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シゴノセカイ《改訂版》  作者: 福乃 吹風
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74話 ミケは三毛猫

 俺の家には三毛猫がたくさんいた理由で、名前がみけ太だった。小さい頃からあだ名が三毛猫と揶揄われて嫌だったのに、唯一一人だけいや、二人だ。揶揄わず接してくれたのに俺はいじめ続けた。その一人が年下の想心。

 想心は幼稚園から一緒で、学年は違えどよく遊ぼと言ってくれてたのに、俺は想心が鬱陶しくて想心が嫌がることをたくさんした。


「みけ太、これやろ」

「こっちくんな!あっち行ってろ!」


 ヒソヒソと他の子たちが三毛猫と遊んでると囁かれるたび、心が傷み続ける。なぜなら俺と遊んでることで、想心にも影響が出るんじゃないかと、常に恐れてた。だから俺は想心に離れててほしくて嫌がることをし続けた。


 想心が作ったものは大抵壊し、想心が大事にしている物も時々壊して、それでも想心は俺から離れることはしなかった。


「いい加減、失せろ!」

「僕はみけ太と遊びたいの!一緒に遊ぼうよ!」


 幼稚園の頃は僕と言っていた想心で、俺の腕を掴んで離そうとはせず、そういうやり取りが続いていた頃。


 同い年に揶揄われ、いじめられ、それがエスカレートしていた時期。俺には心の余裕がだんだんと減っていって、つい俺は一番やっちゃいけないことを想心にしてしまった。

 付きまとってくるけど可愛くて弟のようにみていた想心に、俺は何度も、何度も殴っては蹴ってしまう。それをみた先生はすぐ救急車を呼んで、想心は病院へと搬送された。俺は母親と父親にひっぱ叩かれる。


「何をしているの!こんな子に育てたつもりはないのよ!」


 そう言って母親は泣き、父親は呆れた瞳で俺をみていたな。それから両親は想心の両親に医療費を出し、引っ越すことになった。謝ることもできず、俺はやった行為を別の場所で受けることになる。


「この野良猫が!」


 小学校からよく三毛猫から野良猫へと呼ばれるようになっても、抵抗する威力さえもなかった。だって俺は唯一の友達をあんなことをしたんだから罰が来たんだ。

 そんな時、もう一人の子が助けに来てくれる。


「先生、またやってます!」


 そう言っていないはずの先生を呼んで、俺をいじめる奴らは退散していき、大丈夫と声をかけてくれた。


「先生、いないんだろ?」

「いてもいなくても、私はいつだって味方だよって言ったでしょ?保健室行こう」

「悪い、せな」


 せなの力を借りて立ち、保健室で手当てをしてもらうも保健室の先生はひどいわねとよく言っていた。仕方がない。だって俺はとついつい口癖で言っていると、保健室の先生はこう言ってくれる。


「幼稚園で何をしたのかは先生にはわからないけれど、きっとその子は許してくれるわよ。だから自信を持って堂々と生きなさい。いずれもしかしたら再開した時、あの時はごめんって謝ればいいのよ」

「もし会えなかったら?助からなかったら?」

「そんなこと言わない」


 バシッと絆創膏を貼られ痛いと多少涙ぐむも、保険の先生はイタズラっぽく微笑んで俺の頬に優しく触れて言った言葉。


「世間は狭いものよ。だから必ず会えるって信じながら過ごせば会える。先生もね、後悔していたことがあって、会えるかなって思ったら、偶然に出会えたの。もしかしたら必然的に会えたのかもしれないからね」


 偶然ではなく必然的にという言葉を俺は信じて、せなと一緒に過ごしてた。小学校でのいじめがあったけれど、なんとか耐えては先生に言いつけ、そしていじめの頻度が減って行き、中学生になって二年になった春の時。

 普通にせなと登校をしていると、なんとせなが想心を見つけた。


「あれ、想心くんじゃない?話してみなよ」

「えっだけど」


 せなに背中を押され、勇気を振り絞って想心に話しかけようとした時だ。想心を絡む先輩がいて止めに入りたかった。ただそれは叶うことすらできなかったんだ。

 なぜなら絡む先輩を軽々と倒して、足が止まってしまったのだから。以前とは違うオーラを放っていて、俺は近づけなかった。


 そこから想心がなぜそうなってしまったのだろうかと、遠目で見ていた。あちこちから広まっていた噂。想心は喧嘩を売ってくる人たち全員を倒したこと。

 喧嘩が強いのはわかったけれど、なぜ喧嘩が強いのだろうかと、想心の兄とばったり道端で会ったおかげで理解ができた。


「まさか、ここで想心に酷いことした久々津くんと会うだなんてね」

「あの時は本当に悪かった!」

「僕にじゃなくてさ、ちゃんと想心に謝ったの?」


 笑っているけれど怒っている想心の兄であり、俺が口籠もっていることで、怒りを出そうとした時、せなが入ってくれる。


「初めまして、三毛屋せなって言います。彼氏が無礼なことをしたことは、彼女である私も謝らせてください!それに実は謝りたくても、想心くんの雰囲気が変わったことでまだ謝れていないんです。想心くんに一体何があったんですか?」


 せなの言葉で、一度俺を見ては怒りは鎮まり、事情を明かしてくれた。


「想心は本当の弟じゃないってばれちゃったんだと思う。両親は隠し通すつもりだったらしいんだけど、その時想心が聞いちゃったんだ。想心はとある家柄の息子だということをね」

「どこの家柄なんですか?」

「あまりこのことは口外しないって約束してくれるかな?」


 俺とせなは約束を守るということで、想心の兄から教わった。想心が地の神という家柄の息子であるということ。そして葉桜家は天の神と関係していることで、本来想心は紅葉川家に託すはずだったらしい。ただその当初、紅葉川家に息子が生まれる寸前だったことで、負担をかけさせないために葉桜家が次男として育てていたということ。

 これを口外したら、のちに龍桜家に狙われるかもしれないから気をつけてほしいとも言っていた。


 約束を守りつつ俺とせなは想心が心配で話しかけはしなかったけれど、見守っていた時だ。せなからあることを言われる。


「最近さ、変な物体を見るようになったんだけど、みけ太はそういうの起きてない?」

「いや、全く。幻覚を見たとか?」

「それがよくわかんないの。もしかしてさ、あの秘密を知っちゃったからとかじゃ…ないよね?」


 まさかなとぎこちない笑みを浮かべながら、俺は言い出せなかった。なぜなら近くに黒い物体があちこちにいたから、せなを不安にさせたくなかった。


 その頃、ずっとひとりぼっちだった想心に友達ができたことで俺とせなはめちゃくちゃ喜んだ。


「これでひとまず一安心だよな」

「うんうん。想心くんにお友達ができたの嬉しいよ。これで心配はいらなくなったんじゃない?」

「いや、想心になにかあっちゃいけないし、遠くでまだ見守るよ」

「もう、兄弟じゃないんだから」


 おでこにデコピンされ、いたっと俺は両手でおでこに触った。そして俺たちは最悪な事態が起きる。想心を見守っていた影響で、黒い物体が多く見え、嫌な予感しかしないとあの日、想心と思穏が転落した日、目撃していた。

 俺は咄嗟に想心を抱き上げ泣け叫び、せなは思穏に声をかけていた。救急隊と警察が来るも、俺はしばらく想心から離れることはできず、せなの声で離れることに。


 想心と思穏の遺体が運ばれた後、俺たちは事情聴取を受けた直後のことだった。俺はせなと帰っている途中で起きた交通事故にあい、俺たちは緑が好きだったから緑を選び、カゼノ国へ。


「想心くんたちもここにいるんだよね?」

「会う確率は低くとも、会いたい。会って話したい」

「会う前にさ、階級上げて今度は想心くんを守れる存在で会おうよ。きっと頼れるお兄ちゃんって言ってくれそうじゃない」


 せなが言った言葉で俺は想心に会う前にできるだけ階級を上げようと思っていた矢先、俺とせなはグレイの罠に引っかかった。


「ふふっようやく見つけましたわよ、みけ太とせな。そうですわね、想心が奥にしまってある古傷を開けるタイミングまで三毛猫になってもらいますわよ。それまではせなはあるのもとに」


 やめろとせなが牡丹によって連れて行かれた瞬間にいつの間にか猫になっていて、グレイたちはいなくなってしまう。気がつけばホノオノ国に飛ばされていて、途方に暮れた俺はニャヴィと出会い、そこで居候していると想心たちがやって来た。

 照れくさくて態度は昔と変わらずとも、元気そうでよかったし、そばにいたいと思って青の団に入団するも、グレイの言葉があったから、猫のままで過ごそうと思ってたのに。


 遠くから白龍が現れて、想心は無事かなとせなの手を強く握ってしまう。


「みけ太…」

「平気」

「平気じゃないってわかるよ。想心の古傷を開かせちゃったって顔してる。時間はかかるかもしれないけど、必ずわかってくれるよ」

「俺があの時、グレイに言わなきゃグレイはデステクライン使いになることも、こうなることもなかった。全てっ全てっ」


 言いかけた時、せなが抱きついてこれ以上言わないでと言っているかのようだった。グレイをデステクライン使いになってしまったのも、俺が関係しているから、俺のこと憎んでいるからこうなっちまったんだ。


 想心が頑張ってこの世界のことについて勉強をしている時期…


 その頃はまだグレイはカステクライン使いとして動いていて、俺とせなはグレイの部下だった。グレイが少女でありながらも団長として動いていて、妹のように接してあげていた。


「グレイ、ここがわかんないんだけど、これはどうすればいいの?」

「これはこうやって、こうして」

「なんか、こうやってみると、妹に教えてもらってるお兄ちゃんだね」

「余計なこと言わなくてよろしい」


 はいはいとせなに揶揄われるも、俺はその幸せを大切にしていたな。そんな時、あることをグレイに伝えていた。


「俺さ、幼稚園の頃、弟みたいな奴がいて想心っていう子なんだけど、酷いことしちまった」

「そうだったんですわね。やってしまった行為は消すことはできませんわ。償ったとしても、その子の傷は癒えることはできないですの」


 グレイが言った通りやってしまった行為は決して許されることではない。心の傷は古傷になっていくも、いずれ何かが起きた時、その古傷からヒビが入っていくのは目に見えていた。そう捉えているとグレイが付け足す。


「ただ、あるが言えるとしたら、再会した時、そういう気持ちを持っているのであれば、素直に伝えるのがベストですわ。どれだけ謝っても、許してくれるとは限りませんけど、いつかは許してくれますわよ」

「いつかか…。許してくれなかったら?」

「それはみけ太次第ですわ。みけ太の気持ちがものすごく伝わるように、伝えないと想心は向き合ってくれませんわよ」


 グレイの言葉で俺は絶対に想心と向き合いたくて、グレイに教わってた。ただ悲劇が起きる。


 通常の任務より過酷な任務を引き受け、まだ俺たちは五段魔導士でありながらも、獄の世界での戦でグレイは元ダークグレーノ団長に魂を狩られ、守りたかった。

 守りたかったグレイの魂は呪われ、デステクライン使いへと変わる。俺は想心を守りきれなかったという思いと共に、グレイを守りきれなかったことで、無意識に元ダークグレーノ団長を倒す。

 グレイは元に戻らずダークグレーノ副団長、牡丹によって奪われてしまった。俺は立ち崩し思いっきり叫んだのを思い出す。これは俺が決着をつかなくちゃならない。そのためにもまずは想心とちゃんと向き合わなくちゃ。


「ごめん…」

「謝らなくていいよ。想心くんが今、不安定になってるから、会わないほうがいいと思うけど行くなら私も行くよ」

「ありがとう、せな。グレイの呪いを解く方法もまだ見つけてないけど行く」


 アンジに言われて離れたけどやっぱり離れるべきじゃなかったと、俺とせなは想心がいる場所へと戻った。



 あるはずっとみけ太から想心のことを教えてもらってましたの。さっきあるに見せてくれた表情がたまりませんわ。子犬のように怯え切った想心。弱点はやはりみけ太だったようですわね。

 邪魔なアンジが白龍を出したとて、すでに想心の心はこちらのものになりますわ。それにお迎えが来たようですわね。


それがしの弟をいじめるな」

「もう体はいいですの?」

「すっかり元気になったからな。伊雪、アンジの相手をしてやれ」

「はーい」


 伊雪がアンジに向けて攻撃し始めたことで、想心が無防備のままですわ。玖朗が近づこうとしたところみけ太とせなが戻って来ましたの。


「想心に触れさせない!」

「どけ。じゃなきゃ、グレイが狩るぞ」 


 玖朗の死屍デッドルタが出現し、玖朗は今まで出していなかったオーラを放つ。玖朗を怒らせると体から魂が出てしまうぐらいの闇を抱えていらっしゃいますの。耐えるはずが…どうなっていますの。

 玖朗の闇に耐えられる力はアンジしかいないはずなのに、なぜ…なぜですの!


 みけ太はせなを抱き強い光に包まれ、玖朗の闇を弾きましたわ。


「言っただろ。俺は想心にどんな目で見られてしまったとしても、昔の俺じゃねえ!俺は、俺は!」


 どんどん光が強くなっていき、玖朗と目を向けると、そういうことかとなぜかにやけてましたの。


「グレイ、退散しろ。グレイじゃ耐えきれない光が現れる」

「まさか」

「そのまさかだ。虎萩家に仕えていたもう一つの家系、久々津家。これで駒は揃った。あの魂をデステクライン使いにする。伊雪!アンジをここから引き離せ!」


 再度返事をする伊雪であり、アンジはそれを察ししたのかこっちへ来ようとしますわ。ですからあるの死屍デッドルタを大量に出し、あるは一度退散しましたの。


 ◆

  

 今までに感じたことがないオーラを出している久々津みけ太。思っていた以上に覚醒が早く、おそらくこのタイミングで久々津みけ太は、デステクライン使いになると見ていい。

 これりよっしーから何も指示受けてないんだが、玖朗が現れた以上俺も動くしかないな。それに気を失っている想心に何かされたら、後々りよっしーが怒りそうだ。


「滾良、アンジの援護を頼む。藍雅は想心を避難させろ」


 二人に動いてもらって俺は玖朗の前に出ようとしたところ、おいおいまじかよと足を止めた。俺の前に現れたのは ブラックノ副団長である王林育だ。最近は大人しいから気にしていなかったが、育の闇が俺を行かせないようだった。

 

「いがぜないだぁ!」

「普通に喋ってくれないかな。何言ってるのかわかんないんだわ。それに久々津家をデステクライン使いにしたとしても、想心はあんたらのところには行かせねえよ」

「想心のごごろは、もう」

「あーはいはい。想心の心は黒いってか。俺らもわかってんだよ。想心の心が穢れてるぐらい。だから清めてやる仕事は、アンジなわけ。それくらい」


 話していると俺は吹き飛ばされ、混乱が起きた。ニトは勘が鋭いから自力で飛んだっぽい。最近ブラックノ団員が静かすぎたのはこういうことだったのかよ。

 見たことがない死屍デッドルタであり、おそらく改造された死屍デッドルタだ。りよっしーに報告したら、どうなるか想像がつく。久々津みけ太を早く助けたくても、これを放てば大ごとになる。


「面倒なことしてくれたな。なんでこんなことするんだよ。これを見たらお前の想い人が泣くぞ」

「璃子は関係ねえだぁ。それに何をだくらんどるのかは知らねえが、なぜ真実を言わねえ?」


 ブラックノ団は気づいてんのか。想心がなぜ葉桜家のもとで育ったのかを。これを暴露されたら想心は必ず闇堕ち確定だな。それかあれか。想心のご両親がどこにいるのか突き止めたから、今こうしているのか。

 まあどちらにせよ、想心は奪わせないけどなと、カステクラインを起動させる。


「カステクライン!光、鶏の金切声!」


 ニトと複数の鶏が現れ光を放ち、王林育から離れようとするも、近くにさっきの死屍デッドルタが現れた。対処の仕方が変わった以上、今は久々津みけ太が先だと、もう一度光を放ち、瞬間移動をする。


「獣柱が何のようだ?」

「あれはなんだよ」

「新作のあれ試してるのか。教えるわけがない。さっさとどけ」

「どくわけないだろ。久々津みけ太、想心のそばにいてやれ。一刻も争う。行け!」


 久々津みけ太は少々戸惑っているも、想心が避難した場所へと行ってもらい、玖朗はほくそ笑む。しまったと動こうとした瞬間、玖朗の闇にのまれてしまった。

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