本当になんなんだよ。


「おいおい、仲良しごっこかい?俺も混ぜてくれよ」


ん?声の方を振り向くと、勇者の孫であるアルスがいた。

本当、感じ悪いやつだな。


「お前、たしかライルだったか?最初に言ったとおり、俺の足を引っ張るなよ」

「そんなことしないさ。大丈夫だから安心してくれ」


笑顔で受け流す。

内心腹たって仕方が無いが、こんなやつに構っている暇はない。

そして、アルスは帰って行った。


「感じ悪ー」

「あまり良い人だとは思えませんね」


あんなんでよく周りに好かれるよな。

まぁ、多分あれを見せているのは俺達だけのようだがな。


「さ、次の授業が始まる。早く行くぞ」


俺は三人を連れて行く。

この学園での生活は大変だろうが、とても楽しいものだ。

俺達は、早く強くならなくちゃいけない。

常にそう思うようにした。

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