episode10
「えー、それでは無事桜ヶ丘祭終了、そ・し・て!クラス優秀賞受賞を記念して!カンパーイ!」
「「カンパーイ!」」
あっという間に時刻が過ぎ、学園祭は終了、教室で簡単な打ち上げを始める1-3の面々であった。若葉の尽力のお陰か、クラスの目標であった"クラス優秀賞"を受賞してウハウハな気分のクラスメイト達。主役であろうはずの若葉は制服に着替え、教室の隅で窓の外を見ている。頭の中を占めるのは新の事ばかり。数年ぶりにあい、言葉をかわした。"桜ちゃん"が若葉である事に気がつかれなかったのが良かったのか、悪かったのか。若葉は「ハァ」とため息をつき、ジュースを口に運ぶ。
「桜ちゃーん。何物思いにふけってんの?主役なんだからそんな隅にいるんじゃないよ!」
「...もう学園祭終わったんだし、桜ちゃんはやめて...」
「なによー。つれないなぁ。」
クラス委員長はそう言いながら、若葉の隣に寄りかかった。
「もしかしてあれ?ナンパ助けてくれたっていう男の子の事考えてる?」
「ブッ!」
「あら、図星(笑)」
クラス委員長の指摘に、思わず飲んでいたジュースを吹き出してしまう。彼女は笑いながら若葉にハンカチを手渡そうとしたが、若葉は汚れるからと断った。
「...そんなわかりやすい...?」
「んー、なんとなくそうかなぁって思っただけ。もしかして知り合いとかだった?」
「...幼馴染みなんだ。もう何年も会ってなかったんだけど。」
若葉がそう言うと、クラス委員長は「ふーん。」と言って何かを考えながら返事をした。
「仲良かったんだ?」
「子供の頃からずっと一緒だったからね。...中2の途中からパッタリと接すること無くなっちゃったけど。」
「何かあったの?」
「それがわからないんだ。...オレが怒らせちゃったのは確かみたいなんだけどね。」
若葉はなんだか悲しくなり、思わず下を向いてしまう。そんな若葉にクラス委員長は肩をポンと叩いた。
「でもさ。今日こうして会えたんだし、一歩踏み出してみたら?向こうが気づいてないんだからさ、"桜ちゃん"として会って様子を伺うのも一つの手よ?」
「連絡先もらったんでしょ?」とクラス委員長は若葉の背中を押すように言った。若葉は少し考え、「そーだよね。」と応える。
「...帰ったら電話してみようかな。」
「そーしなさいよ。チャンスじゃん?」




