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確率を操るのは  作者: 安藤真司
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15/34

可能性a/b

 綾文綾は嘘を吐いている。

 綾は過去に事故に遭っていない。

 否、綾に親しい間柄の人間の誰も、騎馬戦で事故になんて遭っていない。

 しかし、確かに綾は言ったのだ。

「騎馬戦は、事故が起きるから」

 と。

 そう、櫛夜はどこか違和感を覚えていた、覚えてはいたのだ。

 何故、どうして。

 綾は決して話が下手ではない。

 むしろ理論的な筋道を立てて話すことが多い。

 妹である弥々の話題に関してはその限りではないし、櫛夜相手にはその途中経過を置き去りにすることも多いが。

 しかし後に抜けた理論は補完するようにしている。

 綾は生徒会長であることも勿論含めて、かなり優秀な生徒である。

 理系志望ではあるらしいが、国立志望ということで国語に加え社会科目にも手を出している。

 櫛夜が伝え聞く噂によれば、全教科満遍なく成績は上位をマークし続けていたという。

 つまり、普通に日本語の能力も高いはずなのだ。

 だというのに、どうしてこんな表現をしたのだろう。

 櫛夜は考えた。

 しかし何も得られることはなかった。

 だからすぐにその違和感を無かったことにしていたが。

 弥々から聞いた一つの事実によって、この発言から裏が読める。

 綾文綾が隠そうとしていた事実の片鱗が見える。

 まず事実確認として、綾の周囲で事故に遭った人間が本当にいるものだとしてみる。

 その場合、小さな頃から姉が大好きだった弥々は必ず知っているはずである。

 姉の身の回りにそんな大事件があれば、知らないわけがないのだ。

 次に、今櫛夜が疑っているように、ほぼこちらが事実であるように思われるが、綾の周りで事故に遭った者などいないとしてみる。

 この場合。

 綾は櫛夜に嘘をついたことになるのだが。

 嘘を吐いたことそれ自体は些事である。

 当たり前に考えることだが、綾が"何故"嘘を吐いたのか、これを考えなければならない。

 櫛夜はしかし、既に気付いていることがある。

 綾がこの嘘で得することは一つしかない。

 何故ならば、この嘘をついた相手は一人しかいないのだ。

 そう、櫛夜にのみ、綾はこの話をしている。

 つまり、櫛夜に対して、何かを得たいが故に吐いた嘘であると判断するのが妥当であろう。

 そして、綾が櫛夜をどうしたのかと言えば、これは無論生徒会の役員に勧誘したと言うべきである。

 綾は、櫛夜を生徒会に勧誘するために、この嘘を吐いた。

 そう考えられる。

 だが、それでもまだ不十分なのだ。

 このように考えた場合、綾がどのような発想から、そんな嘘で櫛夜が生徒会に入ると踏んだのかがわからない。

 さらに言えば、櫛夜は自分が生徒会に誘われた理由を、ジャンケンで勝てる能力が必要だから、と話されていたが。

 そもそもジャンケンで勝ちたい理由は体育祭の新種目を綾の思うようにしたいからであり、しかし今その新種目を思い通りにしたい原因は嘘かもしれない。

 となれば、櫛夜を誘ったことについてもジャンケンで勝てるから、という以外に理由があるのかもしれない。

 疑い出すと、全てが矛盾しだす。

 けれど。

 弥々の話したことと、綾の発言を鑑みるに。

 ある結論に至ってしまった。

 

 

「こんな朝早くに何かしら、櫛咲くん?」

「ええ、確認したいことがありまして」

「奇遇ね。私も確認したいことがあったのよ、昨日のこと」

「昨日?」

「あらお忘れかしら。あなた昨日私のかわいいかわいい妹とデートをしているじゃない」

「今はそんなことはどうでもいいです」

「そんなこと?」

「そうです、そんなことと言わせて頂きます」

「へーえ?」

「綾文会長、あなた俺に嘘吐いてますね」

「……急に何かしら」

「いえ、嘘といっても、よくよく考えれば俺が勝手に勘違いしていただけの話、かもしれませんが」

「何の話しかしらね」

「誤解を知りつつ何も訂正しないのは結局嘘を吐いている事と変わらないと思いますよ」

「ねぇ、だから一体何の」

「綾文会長は過去に騎馬戦の事故になんて遭遇したことはない。違いますか?」

「……どうしてそんな風に思うのかしら」

「弥々に聞きました。そんな覚えはない、と」

「ま、弥々が嘘を吐くことはないものね。その可能性は私が除外しましょう。でも、弥々にだって知らないことは沢山あるわよ」

「そうかもしれません。でもそれだと納得がいきません」

「納得って、それは櫛咲くん自身の問題じゃないの」

「俺自身の問題だからこうして綾文会長の前にいるんですよ」

「なら、何が納得いかないのかしら」

「弥々が綾文会長に関して、綾文会長がこうまでして避けたいと願うようなトラウマを植え付けるような事件について、知らないなんて本気で言ってるとはまず思えませんね」

「……それだけかしら」

「いえ、もう一つあります。もう一つ、決定的で確信的で、それでいて信じたくもない理論が」

「随分遠まわしね。まだ整理できていないのかしら?」

「整理のしようがなかったんです」

「まぁいいわよ。順序は気にせず話して頂戴」

「昨日のデートの最中、弥々がこんなことを言っていました」

「なに?」

「自分たちは誰かによって操られた物語ではないかと不安になってしまう。それくらいに現状は上手くいきすぎている」

「弥々らしいわね。自分で掴んだものに対して、自信を持てない」

「ですね。それは悪い癖だと思います……それとまた、今の自分たちが世界をループしていないか、とも不安がっていました」

「ループ、って、同じ時間を繰り返してるってこと?」

「はいそうです。何度も同じ時間を、ね」

「なんだかスケールの大きな話ね」

「綾文会長」

「『騎馬戦は、事故が起きるから? 』」

「……」

「どうして、事故が起きる可能性があるからではないんですか」

「……」

「どうして、事故が起こったからではないんですか」

「……」

「どうして、事故が起きやすいからではないんですか」

「……」

「どうして、当たり前のように、未来形なんですか?」

「……」

「ひょっとして、綾文会長、未来が視えてるんじゃないですか?」

「……」

「或いは、ループした過去とやらを覚えているんじゃないですか?」

「……」

「さぁ、どうなんですか、綾文会長」

「……」

 沈黙。

 沈黙がしかし、肯定するよりも雄弁に「的外れではない」ことを証明してしまっている。

 それだけで既に櫛夜としては十分だとも言える。

 だが、それにしたって、荒唐無稽な発想である。

 一体どんな秘密があるのか、知らない事にはもはや櫛夜の思考は先には進めなさそうである。

「今更そんなこと言うのね。櫛咲くんは」

「今更も何もないでしょう。話してください、綾文会長」

 綾は観念したようにため息をついた。

 時刻はまだ朝の七時半である。

 櫛夜の方から綾に用がある、と呼び出したのが日曜の夜。

 時刻設定は昼でも良かったのだが、なるべく早くの方がいいだろう、と朝のホームルームが始まる前にしている。

 逆に言えば、まだホームルームが始まるまでに一時間の余裕がある。

 綾がおもむろに口を開いた。

「これ以上は、隠せそうにないわね」

「じゃあ」

「ええ、私の知っていることは話しましょう。全部ね」

「……お願いします」

 櫛夜も居住まいを正す。

 自身の予想からも、そして目の前の綾の雰囲気からも、恐らくはあまり良い話ではないだろう。

 何か黒いものを感じている。

「先に誤解のないよう言っておくけれど、そのループって現象は、本当に知らないわよ」

「……そうなんですか?」

 綾は、しっかり、十秒以上も言葉を溜めて。

 そして言い切った。

 

「私には未来が視えてる」

 

 櫛夜は、驚かなかった。

 充分に予想できていた展開だ。

 そうでなければ、綾のあの発言はなかっただろうから。

「それは、能力ですか」

「能力、なのかしらね。自由に視ることは出来ないわ」

「一日に一度、とか?」

「ええ、一日に一度勝手に視えてしまうわ。あぁそれと、十円玉拾う能力なんてないわよ」

「でしょうね」

 それもまたすぐに考え付いていた櫛夜はすぐに頷く。

 綾の口ぶりから察するに、櫛夜があのタイミングで十円玉を落とすことを、綾は知っていた、あるいは、視えていたのだろう。

「でもね、私に未来が視えるようになったのは今年からだし、見えた未来は、たったの二つ」

 綾の顔がみるみる暗くなっていく。

 櫛夜の心にまで侵食してくるほどに。

 その表情から、櫛夜は思ってしまう。

 綾がどれだけの想いを秘めて隠して、自分に接してきていたのだろうか、と。

 これから話される内容が、どれだけ重いのだ、と。

「一つは、今言った通り、櫛咲くんが十円玉を廊下に落とす、って事実」

「はい」

「もう一つは」

「……もう一つは、何ですか?」

 

「体育祭の騎馬戦の事故で、友莉が、大怪我を負って、寝たきりになってしまう未来」

 

 そちらには驚く。

 驚きを通り越して、櫛夜の胸が痛む。

 なんだそれ、と。

 何をそんな重たい話を、自分一人で抱え込んでいるんだこの人は、と。

 そんな気持ちも少しは持ったまま。

 そして、それとはまた別に、もう一つの可能性に関しても思考を走らせる。

「……それは絶対に起きそうなんですか」

「私にははっきりと視える未来だけれど、これが絶対、とは言い切れないわね。そこまでこの未来視について検証は出来ていないわ」

「そう、ですか」

「だから私はそれを止めたくて。櫛咲くんを勧誘して。それで、まぁ、なんとか別の競技にしたかったのだけど」

 そこから先、綾が言いたいことは櫛夜にはよくわかる。

 櫛夜はそう、奏音達二年生の側に味方し、綾を裏切る形で競技を決定している。

 まさにその騎馬戦を選ぶ形で、だ。

 何故そうしたのか、櫛夜自身もきちんと整理出来ていない部分、あるのだが。

 それは今問題ではないだろう。

 友莉。

 侑李友莉。

 生徒会広報を担当する二年生で活発元気な少女。

 勉学も運動もかなり上位に位置し、さばさばした性格から友人も多い、ある意味完璧な人間像とも言えるのかもしれない。

 そんな彼女が、寝たきりになってしまう。

 特に綾は去年一年間を生徒会役員として一緒に過ごしているはずである。

 そんなもの、止めたいに決まっているだろう。

 しかし、未来が視える、などとは話しづらいだろう。

 確証もろくに得られず、だがリアルな未来視は毎日起きる。

 隠して生きていくことがどれだけ大変なのか、櫛夜には想像もつかないが、相当に大変であろうことはすぐにわかる。

 そして、これから先の対処方法に難があるのも事実だ。

「確かに、これは誰にも相談できないですね」

「誰も信じてはくれないでしょうね。私、今だって櫛咲くんがすんなり信じてくれるかどうか、半信半疑だったからね」

「それが普通の感性だとも思いますよ。普通なら信じません」

「私たちはとっくに普通じゃあ、ないものね」

「とっくに、の定義にもよりますけどね」

 

 

 それから少し、二人は沈黙のままでいたのだが、やがて綾は口を開いた。

 机の上に置いた手を組んで、少し俯いている。

「櫛咲くん、これから先、どうしたらいいと思う?」

 その手は、震えている。

「当然、事故は避けなきゃ、ですね」

「うん、でも、どうしたら」

「とりあえず、仲間を増やしましょう」

「……仲間?」

「そうですね、俺たちだけで考えていても仕方がありません。少なくとも俺には今一つも打開策が浮かびません」

「打開策って、まだ何にも話し合ってないじゃない」

「いえいえ、どうせなのでもう一つの可能性にも声をかけておきましょう」

「もう一つの可能性?」

「綾文会長がそうであるなら、たぶんもう一人もそうなんじゃないかと思いまして」

 綾は全く訳が分からない、といった表情をしている。

 櫛夜が分からないように話しているのだから無理もない。

 これはせめてもの櫛夜なりの嫌がらせである。

 もう一つの可能性など、櫛夜にはわかりきっていることであるが、綾には何の話かわからない。

 櫛夜は携帯電話を取り出す。

 普段、校内で携帯電話を使用することは禁じられているが、櫛夜は今くらい何も言わないで下さいよ、といった顔でしれっと電話を掛ける。

「あぁ、少し遅くなった。今から来てもらえるか? あぁ、うん、じゃ」

 簡潔に用を済ませ、櫛夜はすぐに携帯電話を鞄にしまう。

「……誰?」

「もう一つの可能性ですね。実は綾文会長との話がこんな流れになるんじゃないかと思いまして、あらかじめ電話を掛けたらここに来てもらうように連絡をしておきました」

「……信用出来るんでしょうね?」

「知ってのとおり、俺は交友関係が狭いですから」

「あぁ……」

「そこで納得されるのもなんか釈然としませんね……」

「ってことは、生徒会の誰か? まさか友莉じゃないでしょうね?」

「もちろんです。俺だって友莉がそういうことになる、って部分は予想外でしたから。それにもしそうなら今こんなタイミングでは呼びません」

「ふぅん、弥々、ってわけでもなさそうね」

「ですね。最終的には相談に乗ってもらいたい気もしますけど」

「いい加減に教えてちょうだい。誰なの? 協力してくれそうなのは」

 言った通り、櫛夜はその人物とコンタクトを取っている。

 しかし、まだその内容については一切触れておらず、確認もこれからである。

 だが、昨夜の時点で、何かあることについてはほぼ確証へと変わっていた櫛夜は、綾以外にももう一人、会う約束をしていた。

 綾に朝早くに会ったのはそのためでもある。

 その、もう一つの可能性とは相手とはもちろん。

「来ましたね」

 足音が聞こえる。

 この時間に生徒会室に真っ直ぐ来る者などそうはいないだろう。

 櫛夜の言う人物のものだ。

 ガラガラと音を立てて、生徒会室のドアを開けたのは。

「……あれ、綾文会長?」

「奏音」

 そう、奏音だった。

 綾と奏音が驚きの顔で互いに見合う。

 櫛夜がとりあえず座ってくれ、と奏音を促す。

 どんな状況なのだ、と言わんばかりに神妙な面持ちで二人は櫛夜を見る。

 櫛夜は別に悪い事をしたわけではないのだが、どことなく自分が責められているような気持ちになり、少しだけどきまぎしていた心を落ち着かせる。

「色々順序立てて話したいことはあるんだけど、まず狩野、聞いて欲しい話がある」

「え、えぇ、昨日メールで言っていたこと、よね。話したいことと、聞きたいことがあるって、それ綾文会長にも関係あるの?」

「ある。ひとまずはこっちの話を聞いて欲しい」

「……よくわからないけれど、いいわ、聞きましょう」

 奏音は自分の疑問点を一旦脇に置くことを決めたらしい。

 この辺りの切り替えの早さもこれまでに養ってきたものの賜物か。

 元々そういった性格の持ち主なのか。

 そこまで櫛夜には判断できない。

 出来るほど奏音と話したことはないのだ。

 櫛夜は順に話し始めた。

 綾が実は未来が視えるということ。

 その未来で、友莉が重傷を負うらしいこと。

 それを阻止するために櫛夜を勧誘したこと。

 奏音もまた、その突拍子もない話に、多少、驚愕の色を見せつつも、全く信じていない者の出す呆れた空気を微塵も感じさせなかった。

 その様子に、櫛夜は再度の確認をする。

「今までのことに俺が気づいた理由の一つに、綾文会長が騎馬戦について、こんなことを言っていたって背景があるんだ」

「なに?」

「『騎馬戦は、事故が起きるから』」

「……なるほど」

「聞き覚えあるよな? 狩野に聞きたいことってのはそれだ。『飛びつき綱引きは、事故が起こるから』って最初言ってたよな、狩野は」

「その後、『起きた』とも言ったような気がするけどね」

「今はそんな枝葉末節はどうでもいいさ。で、どうなんだ、何か思い当たる節でもあるんじゃないか」

 そう、もう一つの可能性とは、このことである。

 綾は言った、『騎馬戦は事故が起こる』と。

 奏音は言った、『飛びつき綱引きは、事故が起こる』と。

 両者ともに共通している言い分を櫛夜は聞き、それぞれの立場を、境遇を、あれこれ考えて新競技を決定するジャンケンに臨んだ。

 だからこそ思ったのだ、綾文綾が嘘を吐いているというのであれば、狩野奏音も嘘を吐いているのではないか。

 別に嘘、といってもそれはここでは悪い意味ではない。

 櫛夜も別に、騙されたことに怒っているわけではない。

 そんな感情は一切抱いていない。

 だから今櫛夜が奏音に要求しているのは、真実の提示である。

 隠していることは構わない、しかし、隠している理由があるならそれをきちんと話せ。

 何か自分だけで抱え込んでいるならば、解決云々はともかく、こちらに情報は渡しておけよ。

 そういった類の、ある種図々しいと呼ばれるかもしれないことを要求している。

 それも、綾の話から察するに、恐らくだが奏音の抱える問題も。

「そうね。そんなことになっているだなんて思わなかった……わかった、話しましょう。私にも未来が、視えます」

 奏音が落ち着いた口調で、はっきりと宣言した。

 自分には、未来視が出来る、と。

「未来は自分の意思で自由には視れません。はっきりと視えるものがここ最近ずっとあって、その、その内容が」

「……あぁ」

「体育祭の飛びつき綱引きの事故による友莉さんの大怪我、です」

「……やっぱ、そうか」

「ちょ、ちょっと待ってよ」

 頷く櫛夜に、慌てる綾。

 綾は、奏音の発言から、また一つ、大きな問題が浮上した事実を見逃さなかった。

 櫛夜も、奏音も、当然その問題点に行きついていたが。

 言葉にするのは憚れる。

 やはり。

 今の自分たちは。

「私には、騎馬戦で怪我を負う友莉の未来が視える。そして奏音には、飛びつき綱引きで怪我を負う友莉の未来が視える。それってつまり」

 綾の発言の続きを櫛夜が受ける。

 綾も奏音も、気付いていながら半信半疑であることを隠せない。

 櫛夜とて、その気持ちはあるのだが、一晩色々と考える余裕があった分だけ、まだ落ち着いている。

 

「繰り返しているんだと思います。騎馬戦か飛びつき綱引きか、どちらにせよ、侑李友莉が重傷を負ってしまうという時間を」

 

 そうとしか考えられない。

 ただ一つの結論。

 時間の迷路に取り込まれている、という事実を。

 本当の意味で認めることなど、櫛夜にも綾にも奏音にも出来なかったが。

 自分達にある、謎の力。

 その存在の所為で、または、おかげで。

 少なくとも表面上は。

 三者三様に、黙り込むことが出来たのだった。

 それしか出来なかった、とも言えるが。

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