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シゴノセカイ《改訂版》  作者: 福乃 吹風
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96話 秋に照らせ、春は汀⑥

 艿花を救うために僕たちは天の世界に長時間いられるよう力をつけていた。艿花は無事なのか少々不安な部分があるけれど、きっと大丈夫だよねと、くーたんと一本勝負をしている。デステクライン使い同士であっても、負けまいと次々と魔法を唱えていた。 

 審判は照秋であって、そこまでと言われるまでやっていたら、やってるねぇと父さんと冬人兄さん、それから秋彦さんまで見に来た。緊張していたとしても、くーたんの魔法を交わそうとしたところ、顔面に魔法がかかる。


 そこまでと照秋に言われてしまい、しかも臭い魔法をかけるだなんてと咳き込む。それに僕は躊躇してしまったから、魔法がかかっただけ。僕の異変にすぐ気づいたくーたんは、なにかあったかと心配してくれる。


「いや、空耳のような感覚で、誰かが僕を呼んでるような声だった」

「そう言えば僕も誰かが呼んでる声が聞こえた感覚だったよ」


 父さんたちは深く考えていて、僕も照秋もあの声は誰なのか考えていたら、誰か助けてとはっきり聞こえる。


「汀春、今のって」

「断定はできないけど、もしかすると艿花が助けを求めているのかもしれない。父さん」

「そうと決まれば、早めに向かったほうがよさそうだな」


 僕たちも父さんの意見が一致して、とうとうこの日が来たんだと準備をし、天の世界へと行くことになった。



 天の世界へと到着し、照秋が死屍(デッドルタ)を放出してい間に、僕とくーたんはシロノ国へと目指す。龍宮は龍桜家しか入れないから、くーたんとそして半分力を得ている僕じゃなきゃ艿花を救うことができない。

 シロノ国は天空にあるから、僕とくーたんは龍を出しそれに乗って、シロノ国へと目指す。たとえ他の龍に拒絶されるかもしれないが、なんとか入ってみせる。


 本当は父さんも行く気満々だったけど、天の世界にいる民を守るから任せると言ってくれた。だからなんとしてでも救って、僕たちは生まれ変わるんだ。


 何度か他の龍たちに攻撃されながらも、なんとかシロノ国へと到着する。建物自体が真っ白な建物であり、侵入者だとシロノ団が現れるも、死屍(デッドルタ)を放って、先へと進んだ。

 待てとシロノ団に追いかけられるも、シロノ城へと急いだ。間に合ってくれと進んで行くと、そこには獣柱が待ち構えていた。簡単には通してくれそうにないようで、くーたんとアイコンタクトを取り、僕とくーたんは別方向へと進む。半分、獣柱が来て、死屍(デッドルタ)を放ちつつ、シロノ城へ向かった。


 獣柱がここにいるとなれば、艿花はシロノ城にいるのは確実で、城門を潜り、シロノ城の城内へと入る。本当にしつこい獣柱だと思いながら、交わしつつ、先へと進むとそこに義父さんがいた。義父さんがいることで獣柱は下がるようだけれど、僕の行動を遠目で見ておくのだろう。


「なぜ来た?」

「決まってるでしょ?艿花を取り戻しに来た。義父さんを倒してその先へ進む」

「この先には行かせられない。汀春、頼むから玖朗を連れて去れ」


 義父さんは昔みたいに無表情で言っているのではなく、絶望した顔立ちで僕に言っているのが伝わる。義父さんは何かを知って、僕を引き止めようとしている。

 それが何を示しているのかすぐにわかり、義父さんを追い越して先へと進んだ。


 冰春の魂が消えてしまうんじゃないかという恐れ。龍桜家の歴史は教えてもらってはいなかったけれど、ものすごく嫌な感じがした。

 冰春がいるであろう場所へ行ってみると、艿花ともう一人の女の子が倒れていて、その光景を見ている冰春がいる。


 冰春と声をかけると冰春は僕の方を向くが、瞳の色が違く冰春じゃないことに気づく。まさか邪人によって支配されたのと、デステクラインを起動させるか迷ってしまう。

 冰春は僕に向けて攻撃するのではなく、ただただ僕のことを見ていた。とにかく艿花と知らない子を救わなくちゃと動いた瞬間、冰春が動き出し龍が現れる。現れて艿花と知らない子に近づけさせないようになってしまった。


 冰春を傷つけたくないから、魔法を出すことができない。するとくーたんが到着して、状況を把握したようだ。


「冰春はいま、龍宮の番人としている。もう時期、儀式が始まろうとしてるんだ」

「じゃあどうすれば?義父さんはさっき会ったけど」

「おそらく龍宮にいるばあ様が冰春を操っている。ばあ様を倒さない限り、冰春は戻らない。傷つけたくはないが、やるぞ」

 

 ばあ様とは一度も会ったことはないが、世代交代として変わりたいのだろうか。傷つけたくはない、大切な人を助けたいという想いから、僕とくーたんに光が現れ、なんと青藍の葉桜が増え、くーたんにもカステクラインが現れた。

 両方持つ僕たちならできると冰春を救うため、僕は水龍を、くーたんは母さんと同じだという虹龍を出す。力を貸してと叫ぶと水龍は僕たちに力を貸してくれた。


 冰春は光魔法で攻撃をし始め、僕とくーたんは死屍(デッドルタ)を放ちながら、カステクラインを起動させる。


「カステクライン!水、水龍の天泣!」


 水龍の涙が雨となり、降らせるも、冰春は僕たちの魔法を弾き飛ばす。そして今まで見たことがない魔法で攻撃を受けてしまった。やはりばあ様のところへ行かなくちゃ駄目なのかと体勢を立て直す。

 すると冰春が苦しみ出して、僕たちに助けを求める。


「助けって」


 冰春が胸を抑えながら手を伸ばして、僕が行こうとしたらくーたんに止められてしまった。そしたら冰春が叫び出し、白と黒に包まれ、姿が変わる。

 左側は光を表し、右は闇を表しているようなイメージだった。冰春を乗っ取った人物は、やったと大笑いをし、くーたんが僕に教えてくれる。


「あれが本物の邪神様だ」

「じゃあこの前会った人は?」

「獄の世界を管理している神だろ。僕(やつがれ)は親父に幾度も邪神について聞かされていたからな」


 なるほどねと邪神様は冰春の体となって、邪人が数体現れた。邪神様は体を確認している。


「まだ抵抗されているようだが時期に我のものになるだろう。さてこの姫君を竜宮とやらに連れて行かれる前に、排除しなければ。という前にほう、理を破ったもう片割れの子か。本来ならばお前の体を乗っ取りたかったんだが、弟の方が心が乱れていたからな。弟の体をもらうことにした」

「冰春の体は冰春だけのものだ!それに冰春は邪神様に負けるわけがない!」

「ほう、そうか。なら冰春自身がお前にかけた暗示とやらを解除してやろう」


 えっと一瞬で邪神様が目の前に来て、くーたんは邪魔だったらしくくーたんは吹き飛ばされてしまう。抵抗する暇もなく、カチャッと鍵が開いたような感覚で、封印されていた記憶が蘇った。

 冰春がどんな人生を送っていたのかも、父さんが必死に助けようと考えていたことも、何もかも全て。そして僕がデステクライン使いになった意味も理解した。

 邪神様はどうだ感想はと僕の答えがそうであるとわかっているような顔立ちだ。ただ僕の心はそうではないと理解している。なぜならそれが冰春の優しさであることをと、僕は邪神様を睨んだ。睨んだことで一瞬困惑していたとしても、すぐに不気味な笑みへと変わる。


「予想外だったが、まあいい。我がここに君臨したことで、両方の世界と、そして現世も破壊しようと決めていた。始めさせてもらおうか」


 邪神様が指を鳴らすと闇のオーラを漂う龍と虎が現れ、同時に咆哮した影響で僕も吹き飛ばされてしまうことになった。水龍が僕のところに来て乗らせてくれる。

 なんとか艿花と知らない子を救ってから、邪神様に挑みたかったけれど、そう簡単にはいかなかった。だから獣柱がいたんだとすでに邪神様が生み出した邪人たちが解き放たれている。


 虹龍に乗って来たくーたんはむかつくというような顔立ちで戻って来た。


「あいつぶっ殺す」

「いや、神様だからさすがに殺せはできないと思う。だから確実に封印しなくちゃ」

「だめだ。邪神はここで倒さないと、未来にも影響が出る。だから僕(やつがれ)たちだけで、完全に倒すしかない。さっき追いかけて来た獣柱は、すぐに艿花の元へ行ってるから、二人が救出されたら、やるぞ」

「未来かぁ。確かにそうかもしれないね。またここに来た時邪神様と戦うだなんて、まっぴらのごめんだよ」


 そういう会話をしながら、邪神様の元へ戻り、天の世界にも獄の世界にも、そして現世にも邪人なのかそれとも災害が起きてるのかは把握できない。

 

 戻るにしてもさっきより行けない状況になっており、一度僕たちは城下町へと降りた。邪人を倒していくも、すぐ増えこれじゃあキリがないと思っていたところ、リディたちがやって来て、倒してくれる。


「状況はわからんが、死屍(デッドルタ)ではないと思って来た。ここは私たちが止めておく。蓮、いいや冰春と言ったな。冰春があの城にいるのだろ。急げ」

「リディ、みんな、ありがとう」


 リディたちがどうやって来たのかは不明であっても、僕とくーたんはシロノ城へと急いだ。さっきまではシロノ団に追われていたけれど、シロノ団は邪人を優先にしてくれるようだった。

 城内へと入り、魔法を唱えながら、先へと進んでいくと、そこからは血痕があちこちとある。想像したくはないけれど、さっきのところへ戻ってみたら、獣柱は殺され艿花たちの首を掴んでいる邪神様がいらっしゃった。


「意外と早かったな、二人とも。お前たちの父親はそこに転がっているぞ」


 転がってると邪神様がみている方へ目をやったら、義父さんはズタズタにされ、そしてカステクラインも壊されていた。


「忌々しい龍桜家ではあったが、冰春もそれを望んでいたからな」

「そんなはずがない。義父さんは僕たちを引き離したけど、義父さんは僕たちの幸せを第一に考えてくれてた。冰春もわかってくれてる」

「あんな親父だったが、俺の前では見せない顔があった。二人の幸せを誰よりも望んでいた父親だ。たとえ自分の子でなかろうとも、親父はそれでも愛そうとしてた」


 くーたんは義父さんの背中をみていたから、遠目で見てたんだ。義父さんが僕たちを想っていてくれたことを。僕とくーたんは真っ先に、二人を救おうとあらかじめ準備していた魔法を唱えた。

 くーたんはカステクラインを、僕はデステクラインを起動させる。


「カステクライン!虹、虹龍(こうりゅう)の七光!」

「デステクライン!萩、白虎の萩トンネル!」


 虹龍の七つの光を放ち、僕は寅萩家という意味で、萩魔法を考えてた。萩のトンネルが現れ、そこに白虎がトンネルを潜った瞬間に、光が放つ。邪神が手を離したことで、二人は倒れ、その間に艿花と知らない子を救出することに成功した。

 ただそこで邪神が倒れるとは思ってもないと、艿花と声をかける。知らない子はくーたんが大丈夫かと声をかけていた。


「くだらん魔法だな。まとめて始末してやろう」


 邪神様は左には黒い光と右には白い光が現れ、あれを食らったら確実に死す。なんとしてでも食い止めなければならないと二人を起こしていたら、艿花が目を覚ます。

 状況を理解をして起き上がり、知らない子も起きて状況を理解してくれた。


「くーたん、私をあそこに連れてってほしい。ロゼは獄の世界へと」

「わかってる。ねえ汀春、私をとある場所へと連れてってほしい」

「…わかった。艿花、くーたん、気をつけて」


 そっちもなと僕はロゼという子を連れて、一度獄の世界にあるライトノ国へと戻った。ここにも邪人が現れていて、みんなが戦ってくれている間に、白虎を出してそれに乗ってロゼがいうトウノ国へと行くことに。

 トウノ国とは、いわば透明の国という意味であって、どこに存在しているのか僕たちにはわからないが、ロゼという子は見ることができるんだそう。


 一体どこに向かっているんだろうと思いきや、白虎が宙に浮いて衝撃すぎた。ただ見た感じ、透明の階段を登っているらしい。階段を登り終えた時。僕は言葉を失うぐらい、絶景の場所だった。

 何もかもが透明でできていて、煌びやかな水が流れている。それに僕がイメージした魔法、萩トンネルも存在していた。萩トンネルを潜った先には、透明の城があり中へと入る。

 ここがロゼが住んでいる場所でもあるのだろうかと思い聞いてみることにした。


「ここに住んでるの?」

「いいえ。ここは決して入ることは許されな場所。ただあなたは寅萩家でもあるから、入ることができてる。寅萩家の者以外は入ることが許されず、そしてここはずっと昔、寅萩家が隠れていたいわば秘密の場所。私は唯一、寅萩家に許された者として、管理をしてたの」

 

 じゃあ父さんも知ってるのと聞いたら、えぇと回答が来て、今は父さんの秘密基地なのかなと少し笑みが溢れた。


 大きな場所へ到着してここで待っててと言われたから僕は待つことに。ロゼはどっから出したのか扇子と鈴を取り出し、一度深呼吸をして舞い始める。

 おそらく艿花も舞いをしているのだろうと見ていると、段々と淡い光が溢れ出していく。まるで地面に落ちた星のように輝いていて、その光景を見ていたら、邪人が侵入してきた。


 僕は死屍(デッドルタ)を出しつつ、カステクラインを起動させ、呪文を唱える。おそらくやり始めたことで邪神様は焦っているのだと理解した。

 僕一人で対処できるか不安はあるけれどやるしかないと思った矢先、大きな白虎が現れて倒してくれる。そこに現れたのは父さんであり、邪魔させるなと言われながら邪人を倒していった。


◆


 数分前……


 艿花ちゃんを無事に救出できたかなと死屍(デッドルタ)を放ちつつ、カステクライン使いとやり合っていたら、黒い物体が次々へと落ちて来て、これも貴様らの仕業かと言われたとしても、これは僕が考えた死屍(デッドルタ)ではないと確信する。

 まさか邪人がと混乱している暇もなく、デステクライン使いに異変が起き始めていた。僕たちと来ていたデステクライン使いは、邪人によって支配されてしまい、僕たちを襲いかかる。


 それを知った春様は、カステクライン使いを庇いながら逃がしてあげていた。冬人様も父さんもまだ邪人に支配されていないのは、春様があらかじめ作ってくださったお守りの効果が出ているのかもしれない。そのお守りは萩で作った組紐を僕たちはつけていたんだ。

 とにかく邪人に支配されてしまったみんなを助けるために、カステクラインを起動させる。


「カステクライン!透、紅葉の川!」


 効果は薄くとも邪人には弱点があると知っているのは、春様の教えがあるから。それをみんなも知ってはいるけれど、やはり簡単にはいかなかった。

 春様はここを頼むと言って、どこかへと行ってしまうし、それに冰春様が心配になってしまう。冰春様はと目の力を使おうとしたら、父さんが目を痛めたようだ。


「父さん!」

「照秋、目の力を使うな!視力を奪われた!」


 父さんは右手で目を覆い、避難させたくても周りには邪人たちに囲まれている。冬人様が援護してくれるようで、父さんを背負い、避難できそうな場所へと急いだ。ここなら大丈夫かなと状況を聞いてみる。


「目の力で何を見たの?」

「冰春様だ。冰春様はやはり、邪神様によって支配されている。なんとか汀春と玖朗が挑んでいるようだが、時間の問題だ」


 父さんは死屍(デッドルタ)を放ちながら、冰春様を見ていたんだ。こうなった以上、目の力を使うのをやめ、僕は僕のできることをする。

 たとえデステクラインを失っても、止めさせてみせると僕は最終手段を選んだ。汀春、約束守れなくてごめんという想いと、そしてこの世界中にいる民を救うための魔法を唱えた。 

 


「エンディクライン!秋(しゅう)、紅の花暮れ!」


 カステクラインとデステクラインが同時に光り出し、僕の想いを届けと願った。秋は終焉を意味し、紅の花暮れは紅のような色をして、夕暮れのように美しく咲き誇る花。

 後のことは頼みます、冬人様、父さん、そして春様、汀春と僕は深い眠りへつくことになった。


◆


 邪人たちを倒していると、紅色のような光が全体に広がり、そして紅の花が咲き誇る。こんなことできるのはただ一人、照秋しかいない。邪人が一気に消えて行き、僕は真っ先に照秋の元へと行きたかった。

 けれど父さんは無理だと首を横にし、照秋はみんなのために力を使い切ったのだと知る。そしてロゼはいつの間にか服装が変わっていって、最後の舞を見届けた。


 最後の舞が終え、ロゼは踊り切った影響により倒れてしまい、駆けつけこれで終わったのか正直わからない。


「俺が見てるから、汀春、玖朗がいるところへ行ってみろ。何かわかるかもしれない」

「うん。状況確認してから、戻ってくる」


 父さんにロゼを任せて、くーたんがいるところに戻ってみると、くーたんが冰春を抱いて、艿花が冰春を呼んでいる。元の姿に戻ってるから邪神様はいなくなったってことでいいんだよねと近くに寄ろうとした瞬間。

 

 侵入された。


 それを知ったくーたんと艿花、そして目を覚ます冰春であり、僕は最終手段を選ぶ。


「艿花をっ艿花を逃して!冰春、冰春なら大丈夫!」


 冰春は困惑しながらも艿花を連れてってもらい、邪神様が僕を蝕んでいく。くーたん、その怒りを鎮めてほしい。じゃなきゃ邪神様の思う壺だよと倒れ込む。

 絶対に僕の体は渡さないと言い聞かせながら、意識が朦朧としてきた。


 くーたんの怒りが便乗じゃないくらい、怒りが伝わってくる。艿花は無事、現世切符でいけたかな。あぁ冰春とまだ話したいことたくさんあるのにな。

 冰春が戻って来て、そしてあれはばあ様だろうか。


 冰春はばあ様を止めている様子だけれど、ばあ様は僕を封印するしかなかった。 

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