episode62
浩史と喜多川が警察に連行された後、被害者である若葉を筆頭に関係者である新にダニエル、それに直道も調書を受ける事になった。新とダニエルはストーカーにあっていた事くらいしか分かることが無かったので直ぐに解放されたが、被害者である若葉は勿論、加害者の父親である直道も長時間拘束される事になった。
「若葉...大丈夫かな。酷く取り乱していたし...。それに直道さんも。」
「アラタ...。今の私達はただ待つことしかできまセン。だから落ち着きマショ?」
「そ、そうだよね。...ごめん、ダニエル。」
「アラタが謝ることはありません!そうだ。楽しい事でも考えマショ!明後日はクリスマスイブデス!ワカバにプレゼントは用意シマシタカ?」
「ダニエル...こんな時に...」
「こんな時だからこそデスヨ!」
ダニエルはそう言うとウインクをして見せた。...まったく。ダニエルには調子を崩される。
「用意はしてあるよ。それもだいぶ前からね。」
「では、イブは2人きりで過ごして下サイ!」
「え?ダニエルはどうするのさ。」
「アラタ、日本ではイブは恋人同士で過ごすと聞きマシタ!私もヤボな事はしません!どうぞ2人で過ごして下サイ!」
「...ありがとう。ダニエル。」
新はダニエルの明るさに救われた気がした。そうしていると若葉と直道かほぼ同時に取調室から出てきた。直道は若葉にどう声をかけたらいいか分からず、若葉に目をやれないでいた。しかし、若葉の方から直道に抱きついてきた。
「...若葉?」
「おじさん。おじさんは何も悪くない。だから自分を追い詰めないで、ね?オレはもう大丈夫だから!たしかに怖かったけど...でもおじさん達が警察呼んで助けてくれたんでしょう?」
「だから、ありがとう皆。」若葉はそう言うと笑顔を3人に向けた。その笑顔は傍から見ればカンペキな笑顔だが、若葉をよく知る3人だからこそ分かる。若葉は無理をしている。一見何ともない笑顔だが、どこかぎこちなく感じる。しかし、若葉は3人を心配させまいとの行動なので、それを無駄にしたくはない。だから3人は普段通りに振る舞う事にした。
「ワカバ!遅くなりましたが夕飯は何が食べたいデスカ?」
「ガキ共、喜べ!おじさんがピザとってやる!」
「そんな、悪いよおじさん!」
「若葉、こういう時はお言葉に甘えよう?」
「そうだぞ?好きなの頼んでいいからな!」
4人は警察署を後にしようと外に出た時、空から雪が降っていた。
「お!雪か。通りで冷え込んできたわけだ。」
そう言うと直道は若葉に自分の着ていた上着を着せた。若葉は遠慮して返そうとしたが、「おじさん鍛えて筋肉あるからこのくらい平気だ。」と言って若葉からの返却を断った。
「今年のクリスマスはきっとホワイトクリスマスになりそうだね。」
新はそう言うと若葉の手を取りギュッと握った。掌から伝わる新の熱に若葉の心は温かくなっていった。




