77話 大きな樹木②
目を開けたとき、涼太郎は目の前で死んで、俺は手に凶器を持っていた。そしてなぜか俺の服には血飛沫がかかっていて、状況が読めず混乱する。俺はっ俺は何をしたとつい凶器を捨て逃げたかった。けれど廊下に出た瞬間、警察に捕まり、連行されてしまう。
誰も信じてはくれない状況の定かで、はいやりましたと言えず、俺はずっと黙秘した。刑事は俺が話さないことで、苛立ちを放っているのはわかってる。
白装束の奴は一体何者なのか、それさえわかれば、刑事に言えるのに、あの状況白装束の奴は顔が見えなかった。ただ言えるとしたら男の声だったのは覚えてる。
それに防犯カメラには白装束の姿は映っていなく、俺は亡霊に乗っ取られたのか涼太郎をなん度も刺している映像。それを見せられ、俺は吐いてしまった。刑事はそれを見て動揺を見せ、その日は取り調べをするのをやめ、部屋に戻ることに。何かいるかと看守の人に言われ、水をくださいと告げた。
信じたくはねえよと凶器を持っていた手首を掴む。俺は涼太郎を殺しちまったんだと、つい大声を出してしまった。俺は殺してないと思っていても、記憶が蘇るように殺したという感覚が残っている。
失いたくはなかった命をっ俺はっ俺はっと体を縮こませ、涙が止まらなかった。泣いていることで、看守が水とミニタオルに、ティッシュをくれて、涙を拭き、鼻をかむ。
拭いたとしても溢れてくる涙で、俺はあいつに言われたように、牢獄の中で死ぬんだと思っていた。その日の夜、俺はいつの間にか寝ていて、絶対目腫れてんなと寝返りをしたら、黒い物体がいて、思わず叫びそうになる。
「すげえ腫れてんな」
「っうせぇ…。俺はもう颯楽を止められねえぞ」
「知っている。ここから出たくはないか?」
「は?逃げられるわけないだろ…」
黒い物体に告げるとスッと太いロープを渡された。自ら死ねるわけねえだろと返そうとするも、待っていると黒い物体はいなくなってしまう。これ見つかったら最悪じゃんかと、ふとロープを眺めてしまった。
裁判したって俺は有罪判決をもらうのは確実だし、絶対死刑だよな…。刑務所で過ごすより、自ら経って償えばいいか…。きっと涼太郎は怒るだろうなと思っても、決意する。
亡霊でもなんでもやってやるよ。あの白装束を止められるならと、俺はロープを使って自ら自害した。
死んだら亡霊になって彷徨うのかと思ったが、目を覚ました場所は真っ暗な場所だった。待ってるとか言ってたくせにと立ち上がって一歩を踏み出すと、ぼっと青い炎の蝋燭の道が現れる。
ここを進めってかと進んで行き、地獄はこちらという矢印看板を見て、進んで行くと役所っぽいところがあった。ただすげえボロの役所だなと思いながら、記入欄する机に行ってみる。
死亡した理由をざっくり書き、こいつだけは許さねえという気持ちを持ちながら、最後にモノクロのグラデーションを選べという質問で迷った。
どちらかというと俺は絶対に黒を選ぶが、ここはなんか不思議と黒の隣にあるダークグレーを選んだ。
提出はこちらという表示に進むと普通に骸骨が現れても、普通に提出をして確認してもらう。
「問題はねえな。後ろにある扉を開けろ。現世の人生お疲れさん」
そう言われ後ろにあるダークグレーのドアノブを捻り、獄の世界へと入った。獄の世界ねえとぶくぶくと沸騰している火山の頂上らしい。
赤じゃなく黒に近い火山のようで、下山すれば街とか見えんのかと下山しようとしたところ、ダークグレーのローブを羽織った中年のおっさんが登場する。
「待っていた、緋土大樹」
「あっ俺に付き纏ってた人か」
「まあそうなる。ついて来い。お前には学んでほしいことがたくさんある」
まだ名前を教えてもらっていないものの、中年のおっさんについて行くことになった。下山をしたその先に国が存在するもなぜかあちこちに光が見える。
「今は戦場だから国から入るのは難しい」
「どうするんすか?」
「俺の肩を掴め」
疑問にありながらも中年のおっさんの肩に触れると一瞬で場所が切り替わった。城の中っぽいなと思いながら、こっちだと案内をしてくれる。
そこにはびっしりと正方形が存在し、その大きさは様々だった。上から降りてきたものを摘む。
「これなんすか?」
「デステクラインと言って、カステクラインを狩るものと言ったらいいか。カステクラインは天の世界。つまり天国にいる人間を狩る」
「俺がしたいのは生きてる人間なんすけど」
「わかってる。やりたいのは白装束だろ?」
まあとデステクラインを握り、ポケットにしまった。
「あいつのせいで俺は…」
「ずっと見ていたからわかる。ただあのとき助けられず、すまなかった」
深々と頭を下げる中年のおっさんであり、顔あげてくれよと言っても、しばらくは頭を上げることはなかった。
「あのさ」
俺が声をかけた瞬間に、城だっつうのに爆発に巻き込まれる。今いいところだったのによと、けほけほしていたら綺麗な女性が現れたのだ。あれちょっと待ったと困惑が起きる。なぜならその女が想心に似ていたからだ。
「もう最悪!傑作だった死屍が駄目になった…もしかして、君、緋土大樹くん!?やだぁもう!連れて来てるならもっと早く言いなさいよ」
「今日来ると伝えていたんだが」
女性はバシバシと中年のおっさんを叩いて笑いながら俺に自己紹介をしてくれる。
「あら、そうだった?初めまして、寅萩結と申します。あなた自己紹介してあげたの?」
「…まだ」
「もう、それなのに団長なのが凄いんだから。ごめんなさいね、こちらにいるのが私たちの団長である寅萩叶。それで私が副団長を務めてるって感じかな」
「よろしくお願いいたします。あの失礼ながら、息子さんっていましたか?」
その言葉で一瞬、殺気を感じさせるような表情であっても、通常の顔で教えてくれた。
「私たちは白装束によって殺された。理由はわかってる。私たちを殺し息子を奪ったのは、葉桜の人間よ。って言っても信じられないわよね」
頭が追いつかなかった。信じていた教授がそんなことできるわけがないと、愕然としてしまうほどだった。ただ一つ疑問なのがある。
「教授ならなんで俺たちの名前を確認する必要があるんですか?」
「いや、あれは一卵性の双子だ。大樹が知っている教授ではなく、もう一人の奴に殺されたというべきだ。教授は殺める人ではないからな」
「葉桜家の使命なのよ。龍桜家に仕える葉桜家は、裏では龍桜家が気に食わない人たちを暗殺してるのよ。ただ大樹が知ってる教授は違うから安心しなさい」
そうだとしても俺と涼太郎は葉桜家に消されたようなものじゃねえかよと、つうと零れてしまった。信じていた人が信じられなくなった絶望よりもっと深い傷ができてしまう。
結さんは母親のように優しく包み込んで、もう一つの真実を知る羽目になった。
「私たちの息子、想心がいま危険な状況なの。気づかれたらおそらく、想心は死亡するわ。死亡したとしても獄の世界には来ない。なぜなら想心はあるカステクラインに選ばれるの」
「選ばれる?」
「そう。だからね、あなたにやってほしいことがあって、ずっと私たちは見ていたの」
「何をすれば?」
「簡単なこと。想心がこっちに来たら、すぐ想心と接触をしてほしいの。私たちの息子を取り返すチャンスができる。きっとそこには颯楽がいたとしてもね」
想心はこのこと知ってるのかは不明であっても、俺は葉桜家を許さないという復讐心が芽生えた。そこからは想心の両親に教わりつつ、牡丹や百合男に他のダークグレーノ団員とも仲を深めていたところ。
「え?カゼノ国にいる団長を狙う理由は?」
「団長を襲うことで、一人の団員が動く。覚えてないか?弟のことを」
そこでまた混乱に陥るかのような感覚で、まさかっまさかとついあの本で天の世界にいる奴ら一覧で検索をかけた。離婚して離れ離れになった弟、みけ太。俺がつい名付けてしまった名前だ。
ヒットしてしまって溢れていた感情が暴走し、離れろという声が聞こえた。それが正しくデステクラインの暴走。なんで、なんでみけ太が死ななくちゃならねえんだよ。
止められなくてどうしようと思った時だった。俺の前に現れたのはセブラであり、一瞬で暴走を止めてくれる。
「大丈夫か?初心者なのによくあんな大きな闇出せたな。んで本気でやる気か?叶」
「やるに決まってる。想心がこっちに来た時、久々津家が必要だからな。セブラ、止めるなよ」
「はいはい。俺は透過の紅葉の持ち主を教育せよと上から指示が出てるから、口出しはしねえけど、後戻りはできねえぞ?それでもやるってか?」
「もちろんだ。それに息子を落としたのはお前だろ?セブラ」
セブラは苦笑いしながら、ばれたというような表情を出していた。状況が読めないでいるとセブラが言い出した。
「この二人はめちゃくちゃ遠い子孫だよ。あんま誰にも言いたくはないけど、俺もあっちにいて想心を見ていたからな」
「なんでそんなことができるんだよ」
「やりたくてやってるわけじゃない。上にいけばいくほど生きてる連中の灯火が見える。あとどれくらいで死すのかをな。想心はあの時点で灯火が消えるかの、どちらかだったから天に招いたってことだよ」
「じゃあ俺はあの時点で死ぬ運命だったってことか?」
そうなるとセブラたちは言っていて、灯火が消えたら死を意味するだなんて誰も思っちゃいないことだった。
「要はね、魂の灯火が大きいか小さいかで決まるの。ほら、この世界に入る前に灯火が見えたでしょ?歩いた時、灯火は大きかった?それとも小さかった?」
思い出してみると大きくても小さくてもなかったな。
「中間っぽかった」
「うん。それが大樹の魂の灯火なの。大きければ大きいほど寿命が長く生きた証であり、魔力も大きいってことよ。最初はそうかもしれないけれど、大樹の想いが強ければ強いほど大樹の灯火は大きくなるわ」
結さんは俺の胸に手を当てた瞬間、俺の灯火が見えた。まだ大きくても小さくもない、中間の灯火。大きくなればその光がカステクライン使いになる意味も知った。
そして結さんの灯火も見えそれがとても大きく、いつカステクライン使いになってもおかしくはない状況だ。ダークグレーノ団はグレーゾーンから闇落ちした者と言われている。
「大樹には話してあげたらどうなんだ?混乱してるぞ」
「わかってる。俺たちがなぜ、ダークグレーノ団にいるのかを」
◆
グレイ団長がなぜこっちに戻って来たのかは不明であっても、グレイ団長は優くんに攻撃をするから僕は必死に止めた。けれどグレイ団長の死屍が邪魔をしてくる。
「その魂はあるのですの。返していただきますわよ」
「これは父さんの魂だ!絶対に君になんか渡さない!」
優くんは無魂になった百合男さんの魂を渡さないように取り入れをした。グレイ団長はなぜ、こんなにも百合男さんにこだわっているのかが疑問だ。団の一員とかそういう理由じゃない気がする。
それにグレイ団長の年齢って確かルルラちゃんより少し上ぐらいの年頃。それくらいの子たちはダークグレーノ国にいない。だとするともしかしたらとついグレイ団長に聞いた。
「グレイ団長、以前はカステクライン使いだったんじゃないの?」
「違いますわよ。あるはずっとっ」
グレイ団長に異変が起き、やっぱりそうだと優くんに聞いてみる。
「グレイ団長のこと知ってる?」
「…これはあまり言いたくはないですが、セブラの遠い子孫の仕業です。そうですよね?寅萩さん」
周囲が黒い光に包まれてしまうも優くんの力でなんとかその光に当たることはなかった。少しして黒い光が消えるとブラックノ団員に囲まれる。そして二名が前に出てくる。
「準備は整った。仕掛けさせてもらったぞ。これで息子を迎え入れられる」
「葉桜家と龍桜家は絶対に許さないわよ。愛しい想心を奪ったんですから」
想心のご両親と混乱をしていると、知らない男子の声が聞こえた。
初めまして、松風爽と言います。芽森の同級生って言えばわかってくれますか。俺は今、風龍使いとして動いていて、他の龍使いの話を聞きに来ました。
お母さんから話をお聞きするつもりだったんですが、失ったことでお父さんからお聞きしたところ、衝撃すぎる話を聞かせてもらいました。これはおそらく隠し通すつもりで、言わなかったと思いますが、芽森の兄、想心とあなたは従兄弟になる関係だったそうです。
想心はお父さんの姉の子で寅萩家の子。寅萩家の人と会ったことがないので、話を聞くのに時間はかかりそうですが、力になってくれると信じて探してみます。
それから第一印象のお父さん、怖いイメージだったけど、涙腺崩壊して後ろで泣いてます。どうかお父さんを恨んでいたりしていたら、許してあげてほしいです。
また何か情報が手に入ったら、お邪魔するんでその時報告します。
つい僕は身震いしてしまうほど脳裏に入ってくる内容に、頭の整理がついていけてない。想心は寅萩家の子であり、そして僕と想心は従兄弟関係。
僕はつい震えた声で言ってしまう。
「伯母さん…?」
「えぇそうよ。タイミングがいいわね。私たちは想心の本当の親であり、葉桜家に殺されたの。本当に最悪だったわ。愛しい想心を育てようってタイミングに葉桜家に襲われてね」
「あぁ、あれは最悪だった。俺たちを殺し愛しい子は葉桜家として育てられたんだからな。それに思穏くんの姉である莉穏ちゃんも葉桜家によって殺されたのだよ」
今、パキッと心にヒビが入ったかのような感覚で、信じたくはなかった。姉とは疎遠状態だったけれど、ならなぜあの時言ってくれなかったの。災害でこっちに来たっていうのは嘘だったのとシャツを掴む。
「あら莉穏ちゃんから話は聞いてたと思ってたけれど違ったようね。ごめんなさい、伯母ちゃん、口が軽くて」
「結、それは」
「何かしら?」
にっこりと微笑む結伯母さんであり、旦那さんは言いたいけれど言えないタイプのようだった。
「さて本題と行きましょう、叶」
「そうだな。セブラが現世で過ごした時代のことについてある程度はセブラから聞いてるか?」
「自分のことはあまり話してはくれない」
「そうか。指示を出したのに伝えていなかっただなんてな。教えてやろう、寅萩家の歴史を」
◆
玖朗団長がミケに襲いかかろうとしていたところ、珺さんが代わりに戦ってくれていた。アンジは伊雪に邪魔をされて助けに入れない。私が動こうとするも白い狼に見張られている。想心はあまりのショックさでまだ起きる雰囲気ではなかった。
「ミケ、その…」
「みけ太でいい。償いきれないほど、幼少期酷いことしたから。本当は嬉しかったのに、俺はすぐ手が出ちまう」
「…前から気になってたんだけど、ディーグにそっくりだなぁって思って。兄弟?」
「ディーグって誰だ?」
おっと、そっか。ディーグは偽名で確かさっき、想心が大樹って言ってたよね。
「大樹の弟?」
言ってみるとえっというような表情をしていて、まさかと獣柱がいるも伝えてしまう。
「顔似てるからそうだと思うんだけど、みけ太のお兄さん、ダークグレーノ団の寮長をしてるよ」
「兄貴が死ぬわけ…えっ兄貴が死んだ…。だって兄貴は刑務所にいるんじゃ」
これはまずかったかもしれないと白い狼たちが吠え始めていき、白い狼たちがみけ太を抑えようとした瞬間、みけ太が闇に呑まれた。
幸い、私と想心は無口の女性に守られている。玖朗団長は高笑いをし、私の正体がばれてしまう。
「やはり想心のそばにいる女、ロゼだな。感謝するぜ、ロゼ。これで準備は整った。後は想心をいただくとしようか!」
闇に呑まれたみけ太はデステクライン使いへと変わってしまい、せなさんはそれでも冷静で止めるみたいだった。
「せなさん…?」
「ごめんね、雫ちゃん。私は猫柱の部下なの。こうなることはわかってたから。藍雅さん」
こっちも驚きだよと言いたいぐらいでも、なぜか私は藍雅さんによってきを失うことに。




