episode24
「ねぇ、若葉。桜ちゃんも好きだけど、若葉にも会いたいな。」
そう言われれば叶えないわけにはいかない。若葉は新に「ちょっと待ってて」と言うとメイクを落としに洗面所へ行き、メイクを落とすのとついでにウィッグも外す。そして軽く髪の毛を整えて、普段着に着替える。全ての準備を終え自室へと向かうと、部屋の中から新と母の声が聞こえてきた。
「えぇ!じゃあ新君、合コン誘われても若葉の事想ってるから断ってたって事?!もぅ、ウチの子ったら罪作りなんだからぁ!」
「人数合わせに参加させられてはいました。でも若葉はオレにとって大事な初恋相手ですからね。...疎遠になっちゃったのをかなり後悔してて、何かきっかけが無いか模索してたんですよ。実は。」
「あの子もだいぶ落ち込んでたのよ。...新君のこと忘れるかのように勉強ばっかりしてて...。ほら、あの子、新君以外に仲のいい子あんまりいなかったから、遊びに行くこともなくなっちゃったからね。」
「...そうだったんですね。」
「だから、だいぶ悲しい中学時代だったと思うわ。高校に上がってからは友達も出来てかなり安心したもの。」
「ちょっと!母さん!新に何吹き込んでるの?!」
「あら。おかえりなさい。何よもう。聞き耳たててたの?入ってくればよかったのに。」
「なかなか入りにくい空気だったんだよ!」
「...若葉、あんまり変わってないな。メイク落としたら中学時代の若葉をそのまま大きくしたみたいな...」
「少しって何?!どうせ新と違ってチビだよ!」
若葉はそう言うと、母に「母さんはいいから出てって!」と言い追い出そうとする。「何よー、もう少しいいじゃない。」と笑う母だったが、「まぁ、あとはお若いお2人で楽しんでちょうだい♩」と言いながら若葉の部屋から出て行った。
「全くもう!2人して何話してんだよ...。」
「いいじゃん。おばさんも変わりなくて安心したよ。若葉、ますますおばさんに似てきたんじゃない?」
「それ、女装した時に父さんに言われた。若い頃の母さんそっくりだって。」
若葉はそう言いながらベッドに腰かけている新の隣に座った。「隣は積極的すぎたか?!」と思ったが、そんな若葉を他所に新は若葉を抱きしめてきた。
「?!新?どうした?」
「んー?いや、久々の若葉だーって思ったら嬉しくなっちゃって。」
「...学園祭の時から会ってただろ?」
「それは"桜ちゃん"でしょ?若葉とはまた違うよ。」
そう新に言われ、若葉は「そういうもん?」と問いかけると、新は「そういうもんです。」と笑いながら応えた。
「うん。...やっぱり好きだなぁ...」
「な、何、急に...」
「急じゃないよ。ずっと思ってた事だから。...子供の頃からずっとね。ねぇ、今度は"若葉"としてオレとデートしてよ。オレらもうただの友達じゃなくて"恋人"でしょ?」
新の"恋人"発言に若葉は顔を真っ赤にしながら近くにあったクッションでその顔をかくし、「う、うん。」と返事をする。そんな若葉の様子に、新は愛おしそうな視線を送った。そして「若葉」と名前を呼び、クッションを取り上げると、キスをしたのだった。




