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王都

ついに......ついに着いた。


「着いたー!!」


やった、やっと王都に着いたぞ。

周りは大きな壁に囲まれていて、そこからさらに高い城が顔を出している。

これが王都か......文明を感じるぜ。


「やっと着きましたね!」

「あぁ......」

「疲れたぁ」


思えば、長い度だったな......ってそんなことは無いか。

兎にも角にも無事、王都へ着けて一安心だ。


「それじゃあ、ライルさん。今までありがとうございました!」

「ご飯も美味しかったよー!」


そうか、よく考えてみれば、ロナとリリアをここまで送るために来たんだったな。

少し寂しい気分になる。

そこで、俺は一つ思いつく。


「いや、俺もついて行く。王都を見て行きたいし、どうせ帰るって言ってもあの森だ。俺の家ってわけじゃない」


べ、別に、別れるのが嫌だってわけじゃないんだからねっ。

それにしても、俺のようなモンスターでも王都に住めたりするのかな。まぁモンスターは無理だろうが、人間の姿ならバレないだろう。そろそろちゃんとした家が欲しいし、やはり人間らしく生きたいものだ。

俺達は、大きな扉の前に立った。

入るには、審査が必要だそうだ。

あそこの見張りに話しかけるらしい。


「あの、私達はブロンズ級冒険者のリリアとロナです」

「少しお待ちを」


そう言って見張りの人は、少し大きな、辞書のような本を取り出す。外に出た人の名簿のようだ。


「はい、確認しました。中へお入りください。次の方どうぞ」


うわぁ、どうしよう。冒険者登録とか何もしてないし、最悪、モンスターだとバレたら即殺されるという危険性もある。


「えーっと、この国の者ではないんですけど......」

「国民では無いのであれば、即刻退去してもらいます」


そんなに睨まなくてもいいだろ。

あーあー、厳しいお国ですこと。

何とかして俺の安全性を見せてやりたいのだが......本当の姿を見せるか?いや、それはモンスターだとバレるだけで、なんの策にもならない。


「今、魔王の封印が解けたという情報が入っていましてね。申し訳ありませんが、他の国民を受け入れることも出来ない状況なのです」


なるほどな、そういうことか。もしかしたら魔王を復活させた奴かもしれないしな。そんな奴を国に入れでもしたら......まぁその張本人が俺なんだけれども。

思いっきり国は正しいことをしていた。

ん?いや待てよ、それを逆手に取るか。


「俺は新人の冒険者になりに来たんだ。ほら、魔王が復活しただろ?なら、冒険者が必要なんじゃないか?」

「ふむ......」


見張りは、少し考える。

魔王が復活したなら、むしろ冒険者は必要なはずだ。少しでも戦力は多い方がいい。


「......なるほど分かりました。あなたの言う事も一理あるようです。ですが、あなたが安全で、国のためになるということを示してください。それなら、国に入ることも許可します」


やった!作戦成功だ。

しかし、どうやって国のためになることを示せば良いんだ?やはり、冒険者の上を目指すのか。

さっき、リリアが「ブロンズ級」とか言ってたな。ということはおそらく、ブロンズ、シルバー、ゴールドというように級があって、ブロンズが一番下だろう。なら俺は、その階級で一番上を目指せばいいわけだ。


「ライルさん」


リリアとロナが、こちらへ来た。

困っている俺に、何かアドバイスでもくれると嬉しいが。


「私たちと学園に通いますか?」


え?学校?二人は学園に通っていたのか。


「私達は、もうそろそろ学園に通い始める頃です。冒険者ギルドへ登録すると、学園へ通うことが出来るのです。学園で冒険者になるため、学ぶのですよ」


へぇ、そういう仕組みなのか。俺はブロンズ級ですら無いが。


「冒険者ですら無い俺が、いきなり通えるものなのか?」

「大丈夫、大丈夫。登録なんて簡単だから」


そうなのか。冒険者って、意外と誰でもなれるものなんだな。


「簡単になれる代わりに、ブロンズ止まりの人も多いけどね」


まぁ、本当に冒険者で上を目指すのかは後々考えるとして、まずは俺も二人と同じ学園に入れるようにしよう。

俺は一旦二人と離れて、冒険者ギルドへと向かった。



「ギルドへようこそ。本日の依頼は、あちらの掲示板にて掲載されております」


町の人に聞きまくり、ようやくたどり着いた。王都は広くて、ギルド一つ探すだけでも苦労する。

ギルドに入ると、受付のお姉さんが笑顔で教えてくれた。まだ、用があるのは依頼じゃない。


「えーっと、冒険者になりたいのですが」

「はい。それでは、ここに契約のサインをお願いします」


笑顔で手渡されたのは、利用規約のようなことが書いてある紙だ。

まず冒険者とは、下から順に『ブロンズ、シルバー、ゴールド、プラチナ、ダイヤ』の、五つの階級がある。ダイヤまで行くと、伝説級らしいのだが、ギルドマスターですら見たことがないらしい。まぁ俺はそのギルドマスターとやらも見たことないのだが。

最初はもちろんブロンズから始まり、成果を重ねるごとに少しづつ階級が上がっていく。

そして階級が高い方が、報酬金も多いらしい。


「ん、俺今は住所が無いんですけど......」

「では、家を購入なさった際に再びご記入ください」


ということなので、名前と性別だけ書いておいた。


「ご確認しますね。申し訳ございません、性別の欄に誤りがあるようですが」

「え?」


ちゃんと男にしたはずだが?


「男になってるだろ?」

「え!?あ、す、すいません!てっきり女性かと......」


ま、まぁ容姿がこれじゃあ無理もない。

お姉さんは顔を赤らめて謝った。


「それでは、登録は完了と致します。階級ブロンズまでは、一つの依頼をこなすことでなることが出来ます」


冒険者について学ぶって言っても、一個ぐらい依頼をこなしてもいいかな。

ギルドは意外と広く、酒場と合体している。

昼間っから飲んでいるオッサンが沢山いる。そういうところは、ファンタジー感があるけど、うるさくて仕方がない。まぁ、多少は賑やかの方が楽しいかもな。


「んー」


俺はさっき教えて貰った掲示板を見る。

最初だし、簡単な依頼からが良いんだけど、ゴブリン退治とかかな。

ゴブリン退治と言っても、色々種類があり、場所によっても変わってくるのだ。

俺が顎に手を当て悩んでいると、すぐ横に人が近づいて来た。


「おう、新人か?」

「あ、はい。あれ?」


男の他にも二人居たが、どれも見覚えのある顔。俺の記憶にはまだ新しい。


「ディミトリーじゃないか!」

「え、俺のこと知ってんの?」


三人は顔を見合わせて驚く。


「あっはっはっ、俺ってそんなに有名?」

「久しぶりだな!ディミトリー、オラース、レティシア」


ディミトリーは放置して、話を進める。

しかしまだ気付いていないようで。


「失礼ですが、どちら様で?」

「俺だよ、ライルだよ。」


三人はもう一度顔を見合わせた。お前ら本当に忘れちまったのか?

すると、あ!といった表情で振り向く。


「ライルってあの鳥の!?」

「シー!声がでかい」

「す、すいません。でもなぜそんな姿に?」


あ、そっか。そういえばみんな小さくなったと思ったら、俺は今人間の姿だったな。

どおりで気付かないわけだ。


「まぁ、いろいろあってな」

「いろいろ、ですか......それについては深く追求はしません。ですが、なぜ冒険者ギルドにいるのですか?」


そりゃお前、あれだろ


「冒険者になったからだろ」

「冒険者になったのですか!?」


いちいち驚き過ぎだ。お前らだって冒険者だろ?俺がなったらおかしいのか。


「それは嬉しいです!私達三人は、皆シルバーで、なかなかゴールドまで行けなかったんです。良かったら私達と組みませんか?」


うーん......ソロで行くつもりだったんだが、まぁどうせ俺は学園に通うんだし、最初のうちだけでもいいか。


「よし、なら少しの間だがよろしくな」

「はいっ!」

「なんか、俺達の方が階級上なのに、変だな」

「仕方ないでしょ、私達はライルの実力を知っているのだもの」


ま、まぁな。しかし、シルバーの人がついてくれたのはありがたい。冒険者とはどういうものかを、学園に通う前に予習できる。


「ところで、最初の依頼は決まりましたか?」

「あぁ、それが分からなくてな。なるべく簡単なのがいいんだが、何かオススメはないか?」

「そうですね......スライム退治なんてどうでしょう?」


スライムか。ゴブリンよりも弱かったりするモンスターだ。ファンタジーの世界では王道中の王道。たしかに駆け出しとしては適しているかもしれない。


「よし、ならそれで行こう」

「なら、私が申請してきますね。と言っても、この紙を受け付けに持っていくだけですが」


そう言ってオラースは、掲示板から紙を剥がし、受け付けまで持って行った。

すると、ディミトリーが俺をジロジロと見て


「そんな装備で大丈夫か?」


と聞いてきた。言われてみれば、他の冒険者は皆、鎧等を着ている。それに比べて俺は、ただの薄着だ。防御力皆無。

だが別に、鎧を着たところで邪魔なだけだし。そもそも攻撃を食らったことがないので、たぶんこのままで良いだろう。

だから、言うことは一つだ。


「大丈夫だ、問題ない」


俺はそう応えてやった。

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