episode37
「ん...なんか、しびれて...動け、ない...手...手錠...?それに...え?服...は...?」
若葉は目を覚ますと、手には手錠、そして服は身につけておらず、白い布で身体を包まれていた。そして長髪のウィッグまで被らされているらしく、アトリエのステージの上には沢山の白いバラと共に長い髪が踊っていた。
「お目覚めかな、佐倉君?」
若葉が混乱していると、喜多川は静かに近づいてきた。
「やはりこの様を描くのには君がモデルになってくれるのが1番美しいね。僕の目に狂いはなかったよ。ね?彼氏君?」
「ンー!ンー!!」
「あら、た...?!」
若葉がなんとか新に目をやると、口に枷をされイスに縛り付けられていた新が映された。
「僕もね?こんな手荒なマネはしたくはなかったんだよ?でも抵抗されるのはこまるから...ね?」
喜多川はそう言うと、若葉の近くに構えたキャンバの前に座り絵を描き始めた。
「僕はね、佐倉君。理想の絵を描くことに興奮を覚えるタチでね...。今、最高気分だよ...!」
若葉とキャンバスを交互に見る目は血走り、息は荒くなっていた。
それからどれくらいの時間が経っただろうか。鉛筆を動かしていた手は止まり、喜多川は立ち上がると若葉の元へとやって来て若葉に覆いかぶさった。
「せん、せい...?なに...」
「あぁ...美しい...。君はまさに天使だよ...」
喜多川はそう言うと、若葉の頬に、はだけた肌に手を滑らせた。
「や...やめ、て...」
「あぁ、怖がらなくても大丈夫。ただ触れるだけだよ。でも嫌がるなんて...。今までのモデル達は喜んで僕に身を委ねていたと言うのに...」
すると喜多川は若葉の身体を起こし、キャンバスを若葉に見せてきた。そこにはバラに囲まれ横たわった長髪の片翼の天使が描かれていた。その絵からは美しさだけでなく、色気や哀愁が漂っていた。
「こ、れが...オレ...?」
「そうだよ?君は眠っていた間、僕に触れられて善がっていたんだよ?だからこの絵からは色気が溢れているんだ。...だから...」
喜多川が言葉を続けようとしたその時だった。喜多川の身体が窓際までぶっ飛ばされた。どうやら自力で拘束を解いた新が手を下したようであった。
「お前は絵を描くのを言い訳に、自分の欲求を満たしたいだけだ。絵を描く資格ないよ、お前。」
新はそう言うと若葉の手錠を外し、服を着替えさせアトリエを後にした。




