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シゴノセカイ《改訂版》  作者: 福乃 吹風
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82話 いざ、ドクノ国へ

 早朝のことだった。再びアンジの叫びに呆れながら、部屋に入ってみるとなんじゃこりゃというような感じだった。てっきりプーリーがまた蛇を放したと思っていたのだが、今日はネズミの大量がいて、アンジはまた失神してしまう。

 ネズミがいるならねずみが来たのかとアンジ起きろと揺さぶりながらネズミをじっと見る。


 するとネズミが動き出して文字を作ったのだ。ひらがなで急げとあり、俺が認識したことで別の文字を作る。奴が来るとまたひらがなで作り、誰が来るんだよと思っていると扉が開いた。

 入って来たのは紛れもなく夏海であり、ネズミたちはいつの間にかいなくなっている。


「想心、今いい?」

「猫のままになってたんじゃねえの?」

「えへへ。起きたらなぜか元の姿に戻ってたんだよね。プーリーが来てるって雫から教えてもらったんだけどここにいないか」


 プーリーは蛇柱の部下だから、すぐ行動を移すような感じであっても、ここで俺たちが夏海に警戒心をだしてしまえば襲われる可能性があった。ここはいつまで通り接しよう。


「さっきまでここにいたんじゃないか?アンジぶっ倒れてるし、もしかしたら食堂とかにいるかもよ」

「そっか。食いしん坊のプーリーならあり得るかも。ありがとね、想心」


 夏海は鼻歌を歌いながら部屋を出ていき、びびったと座り込む。テンファも気づいてくれたのかすぐ部屋に入って扉を閉めた。


「もしかして夏海さんも連れて行くとかはないですよね?」

「ないだろ。元に戻ったんだし赤の団の元へ帰るだろ。それより、さっきの気づいた?」

「はい。大量のネズミはおそらく絹鬼団長です。以前、夏海さんはホノオノ国出身でしたし、あり得るかもしれない。このまま放っておくんですか?」

「涼真の考えはよくわからないが、あぁやって俺たちの危険を知らせてくれてるのかもしれない。もう少し様子見る。テンファはこれからどうする?このまま俺たちと来るか?」


 テンファは少し迷っている様子で、無理もないと感じてしまう。なぜなら兄弟が猫柱になってしまったんだからな。どうするんだろうと思っているとこんな回答がきた。


「帰還します。それにリディー先生たちにも報告しなくちゃならないので」

「すでにアンジが報告してくれると思うけど、頼むな。こりゃあアンジ起きないな。どうすっかな」


 アンジの寝顔を見ているとテンファがアンジの耳元で何かを囁いた瞬間、ガバッとアンジが起きたのだ。テンファはくすくす笑っていて、今度こっそり教えてもらおうかな。

 アンジはあれとキョロキョロして、ネズミがいないのを確認したのか、ほっと胸を撫で下ろした。


「おはよう、想心、テンファ。プーリーから今日出発って聞いてるけど、テンファはどうする?」

「帰って小生が何があったのか報告します」

「ありがとう。それじゃあ僕たちも準備をしよっか」


 それぞれ部屋へと戻り、荷造りをして取り入れをする。忘れ物はないかなと借りた部屋を見て、忘れ物がないのを確認し終えた。よしっ行くかと扉を開けたらなんと凪嬉兄がそわそわしていたのだ。

 俺が普通に凪嬉兄と呼ぼうとしたから口元を抑えられる。その名はやめろという表情であり、そういうことかと理解した。


「兄貴、もう平気なのか?」

「まあ、なんとか。それより、想心は大丈夫?あの一件があったから」

「平気。みけ太とちゃんと向き合えなかった俺も悪かったからさ。今度はちゃんと話してみる。恐怖心が消えたわけじゃないけど、俺もみけ太と向き合いたいから」

「そっか。僕も同行したいんだけど、一旦僕はミズノ王国に戻るよ。テンファくんを一人にさせたくはないからね」


 意外だなと思いながらも、わかったよと伝えて、兄貴と一旦離れることに。てことは松風先輩も一緒に帰るのかなと思いきや、めちゃくちゃ遠い場所で凪嬉兄の様子を伺っていた。

 普通に話せばいいのにと思いながらも、凪嬉兄は松風先輩と話せる状況じゃないんだろうな。


「なあ、兄貴。松風先輩なんだけど」


 びくんと反応する凪嬉兄であり、喧嘩というほどではないけど、ちゃんと話せてないことが伝わってくる。仕方ないなと凪嬉兄の腕を掴んで、松風先輩に近づこうとも松風先輩は慌てて逃げようとした。

 あぁもうっとカステクラインをつい使おうとした時のことだ。夏海が松風先輩の腕を掴んでいる。夏海はえへへと笑っていて、俺が考えていることがわかるのかとちょっと驚いてしまった。


 二人はぎこちない様子で、俺たちは腕を離し背中を押してあげる。松風先輩が言おうとするから、ジェスチャーで伝えてあげ、松風先輩が言った。


「颯楽、何があったのかはもう聞かないよ。その代わり想心の力となってあげてほしい」

「こっちこそ、ごめん。止めてくれたのに、僕は止めることができなかった。ただ一つ。涼太郎を殺したのは別の人だよ。僕と凪嬉はあの時、会っていたんだ。それに叔父さんも一緒だったから、アリバイがある」

「うん。風龍が教えてくれたからね。ただ一つ。想心をどん底に落とす計画は阻止させてもらうからね」


 なんだそれと兄貴の顔をみるも、いつもの顔であり、なぜか凪嬉兄と松風先輩は張り合っている。これは一応仲直りでいいんだよなと、夏海とその光景を見ていたら、アンジたちがやって来た。

 すると二人は別の方角へ歩き始めていき、俺がいない間にまた喧嘩でもするんじゃないかと思ってしまう。


「夏海、プーリーと話せたの?」

「うん。だからあたしもミズノ王国に戻るね。それからアンジ、想心に言わなくていいの?」

「後で話すからいいよ。帰り道気をつけてね」

「そっちもね」


 夏海は手を振って凪嬉兄が行った方角へと行き、アンジが説明をしてくれた。


「ドクノ王国はちょっと変わり果てた人たちが多くいるから気をつけてってことだよ。プーリーのところへ行こっか。もう準備できてるっぽいから」


 変わり果てた人たちってどんな人たちなんだろうと思いながらも、俺たちはプーリーが待っている場所へと行った。するとそこにはグーダス団長とフィリシャ女王陛下がいらっしゃる。


「想心、私の任務を引き受けてくださり、感謝いたします」

「いえ。あまりお役に立てなかったかもしれません。それに村の人たちは」

「大丈夫だよ、想ちゃん。カゼノ国では戦争が絶えない国でもあるから、あの時は避難してもらってたの。だから安心してね」

「そうだったんですね。無事でよかった」

 

 安心できたことで、アンジがではと挨拶をし、俺たちはドクノ国へ向かうことに。



 想ちゃんたちが見えなくなるまで見届け、フィリシャ女王陛下は心を痛めていた。想ちゃんに伝えた言葉が嘘だから、フィリシャ女王陛下は心を痛めている。想ちゃんたちがナギノ村に来る前、ナギノ村の民は全員何者かによって殺害されていた。

 酷い状況のなか、遺体をすぐ運び、あそこを戦場の場にさせなければならなかったから。


「グーダス、あなたは涼太郎と共にミズノ国へと戻りなさい」

「ですが」

「しばらくは休戦になるでしょう。すでに透過の紅葉を持つ子が、カステクライン使いとなっている。時期に大きな戦が待ってるから」


 私はついフィリシャ女王陛下に抱きついて、それ以上言わないでほしかった。カゼノ国はダークグレーノ国と共鳴しあっている。フィリシャ女王が一番に恐れているのは、愛弟子を失いたくないからだ。


「フィリシャ女王、私はここに残ります。その代わり、私の代わりとなる涼太郎は、もう大丈夫みたいだから、涼太郎に団長をやらせるつもりです。そのほうが良いかと」

「グーダスったら。えぇわかったわ。それにグレイと今度はちゃんと向き合ってあげなさい。そうすればきっとグレイは応えてくれる」

「はい」



 プーリーがまだ蛇柱の部下だなんて受け入れたくないけれど、心強いからなんとも言えなかった。その一方アンジは俺の後ろにいて、プーリーは雫と前で話しながら歩いている。


「アンジ、歩きづらいから横に来てくれないか?」

「いつプーリーの蛇が来るかわからないから」

「上司が蛇だから直せってプーリー言ってたぞ。そんなに怖いのかよ」


 うぅと随分前の過去を思い出させてしまったのか、俺の服をギュッと掴むもんでやたらと歩きづらくなった。何があったのかはわからないが、しばらくはこの状況が続きそうだな。

 本当は箒に乗って行くのかと思っていたんだが、カゼノ国はいろんな風が吹くため、飛行はあまり使わないんだそう。だからタクシーケンタウロスに乗って移動したいものの、タクシーケンタウロスに会えない。アンジが以前、俺のために呼んでくれた時は、普通に近くにいたからだそうだ。


 現世の時のように、スマホで呼び出しできればいいのになと歩いていたら、なんとケンタウロスがいた。しかし客がすでに乗っていて、止めようがない。


「なあアンジ、普通にアンジの力で行けないの?」

「そうしたいのは山々なんだけど、ドクノ国はドクが充満してるから、魔法で行くと即死になっちゃうよ」

「じゃあガスマスクつけて行けばよいのでは?」

「ガスマスクつけたら、変人に持っていかれるから却下だよ」


 どんな変人がいるんだよと思いながらもカゼノ国とドクノ国の境界線までの道のりはまだ程遠かった。今回は野宿するしかないかなと歩いていたら、プーリーが足を止める。


「プーリー?どうかした?」

「わざわざ迎えに来てくれるだなんてラッキー」


 なんだと思っていると走行音が聴こえ、なんと久しぶりに車をみることになった。ドクノ国には車があるのかと目をキラキラしていたら、運転席のフロントサイドウィンドウが開き、顔を出したのは中年のおっさんだった。

 しかもなんかの組織っぽい格好を来ている。


「迎えに来た。乗れ。ちょっと王様がヤバい状況になってるから飛ばすぞ」

「あのう、僕はこのまま歩いて」

「アンジ、いい加減車に慣れろって言ってんだろ。それでそこにいるのがお姫様と青藍の葉桜に選ばれし者か。俺は兎原卯京だ。よろしくな」


 よろしくお願いしますと言いながら、速攻に俺は車に乗せてもらう。アンジは嫌々で車に乗り、雫は初めてなのかわくわくしていた。プーリーは助手席に座って、全員が乗ったことで出発する。


「王様がヤバいと言うのは?」

「あぁいつものことだから気にしなくていいと思うんだが、念のためってやつだ。王様、自分の毒作ってそれを間違えて飲んじゃう異常者」


 俺と雫はつい苦笑してしまい、アンジはまたやってるんですねと飽きられてた。それで気になっていたことを卯京さんに聞く。


「他のみんなは団服着てるのに、なぜ卯京さんだけその格好なんですか?」

「ははは!よく聞いてくれた。この服を着てると無敵になるんだよ。現世の時さ、俺は大事なものを守るために犯行を犯したと言ったらいいかな。まあその結果、弟のように接していた子に刺されちゃったんだわ」


 卯京さんは懐かしそうに喋っていて、それでなと話を進める。


「この世界で会ったとき、俺だってわかるように着てる。今はなんか知らないけど、芸能人やってて凄いなって思ったよ。それから俺の子供や、世話になった人の子をリヴィソウルで見てる」

「この人馬鹿だよ。恩人の子を引き殺そうとしたり、しかもこの人現世の時はヤクザやってた人なんだから」

「プーリー、余計なこと言わなくていい。まああの時は裏世界を変えなくちゃならないって実行したまでだよ。現世ではまだ闇深い状況になってるけど、俺はそれでも信じてるから」


 卯京さんがヤクザに入っていただなんて、想像がつかないけど、腕を見る限り刺青が入っているのは確かだ。背中はどんな刺青が入っているのか少し興味が湧く。

 ただそれを言っちゃっていいのかわからず、言えずにいた。そしたらプーリーがくすくす笑いながら教えてくれた。


「卯京の背中気になるんでしょ?教えてあげる。背中には化け兎が描かれてるよ」

「化け兎とか言うな。可愛い兎だよ」

「いや、どう見ても化け兎でしょ」


 次第にプーリーは押さえ切れなくなったのか、大笑いしてしまう。卯京さんは赤っ恥になりながら、もう一度可愛い兎だと答えた。これ以上からかったらどうなってしまうのか想像できてしまい、あえて言わないでいた俺たち。

 ちらっとアンジと雫を見ると、車酔いしちゃったっぽく、二人にバケツを出してあげたら吐いてしまったようだ。

 

「二人ともすまん。もう少しで着くから我慢してくれ。それでドクノ国にもう入ったが、プーリー」

「はいはーい。カステクライン!しん、中和の源」


 すると一瞬だけ紫っぽい泡が出てシャボン玉のように破裂してしまった。


「これでしばらくは毒の中にいても平気だよ。一応言っておくけど、うちらの王様は、科学の王様だからね」

「ん?カミナリノ王様も科学者じゃ」

「昔はライバルでもあってバチバチしてたらしい。今では仲良く科学研究をシェアしてるみたい」


 ダンザ校長は気さくでめちゃくちゃ莱愛にベッタリすぎの変人ではあったけれど、こっちはこっちで変な王様がいるんだろうな。少し興味が湧いてきたと思っていると王国が見える。

 窓を開けて見てみたいが、毒があるかもしれないから無闇に開けられなかった。門番に手続きをし王国へ入ると、こっちはこっちで新鮮すぎた。なぜなら普通に車が通っており、都心に来たような感覚だ。


「あの馬鹿でかいビルが城。少し興味湧いた?」

「はい。車は見かけますが、バイクは?」

「興味津々で何より。バイクは残念ながらない。ドクノ国は全て毒に侵されてるから、長時間肌を出しているとあぁなる」


 卯京さんが指す方角を見せてもらうと、叫んでいる人がいて肌にはカビのような色が出ていた。


「げっ今の時期、毒の季節だった。カビはマジで最悪」

「カビの季節?」


 そうだよと落ち着いたらしいアンジが説明をしてくれた。


「ドクノ国には季節があって、春になると花粉の菌が現れる。夏はカビ菌、秋は動植物の菌、冬はウイルス菌」

「ちょっと待った。死屍デッドルタはわかるんだけど、菌が現れるって」

「アンジ、見せてないのか?毒の死屍デッドルタ

「気持ち悪いから見せてないだけであって…仕方ない。来ちゃったから、見せておく必要がある。雫は、うん。その顔は見たことあるみたいだね。想心、教科書だして」


 うんと教科書を取り出し、アンジに言われて唱えた。


「カステクライン!教科書、毒魔法学!」


 一瞬毒が教科書に垂れ毒魔法学の教科書へと切り替わった。ページの最後らへんはあまりみたことがなかったから、そっちからみてみてと言われみてみる。

 …閉じてアンジの顔を見ると言ったでしょと言うような顔立ちだった。これが死屍デッドルタだなんて信じたくもないよ。一言で言えば気色悪い死屍デッドルタが多くいることだ。


「卯京さん、これ毎日見てるんすか?」

「毎日見てる。まあ慣れれば普通に倒せるようになる」

「私、いつ見てもやる気失せちゃう」

「大丈夫だよ。このプーリーちゃんに任せなさい。うちがちゃあんと雫ちゃんと想心を守るから」

「僕が守るの!」

 

 子供かと卯京さんとプーリーに笑われ、アンジは拗ねてしまうから、俺はアンジに守ってもらうからと言うと機嫌が良くなった。



 グレイちゃんと話した後、僕たちはようやくクロノ国へと訪れたのだが、想像以上な国だった。ここに想心のご両親に、玖朗団長たちがいるんだよね。

 グレイちゃんの役目は元々、想心の心が不安定にならないようにうまくやってほしいということだけだったらしい。役目を終えたグレイちゃんはこれからどう動くのかはまだ決めていないようだった。

  

「思穏、油断はするな。カステクライン使いになったからって、デステクライン使いの言葉を間に受けるな」

「わかってる。ただよかったの?リラ団長とルルラちゃんを置いて、二人きりで来ちゃって」

「ルルには、ここは厳しいだろうと母親のリラが言ったんだ。それにルルの心は完全に癒えていないからな」

 優くんと悠くんと約束して僕がそばにいることになっていたけれど、本当に置いてきちゃってよかったかなと、少し不安があった。それに万が一に備えてということで、美命ちゃんとみよりさんはセブラの秘密基地にいてもらっている。


 なんかとても緊張すると思いながらクロノ国に入った瞬間に、クロノ団員に囲まれてしまった。そして一人の団員が前に出る。


「まだここに来るなと玖朗に言われてるから帰ってもらおうか?」

「ディーグ、それとも大樹って呼んだほうがいいか?」

「好きに呼べ。あいにく、今は玖朗も叶さんと結さんも不在だ。来るなら三人がいる時に来てもらわないと」


 何が起きたのかさっぱりだったけれど、セブラは僕を担いでその周りには神々しい白虎が数体現れた。


「ディーグと張り合うつもりはない。俺の友人に会わせろ。会わせてくれればすぐ帰る」

「…今はやめておけ。俺の弟の闇が暴走してる。行ったらどうなるか」

「あぁわかってる」


 ディーグさんは少し戸惑っているも案内をしてくれて、行くにつれて強い闇を感じる。これがディーグさんの弟、みけ太が出している闇。

 絶え切れないかもと思った時、伊雪さんが現れた。


「まだ来んなーって言ったのに、来るだなんて馬鹿なの?阿呆なの?まあいいや。ちょっと思穏がそれどころじゃないようだから、セブラだけ先に行って」

「変なことすんなよ」


 セブラ待ってと言いたくても、セブラはすぐ行ってしまい、悪いなとディーグが謝罪をする。


「光が強ければ闇も強いから少しの辛抱。すぐセブラが落ち着かせてくれるから」


 ディーグが言うと本当にすぐセブラが戻って来て、強い闇が消えていった。


「まだ混乱はしてたようだが、安定はしてる。行ってやれ。伊雪、案内を頼む。俺は少し用ができちまった」

「ふうん。思穏を襲っちゃうかもよ」

「しないだろ」


 セブラはまたどこかへ行ってしまい、伊雪さんが代わりに案内をしてくれる。伊雪さんは楽しそうに鼻歌を歌い、何を話せばいいかなと考えていると、伊雪さんがピタッと止まった。


「ここだよ。ここから先は入れないから一人で行って」

「ありがとうございます」


 結局何も聞けず、重たい扉を開けて中へと入る。奥に進むと光が射していてその光の中で眠っているのが照秋さん。セブラの友人って照秋さんだったんだとガラスの棺桶に手を触れると景色が変わり、あたりは紅葉の木が多く存在して、そして僕に向けて微笑む照秋さんがいた。

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