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ボックスマンの断罪 (1)

 教室の扉を開けると、ちょうどそこに一人の女生徒が走って来て、通学鞄を手に持った彼女はそのまま廊下に出て、階段を降りて行ってしまった。


 彼女は泣いていた。室内に目をやると、十数人の生徒がみんな席に座って、下を向き、黙りこくっていた。


 季節は秋から冬になろうとしている。


 『箱』が届くようになって、一ヶ月が経った。



 最初の『箱』が届いたのは文化祭が終わってすぐの九月終わりの頃だった。一人の女生徒が学校にやって来ると、机の上にダンボール箱が置いてある事に気付いた。


 その中身は、紙切れが一枚。


 そこ何が書かれていたのかは、本人しか知らない。他の人がその紙面を覗き込むより先に、彼女は家に帰ってしまった。


 そして、その日から学校に来なくなった。


 『箱』はその日から生徒ないし教師の元へと届くようになった。その日の朝机の上に置いてある事もあるし、学校のどこかに置いてある事もあれば、直接本人に届くこともあった。


 最初は誰もその箱の中身を言わないから、何が起こっているのか周りの人間にはわかりようもなかった。ーー僕と尾下銀以外の人間は。


 『箱』は無い日もあれば、一個見つかる日もある。しかし、一度十月の初旬に十五個届いた日があり、その日の出来事によって『箱』は周知の事実となった。


 他の人には知られたくない、知られるとまずい秘密が書かれた紙の入った、『箱』が届く。



あなたを告発する

風紀を乱す悪人は学校には相応しくない

速やかに学校から去ること



 その例の十五個の『箱』の中身は、集団カンニングを告発する内容だった。


 夏前の試験時に、彼らは教師の目を盗み、カンニングペーパーを回しあっていたのだ。


 『箱』は教師の元にも届いた。それは生徒の秘密の告発であることもあったし、教師の秘密の告発もあった。


 生徒に手を出していた一人の若い教師が辞めることとなり、警察に逮捕された。


 十人の生徒が自主退学で学校を辞めた頃から、学校側もこの件を調べ始めた。


 学校に来なくなった生徒は一部休学扱いとなった。


 停学、休学、退学の手続きが、今日も行われているのだろう。



 秋から新しく担任となった老年の男性教師がやって来て、出席を取る。


 今日は、八人が休んでいた。


 文化祭の売り上げを正しく申告せず、その事を『箱』で告発され、十六人が学校に来ていないクラスもある。


 尾下銀の予期していた最悪のシナリオが進みつつあった。


 謎の『箱』の送り主は、生徒の間で「ボックスマン」と呼ばれていた。

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