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プラチナ級

つい、勢いでおっさんと言ってしまったが、実際にはまだ若く見える。二十歳か、その前後だな。調子乗ってる若者という感じだ。

なるほどな。コイツらが、昨日装備屋で言われていた馬鹿にしてくる他の冒険者ってやつか。

まぁ今は馬鹿にしてきているわけではないが、変に絡んでくるという点では同じだ。

それにしても俺がいるのになぜ......あ、そうか俺も女の子に見えるのか。

こんな幼い女の子達に男三人で襲いかかろうとするとは、このロリコンどもめ!


「なぁなぁ、いいだろ?俺達が色々と教えてやるよ」


色々の意味なんて知りたくもないが、ここは一つガツンと言ってやらないとな。

今後もこういう輩が出てくるかもしれない。

今ギルド内にいる人だけでも、俺達の怖さを知らしめておこう。


「おい、おま「やめてください。あなた達には何も教わりたくありません」


俺がしっかり言ってやろうと思っていたのに、先にリリアが相手を怒らせるようなことを言ってしまった。

おいおい、そんな刺激するように言って大丈夫なのか?


「あ?生意気なガキだな。おい」


男達三人は、俺達を囲むように広がった。

強行手段だ。


「へっへっへっ、これで逃げ場はもう無いぜ」

「大人しくしてろよー」


三人は一斉に飛びかかってきた。

が、


「遅い」


襲いかかるだけにね。

まぁ、俺が速いのかもしれないが、そんな隙だらけな体勢をするのは、アホとしか言い様がない。

呆気なく、三人とも腹に俺の攻撃を食らった。

バターンと床に倒れる。


「おぉ......」

「さ、さすがライルね!」


よせよ、これくらい朝飯前だよ。

と、俺はさっき食べた朝食のことを頭に浮かべながら思った。


「ぐっふ」

「な、なんなんだお前!?」

「はっはっはっー、俺達はただの駆け出し冒険者さ。次手を出そうとしたら......」


俺は腰に携えた剣の柄を持ち、構える。


「斬るぞ?」


すると三人組は、「ひっ」と悲鳴を漏らし、情けなく走り去っていった。あいつら、恥ずかしくないのか......?

というか、ほんの少しだけオーラを出したんだが、この程度でビビるのか。

あいつらもおそらく駆け出しだろう。


「おー!!」


三人組が出ていった後、ギルド内の人達が拍手をしてくれた。そんなに凄いことではないと思うが。

すると、その中の一人の女性がこちらへ向かって歩いてくる。


「あなた達、とっても強いのね。実はあの人達、他の女冒険者にも手を出していて、みんな困っていたの。だから今回はお礼をさせて欲しいわ」


そんな......俺はただ追い払っただけだってのに。別に助けたつもりは無いのだけれど、お礼をされたのは嬉しい。

今後、あいつらは懲りてくれれば良いのだけれど。


「お姉さんだれ?」

「あら、私としたことが申し遅れたわ。私はルアンナ・ウルクッド。よろしくね」

「よ、よろしくお願いします」


見た感じ魔術師ってところか。

魔術師特有の杖を持っているし、それは間違いないだろう。

しかし、わざわざ話しかけてくると言うことは


「それでね、ちょっと頼みたいことがあるのだけれど」


やっぱそう来たか。

普通、俺達のような子供に依頼するなんてあるわけが無い。

なにか企んでるな。


「あの、私達はさっき言ったように、ただの駆け出し冒険者です。まだスライム退治しかやったことも無いのに、依頼をこなせるとは思えません」


よく言ったぞリリア。てか、お前らもスライム退治しかやったことないのかよ。

まぁ、ゴブリンとかは頭が良いし、子供だけじゃさすがに無理か。そういうことを判断できるのが、この二人の良いところだ。


「あら、でも話はちゃんと聞いてからにして欲しいわ。何も依頼はモンスター退治だけじゃないのよ」

「え?」

「すぐ近くに、洞窟があってね。その洞窟にある鉱石を取って欲しいの」


ほう。鉱石ね、なんかあまり怪しく無くなってきたけど、そんな依頼だったらわざわざ俺達に頼らなくても、自分で取ってこれば良いじゃないか。この人強そうだし。


「しかし、私達だけで洞窟に行くのは......」

「あらそんなことするわけないじゃない。もちろん私もついて行くわ」


えー。そこから推測するに、俺達のように体の小さい人しか入れないようなところに鉱石があるか。またはただのお手伝いとして、駆け出し冒険者に依頼を受けさせてあげているのか。あるいはロリコンか。

そのどれかだな。


「あと、そこの剣の子」

「ん、俺か?」

「ええ、ちょっと話があるの。来てちょうだい」


お姉さんは、「借りるわね〜」と言いながら、俺だけを呼び出して表へ出た。


「率直に言うわ。あなた何者?」

「は?」


何者?という質問をされるということは、つまり俺の正体が分からないということ。俺が何かを隠しているのを、見破っているということだ。馬鹿な、どうしてバレた。


「私は見た通り魔術師をしているの。そっきあの三人を追い払った時、あなたはオーラを発したわね?」

「ま、まぁ。少し威圧はしましたけど......」

「こんな子供なのに、あれほどの魔力は見たことが無いわ。私以外は気付いていないようだけれど......みんな鈍感ね」


そうか、この人は魔力の量ではなく、質まで見ることができるのか。

というか俺の魔力ってそんなに強いの?

さすが魔王だ、恐るべし。


「それに、こうやって話ていても、全然子供っぽくないもの。変身魔法か何かでも使ってるわけ?」


あーもう、こりゃダメだ。

完全にバレてるな。どうやら魔王の力を受け継いだことまではバレてなさそうだが、俺の正体はバラせざるを得ないだろう。


「えーっと…...お気づきの通り、俺は子供でも無いし、女でも無いです。変身魔法で、見た目を子供にしています」


お姉さんは黙ってこちらを見ている。睨んでいるわけでは無く、特に殺気もないので、危険性は無い。


「見た目は子供頭脳は大人という事です」


どうだ?警戒心は溶けたようだが、まだ俺を疑っているのか?

俺は心臓バクバクで耐える。


「はぁ、確かにそのようね。少し驚いたけど、目の前に起こっている以上、信じるしかないわ」

「良かったぁ」

「ごめんなさいね。それにしてもなぜ変身魔法を使ってまでその格好を?変身魔法だなんて冗談半分で言ったつもりだったのに」


なんとか俺がモンスターであることを伏せて話せたが、今度は姿の理由か。

これも即興で行くしかない。


「えー、あの二人は過去に色々ありましてですね。訳あって俺がこの姿になってるわけです」


おいおい。我ながらなんてアホな答えだ。こんなんで納得してくれるのか?


「......そう。事情は聞かないけれど、お気の毒に」


良かったー、分かってくれた。

めっちゃ話のわかる人で助かった。

急に話かけてきて依頼をしたのも、わざわざ一緒に洞窟まで行くのも、俺の正体を知りたいためか。なら全て納得がいくな。


「ごめんなさいね。でもこれも、プラチナ級としての役割なの」


プラチナ級......お姉さんそんな強いのか。

どうりでいい目を持っているわけだ。


「さ、それでは行きましょう」

「え?もう行く必要は無いんじゃ......」

「いいえ、本当に鉱石が欲しいから依頼したのよ。目的はなにも観察だけじゃないわ」


なんだよ。結局、俺達は依頼に必要だったらしい。多分そんな大変なものでは無いだろうが、まぁ報酬が貰えるならいっか。


「改めてよろしく。ルアンナさん」

「ええ、よろしく。えっと......」

「あ、俺もまだでしたね。俺はライルです」

「ライル君ね。あなたの実力はまだ知らないけど、相当強いということは分かったわ。いざとなったら助けてちょうだいね」


いやいや、ご冗談を。どこのプラチナ級が、ブロンズ級に助けられるっていうんだ。

でも、これでプラチナ級ってやつの強さが分かるわけだな。上級冒険者の闘いを見れる、良い機会だ。

俺は、ロナとリリアとルアンナさんの三人と一緒に洞窟へ向かった。

初めての洞窟だ、今後行くことになるかもしれないし、なるべく攻略法へ知っておけるといいな。


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