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第3話 そのメイド、規格外につき

この異世界キャンベルに転移してきて、はや一年半。

メイドとしての日々は驚くほど順調だった――つい数秒前までは。


先ほどまで多くの学生が穏やかに過ごしていたヴァラッセ記念高校は、地獄と化していた。


突然の大爆発。

被害状況は未知数。


幸い火は出ていないが、周囲はパニック状態だ。

逃げる者、倒れている者。


助けが来るまで、数分はかかるだろう。


マリンはパルフィールド講師(以下パルフィ)の機転で押し倒され、低姿勢になっていた。

二人とも呼びかけに反応がない。


床に血がにじんでいる。

パルフィの血か、それともマリンか。


……どうする。


回復呪文を使うか?


呪文の使用はリスクが高い。


この世界の人間に、あたしの呪文がどう作用するか分からない。

試しにそのへんのネズミに使ったときは問題なかったが、それだけでは判断できない。


それに――


あたしの魔法は、この世界の魔法とはまったく別物だ。


MP(自身の魔力)を消費しての即時発動。

性質そのものが違う。


これが知られれば、ただのメイドではいられなくなる。


それは――困る。


見たところ2人の傷は浅い。

様子を見るべきか――


「がはっ……」


……まずい。


マリンが吐血した。


内臓損傷か。


考えるな、動け。


パルフィを引きはがし、マリンの気道を確保する。


パルフィは無事だ。

意識はないが、命に別状はなさそう。


だが――


マリンは危険だ。


「これはもう、やるしかない」


迷いは消えた。


中級回復呪文ラヒールを発動する。


彼女の白い肢体についた傷がみるみる回復していく。

この呪文は本人の治癒力を一時的に高めるものだ。


僧侶やっててよかった。


安堵しかけた、その瞬間。


「いた!ハイヴェール家の一人娘だ!護衛のメイドが一人いる!」


敵か。


状況は単純だ。テロ。


目的は――マリン。

しかし、欲しているのは命か、身柄か。


彼我の距離は約20メートル(この世界では14クラッセっていうんだっけ?)


幸いあたしの腰には拳銃がある。撃つか、様子を見るか。


しかしよく見ると敵は銃を持っていない。

共和国《この国》で銃を持たない市民は非常に珍しい。


――まぁマリンもそうなんだけど。


するとこいつらは魔法使いか。


マリンの命を狙ってきたとしたら危ない。

彼女の家は恨みを買ってるらしいからなぁ(あたしの仕える家でもあるけど……)


しかし魔法使いなら楽勝だ。銃の方が速い。


銃を構える――爆発の衝撃でうまく動くかどうか。

まぁやってみりゃいいか


撃つ。


パァン!


銃声。


敵が膝をつく。


ヘッドショット。


……当たるじゃん。


戦士時代に取った「武器熟達」が銃にも適用されているようで驚く。


「ハイマーがやられた!」


増援が三名ぞろぞろとやってくる。


男二人、女一人。


だがこの距離なら問題ない。


――先手必勝!


三人に向けて連射する。


だが――


手応えがない。


外れている?


いや、おかしい。


「やばい!あのメイド、ためらいなく撃ってくるぞ」

「焦らないの……」


女が何かしている。


弾かれている?


風魔法かな。


ここにきて展開したなら早すぎるから常時展開型か。


まだよくわからない。


「……うーん、これじゃだめかぁ」


拳銃が通じない。


どちらにせよピンチだ。


あたしの取れる選択肢は2つ。


どっちもリスクがあるけど、今はこっちの方がマシかな。


「クーちゃん、力を貸して!」


「はい。信者ポイント1ね」


「あとで布教しとく」


空間神の加護。


指定空間から物を取り出す。

(今はあたしの部屋を指定している)


取り出したのは大口径ライフル。


撃つ。


だが、倒れない。


風魔法じゃないのか?


距離が詰まる。


魔法使いの射程は10クラッセ。そろそろ交戦距離だ。


――なら。


「ラフェルノ!」


火球を叩き込む。


そのまま前へ。


数歩踏み込んだ瞬間、気づいた。


幻影だ。


空気を歪めて位置をずらしている。


だから銃は当たらなかった。


風魔法で力技かと思ったけど、応用が利くなぁ!この世界の魔法は


「ケッ!俺の火属性魔法と撃ち合おうってか――」


遅い。


爆ぜる。


あたしの火球に張り合った敵は一瞬で消し炭になった。


そのまま流れるように、もう一人の男を葬る。

クーちゃんの加護で引き寄せたナイフが鮮血に染まった。


残りは一人。リーダー格の女だけ。


「あら、しつけがなってないメイドね」

「これでもお行儀よくしたつもりなんですけど」


あたしはナイフを投げ、死地へと飛び込んでいく。び込んでいく。

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