episode54
若葉はまさか、自分のそばに犯人がいるとは思わず顔を真っ青にした。
「若葉...大丈夫だから。家の中にいれば安全だから。少し深呼吸しよう。」
「ハァハァハァ...あらた...新ァ!」
なんで自分ばかりこんな目に合うのだろうか。そう思うと若葉は涙を止める術がなかった。こんな痛々しい姿を見て、ここにいる全員が居た堪れない気持ちになった。新は若葉を抱きしめると、背中を優しくさすった。
「大丈夫。大丈夫だよ。オレ達が、皆がついてる。それに絶対捕まえてみせるから。怖がらないで。ね?」
「でも、皆に迷惑かけちゃう...!!」
「あのな、若葉。今は迷惑とか考えなくていいんだぞ?むしろ頼れ!」
「そうデスヨ!頼って下サイ!私達は皆ワカバのナイトデス!」
「...こんなヤツ気にとめなくていいんだよ?僕らがついてるから。ね?」
若葉は皆の励ましの言葉に胸が温まっていくのを感じ、流れる涙は次第に収まっていった。
「ありがとう、皆。オレ、負けないよ。絶対ストーカーの思い通りにならない...!!」
「そうだね。それじゃあ今日はもう休もうか。僕は父さんがついてくれるみたいだし帰るよ。」
「...来てくれてありがとう。浩兄。」
「それじゃあ、皆おやすみ。」と言って浩史は自宅へと帰って行った。
「オレァ、リビングのソファーで寝させてもらうかなぁ。」
「ナオミチがイヤでなければ、私と客間で寝ませんカ?」
「いやぁ、おじさん人がいると寝れねぇんだわ。」
「とは言え夫婦の寝室はなぁ。」と言うので若葉は毛布を持って直道に渡した。
「おじさん。コレ使ってね?暖房は入れたままでいいから。」
「おう。ありがとさん。お前ら風呂入ってないんじゃないか?」
「「あ。」」
「まぁ、明日でいいだろう。今日はもう寝ろ。」
「分かった。それじゃあ、おやすみ。おじさん、ダニエル。」
「おやすみなさい。」
若葉と新は就寝の挨拶をして2人で若葉の部屋へと行った。そして若葉がベッドに入ると、それに続いて新も入ってきた。
「ちょ、...新。狭いよ?」
「大丈夫大丈夫。1人で寝るより温かいから。ね?」
「ンーっ!もう!おやすみ!」
「こーら。若葉。おやすみじゃないでしょ?」
「えっ?...んン...」
新は若葉をギュッと抱きしめるとキスをしてきた。いつもなら啄む様なものだったのに、今日はいきなり舌をねじ込んできた。
「ん...フッ...んぅ...」
「...これで少しは温まった?」
「...!!バカ!」
若葉はそう言い捨てると新に背を向けた。そんな若葉の様子に、新は「やっぱり可愛いなぁ。猫みたい。」と思いながら若葉を抱きしめたのだった。




