episode32
翌日、若葉は借りた女子制服とウィッグ、メイク道具を持って登校した。思ったより大荷物になってしまい、歩くのがしんどかったが、「これも新の友情のため...」と思い少し頑張ったのであった。
「おはよう、佐倉。いよいよ今日だな!」
「おはよう...なんでお前らが楽しそうにしてるんだよ。」
「いやぁ、佐倉の初々しい恋を応援しているだけよ?ま、安心しろ。お前が男と付き合ってるの知ってるのはクラス内だけだから。委員長が箝口令を出してさ。」
「委員長...。感謝してもしきれない...」
「お礼は購買の幻のシュークリームでいいわよ!」
「「!委員長!」」
「おはよう皆!」と若葉の後ろからヒョイっと現れたクラス委員長に若葉を囲んでいた男子達はビックリした。
「あんまりこういう事は広まらない方がいいからね。...ウチのクラスが特別偏見を持たなかっただけで、他のクラスの人達はわからないから。」
若葉はクラス委員長に対して「面白がってるだけだと思ってごめん。」と心で呟き、「ジュースも付けるよ」と伝えた。
「佐倉君の持ってきたウィッグってロングヘアーのヤツよね?」
「?うん。そうだけど...」
「雑誌で可愛い編み込み載ってたからそれしてあげる♡可愛さレベルアップよ!」
「いやいや...別にそこまでしなくても...」
「佐倉君。彼氏君にもっと可愛いところ見せたくない?ね?」
「そーだぞ佐倉。委員長様の言うことは聞いておけば間違いなしだ。な?」
「...ハイ。」
若葉は渋々と了承の返事をした。「ホントにそこまでしなくて良いのになぁ...」と思った次の瞬間だった。昨日感じた嫌な視線をまた感じたのだ。視線の方へバッと目をやると、喜多川がこちらに歩いて来ていた。すると、女子生徒達か「喜多川先生だ!」「ヤバい!朝から眩しい!」「マジイケメン!」「なんで1年教室に?」と騒ぎ立て始めた。そして、若葉の元へとやって来ると「佐倉 若葉君、だね?」と声をかけてきた。
「は、はい。そうですけど...」
「急で悪いんだけど、君にお願いしたいことがあるんだ。」
「?お願い?」
若葉と喜多川が会話を始めると、周囲が「絵になる2人だな」と注目してきた。喜多川は「簡単に話しをまとめるとね...」と言いながら若葉の手を取り、
「是非とも君にボクの絵のモデルになってもらいたいんだ。」
と、宣言したのだった。




