episode31
「やっと見つけた...理想のモデルだ...」
暗い部屋の中、デスクの上の明かりだけが暗がりを照らしている。そのデスクの前に1人の男が1枚の写真を手にしてボソリと呟いた。そのしゃに写っていたのは、学園祭の時の若葉であった。
「女子生徒だと思って探していたが...通りで見つからなかったわけだ。まさか男子生徒だったとは...。名前はたしか..."佐倉 若葉"と言ったかな...?彼には是非とも僕の作品になってもらいたいな...」
男は手にした写真をデスクに置いて立ち上がり、閉め切ったカーテンをシャッと開けた。すると部屋の彼方此方に絵の描かれたキャンバスが広がっていた。
「この中に彼の絵も...」
そう言った瞬間、部屋の扉がコンコンと叩かれた。男は外していた眼鏡を掛け直し、扉の元へと向かった。そしてガラガラと音を立てて扉を開く。
「ハイハイ。どうしましたか?こんな遅い時間に。」
「すみません、喜多川先生。美術室に忘れ物しちゃって...」
「わかりました。今開けますね。」
男、"喜多川"は尋ねてきた女子生徒達にニコリと笑いかけながら対応した。。すると、彼女らは頬を赤く染め「あ、ありがとうございます!」と言って美術室へと入って行った。
「喜多川先生はこんな時間まで準備室で何をしていたんですか?」
女子生徒の1人がそう問いかけると、喜多川はニコリと笑みを浮かべた。
「あぁ、僕はね、次回作をねっていたんだよ。」
「先生の絵はどれも繊細でキレイですよね!」
「そうだね...知りたいかい?」
彼女らが興味津々と詰め寄ってきたので喜多川は笑みを崩すことなく「秘密だよ。」と応えた。
「さ、もう遅い時間だ。気をつけて帰りなさい。」
「ハーイ!先生さよなら!」
「先生また明日!」
喜多川はそう去っていく彼女らに手を振りながら見送った。
「さて、と。佐倉君には明日にでも声をかけてみようかな。しかし...まさか男の恋人がいるとはね。彼ほど魅力的なら、まぁおかしくはない、か。でもまぁ、そんなに広まられては困るだろうから...いいネタになりそうだ。」
先程までの爽やかな笑みとは違い、暗く、"ニヤリ"とした笑みを浮かべ、「跡をつけたかいがあった。」と呟くのであった。




