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シゴノセカイ《改訂版》  作者: 福乃 吹風
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110話 現世大戦争⑩

 思穏がアンジくんによってやられてしまったと連絡が来たとき、その場にいてあげられたら良かったと思ってしまった。なぜ私はいつも選択肢を間違えちゃうのかなと想心くんのご両親が教えてくれた龍桜神社の入り口へと着いた。

 今頃、それぞれ獣柱を止めているころだろうと、入ろうとしたけれど、結界が貼られてあって簡単に入ることはできなかった。


 雷龍使いだとしても入れない現況は、古きから雷龍は寅萩家と親しかった関係で、入ることはできないってことか。入ればきっと邪人に襲われるとしても入らなければならない理由が存在する。 

 私が亡くなった理由はただ一つ、力の暴走であの世を去った。それを知っているのはおばあちゃんと、そして龍桜神社の神主だけ。あの時、神主と出会ったとき、とても不自然な点がいくつも存在してた。


「素晴らしい。雷龍を手懐けられる人がまだ若いとは。私のところで修行をしてみないかい?もっと威力を出せると思うんだ」


 そう言って神主は警戒されないよう微笑み、その微笑みの裏に何かがあるのだと。それから私の雷龍が気をつけろと言われたから警戒を抱く。

 すると神主は私が警戒をしているから、近づこうとはしなかった。おそらく神主の龍たちが囁いているからだと思う。


 気が変わったら来てほしいと言われ、その日はなにも起きなかった。されど数日後、神主とまた会うことになり、また誘われるも、断り続けた結果。雷龍に異変が起こり、そして私の力が暴走した。止めることができず、おばあちゃんが止めようともできず、そして神主が現れたとしても、私を助けようとはせず、侮辱するような顔立ちだ。

 自力でなんとか力の制御をしようとしても、駄目で結局あの世を去り、そして天の世界で過ごすことに。ごく普通に生活していたら、シロノ団に見張られるわ、獣柱が力を貸してほしいだの、言われる日々だったな。


 さて、どうやって入ってやろうと考えていたら、そこに想心くんの兄である颯楽くんが出てきた。颯楽くんと呼びかけるとなんでというような顔立ちで来てくれた。


「莉穏ちゃん、なぜここに?」

「李好に会いに来たんだけど、神社の中にいるかな?私だと拒絶されちゃって、中に入れないの」

「確かいたよ。入るなら、これを」


 颯楽くんは私と触れ合うことはできなくても、お守りを渡してくれる。普通に持てれるのが不思議だった。


「凪嬉は中にいるから、何かあったら凪嬉に言ってね。僕は天龍寺に向かわなくちゃならないから」

「わかった。気をつけてね」


 そっちもと颯楽くんはバイクに乗って行ってしまい、お守りを握って龍桜神社の中へと入る。桜の季節だったらこの神社は綺麗だろうなと思いながら、鳥居をくぐりその奥へと入るも邪人の姿がなかった。

 てっきりうじゃうじゃと邪人が徘徊しているのかと思っていて、すみませーんと声をかけたら、神主の息子が現れた。


「雷龍使いがなんでいんの?しかもそっち側か…。あっ父さんが言ってた子。…ごめん」


 神主の息子はなぜか私に謝罪をし、意味不明だった。なぜ謝られるのと考えていると、神主の奥さんも出てくる。息子が頭を下げていることで、隣に立ち母親も頭を下げた。

 頭を上げてくださいと言ってみるも、なかなか頭を上げてくれなくて、困っていたら母親が先に顔を上げ、息子も顔を上げた。


「莉穏ちゃん、夫が無礼なことをしたことで、命を落とさせてしまった。夫はあの時から邪神に支配されていたの」

「父さんを止めることができなくて、たった一人の友達、想心とそして君の弟を失わせてしまった」


 何かがおかしいと一歩下がり、雷龍が私を護る体制へと切り替わった。ごめんねと再び謝られた瞬間、大きな地震が起きそして二人はみるみると邪人へと姿を変える。

 偽者だとはっきりして、動こうとした瞬間のことだった。そこには本物の神主の息子が現れ、邪人を祓ってくれる。


「僕になるだなんて最悪。怪我はしてない?」

「平気だけど、さっき偽者から言われた言葉。それは本心?」

「本当だよ。父さんは以前邪神に体を奪われそうなところ、維持できてた。だけど想心が千年前の人の魂だと知った直後に侵入された。父さんを止められるのは芽森ちゃんと、想心に、君の弟だよ」


 どういう意味と聞いたら、神主の息子は龍に指示を与え、こう言った。


「千年前に起きた大災害を止められたのは、その三人の魂が関係してるからなんだよ。魂には役目が存在する。生まれ変わったとしても、必ずその道を辿る運命。君もだよ、莉穏ちゃん。君の役目は雷龍使いとして、この世界を護る守護神となり、現世にいる民を護ること。ここにいても無意味だよ」

「無意味じゃない。私はアンジを止める権利がある。たとえ、あなたに拒否をされようとも、ここを動くつもりはないよ」

「そう。ならあれを止められる?」


 何をと神主の息子が見ている方向を見たら、社務所のほうから誰かが吹き飛んで来て、誰かと思えば鳩柱の鈴翔くんだった。何があったのと手を差し伸べ、鈴翔くんは私の手を掴み立ち上がる。


「辰弥様、お下がりください」

「李好は?」

「凪嬉を止めようと動いてますが、時間の問題かと」

「わかった。僕が龍ノ姫と避難をするから、頼んだよ」


 はいと鈴翔は言い、辰弥は雫ちゃんがいるであろう場所へと向かった。


 行ってみると李好が凪嬉を止めていて、私と鈴翔くんは李好の援護をした。本当は獣柱に力を貸すつもりはないけど、獣柱が邪人になってしまったら大ごとになる。

 それぞれ得意魔法で凪嬉くんに攻撃を与えるも、効果は薄い状況で苦戦していたら、そこにアンジくんが登場した。


 アンジくんは凪嬉くんが邪人になっているにも、ただ見つめているだけで、アンジくんじゃないってはっきりする。想心くんと会ってしまったら、きっと想心くんは暴走してしまうような感じだ。

 凪嬉くんの様子を見て、こちらをみるアンジくんは邪人を出す。


「李好さん、今まで役目を果たしてくれてありがとう。鈴翔くんがこっちに来るのは想定内だったよ。ほら、みんなはもう邪人になってくれたよ」


 アンジくんが指を鳴らすと獣柱が人を抱えて、私たちに向けて投げる。その人たちは獣柱を止めていたみんなで、大きな傷を負っていた。魂が消滅するとかないけど、しばらくみんなは戦えそうにない。

 すると体力がもうないはずのリディーさんが立ち上がろうとするから、支えてあげる。


「義…臣」

「カステクライン!光、女神の安らぎ!」


 鈴翔くんが治癒魔法を唱えたとしても、治癒効果が見られず、アンジくんは冷ややかな笑みでいた。邪人で倒されたみんなはカステクラインとデステクラインの魔法だと効かないってことなの。


「さて李好さん、鈴翔くんにも邪人となってもらうよ。そして芽森ちゃんがここに来たら、本当の力が解放できる」


 その言葉で李好が雫ちゃんがいるところへ行こうとしていて、行かせないよと私たちを囲む邪人となってしまった獣柱のみんな。どうすればいいと迷っている暇はなく、獣柱のみんなが襲いかかってきた。

 リディーさんも戦おうとするも力が尽き果ててしまっているせいで、ただただ義臣さんの名前を叫んでいた。


 するとまばゆい光が放ち、何が起きたのと思っていると、眩い光が消えた途端にアンジくんと邪人になってしまった獣柱のみんなはいなくなっていた。

 私たちを助けてくれたのは、玖朗団長とそれからセブラにみよりさんがいる。


「ちっ逃げられたか。おい、涼真。芝居はやめろ」


 ぐったり倒れていた絹鬼団長がやっと入れたねと起き上がり、他のみんなも起き上がる。李好はため息を出しながら、鈴翔くんも呆れてて、私だけが理解できてなかった。


「莉穏ちゃん、理解してない顔立ちだね。僕たちはここに侵入するために、わざとやられてどうせ連れてくるんだろうなって思ってたから。魔法が効かなかったのは僕たちはもう回復済みってことだよ」


 絹鬼団長に言われてしまい、ならもっと早く起きてくださいよと言いたいぐらいだった。ただみよりさんの光がなかったら今頃、李好と鈴翔くんは邪人になっていたのかもしれない。


「邪神の祠がある場所に行く。いいよな?李好」

「まだ想心くんが来ていなくてもいいと?」

「構わない。想心は大事な妹のそばにいたほうがいいからな。アンジの中にいる邪神を追い出した後、李好頼む」


 李好さんは納得していない表情でもわかりましたと玖朗団長に言い、みんなも行くから私も行こうとしたところ、李好に言われた。


「あなたは一度ブラックノ国へと向かってください。紅葉川照秋が待ってる。鈴翔案内を。案内が終わったらすぐ戻るように」


 鈴翔くんが返事をすると思穏のこと頼むとセブラに言われ、私と鈴翔くん以外、邪神の祠があると言われている場所へと向かわれた。

 私と鈴翔くんは一度、ブラックノ王国へと向かうことに。


◆


 私の読みは当たっていたようで、鈴翔以外の獣柱は邪人となり、私たちの前に現れた。私が蛇柱に選ばれた時から、冰春に違和感を感じていた。

 普通に接してはいたものの、会話をするたびに、邪神と入れ替わっていたりだった。だから想心くんがこちらに来た際に、想心くんのそばにいさせた結果、最初は冰春だったとしても過ごしていくうちに、冰春の暴走は酷い状況になっていたのも事実。


 すでに冰春は邪神に体を奪われ、闇の奥底へと眠っている。邪人を追い祓えるのは、闇の中に光を灯し続けているデステクライン使いのみ。その一方我々は光を出し邪人を引き出す役目がある。 

 龍桜神社の地下へと入るにつれて、邪人が多く現れるも、光を出したり、死屍(デッドルタ)を使って邪人を抑えていた。


 楓は今頃、想心くんと会えたころかなと厳重にされている扉に到着した。この先に邪神の祠があり、その扉には大きな亀裂がある。

 おそらく後、一回か二回の地震でこの扉は壊れ、邪神が現れるのは確定だ。玖朗、いいと目で合図をすると、頼むと頷き、私と鈴翔がやろうとしたら、待ってくださいと猫柱の優が現れる。


「優、君の役目はもう」

「僕も柱の一人です。たった今、想心と芽森ちゃんが天龍寺で接触しました。ただそこに」


 優が言う前に玖朗とセブラがいなくなって、最悪な事態だと撤退という前に、大きな地震が起きて、扉が開かれてしまい、私と優は邪人に侵入された。


◆


 天龍寺に到着した俺たちは、一台車が停まっており、父さんの車だと理解した。階段を登り行ってみると、そこには父さんと母さん、そして芽森と会うことができた。

 芽森は今でも泣きそうな顔立ちで、俺が走ると芽森も走り、ハグできるかわからないがと思っていたら普通に抱きしめることができた。


「想兄っ」

「芽森、寂しい思いさせちゃって悪かった」

「平気。最初は想兄も失って、颯楽兄も失ったショックは大きかったけど、二人に怒られちゃうと思って、少しずつ前に進めるようになったよ。会えるのは一度きりってお母さんに言われたから、待ってた」

「待っててくれてありがとう。芽森、見えなくなってしまっても、俺と兄貴はそばにいるからな」


 うんと芽森の笑顔を見られて、父さんと母さんの方に向けようとした瞬間。俺と芽森を守ったのはみけ太と楓兄だった。そこには邪人となったらしい獣柱の人たちがいて、何人かはまだ邪人になっていないようだった。

 父さんと母さんの姿がないと周囲を見渡していたら、アンジが父さんと母さんを引きずっていた。


「なかなか来ないから迎えに来たよ、龍ノ姫」


 父さんと母さんを離し、指を鳴らすと、芽森に異変が起きる。芽森は自我を失ったかのようになっていて、さあ行こうとアンジが手を差し伸べるとアンジのほうへと行こうとするから止めた。


「てめえは誰だ?」

「やだな。僕は僕だよ。お兄さんと再会できてよかったね。芽森ちゃんはいただくよ。全員の魂もらったら、最後にもらうから、想心は邪人と遊んでてよ」

「父さんが言っていた邪神に妹を渡すかよ!みけ太!」


 みけ太が以前なっていた猫の姿となり、芽森と楓兄を乗せて行ってもらう。そこにテンファの弟が到着したから伝えた。


「テンファの弟、龍桜神社にいるみんなに告げろ!邪神が起きると!」

「だけど想心一人にさせるわけにはいかないです!」


 いいから行けと告げ、テンファの弟は迷いがあっても、行ってもらい、邪人となった獣柱とアンジの相手を一人でやるとかは思わない。

 芽森と楓兄が避難したことで、本当の父さんと母さん、それからブラックノ団が現れた。育て親を避難させてと一人の団員に告げる母さんであり、父さんは白虎を出す。


「終わりにさせてもらうぞ」

「終わり?これは始まりにすぎないよ。ほら白龍が見える。あれは龍真の龍だ。芽森ちゃんを避難させたのが間違いだったね」


 その言葉でみけ太と楓兄が危ないと行こうとしたら、獣柱が邪魔をしてきたが、ブラックノ団員が相手をしてくれて、行ってくださいと言われたから、走る。

 何も起きないでくれと走っていたら、邪悪な光が見え始めた。芽森、楓兄、みけ太と行ったら、みけ太は元の姿になって楓兄を守っていた。芽森は邪悪な光の中にいて、次の瞬間、大きな揺れが起き始めると同時に、邪悪な光が一瞬で消えてしまう。

 

 守り抜くことができないことによって怒りがあるとしても、冷静さを保つ。芽森は大丈夫だと言い聞かせながら、楓兄とみけ太のそばによる。


「芽森が連れて行かれたなら、ここにいる意味がない。アンジもきっと天の世界に戻ってる。楓兄、会えてよかった。地震はまだ続くと思うけど、俺たちの無事を祈っててほしい」

「もちろん。本当に会えてよかった。僕は帰って爽くんに伝える。無事を祈ってるよ」


 楓兄ともハグをして、父さんと母さんに報告しに、天龍寺へと戻った。

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