45.木偶の坊が!カカシにしてやんよ!
アディの実家にお世話になって一週間が過ぎた。アディとクアイスさんは今までの分の家族の営みを満足いくまでできたようだ。
「アマンディーナは私と一緒に暮らすのかい?」
「…本当はそれも悪くないと思ってるよ父様。でも僕はレタちゃん達について行って裏切ったことの罪滅ぼしをしたいと思ってる。と言っても裏切り者なんかと一緒に居たくないと言われたら同行はしないよ。」
クアイスさんとアディが今後についての話し合いをしている。
「お兄ちゃん…。」
レタが俺を見上げてどうするの?と目で聞いてくる。
「レタはどうしたいんだ?なんなら俺よりもレタに答えて欲しいと思ってる筈だぞ?」
「でもレタはお兄ちゃんについて来てるだけだから…。」
「…いつものような猛烈なアプローチはどうした?らしくないぞ?いつものレタだったら『アディくんも連れて行こう?なんならレタもセットで付けるから。』とか言うところだろ?一緒に行こうってレタの口から誘ってあげたらアディも喜ぶと思うよ。」
「…うん!ありがとうお兄ちゃん!蔵の大英雄が…おねぇちゃんのパートナーがお兄ちゃんで良かった!」
そう言ってレタは俺の頬にキスをしてアディの元に向かった。
「…本当にそういうところよね。」
「え?最善じゃなかった?」
「はぁ。そういうところもそうね。」
「?。」
エナが何を言いたいか全然分からない。言葉にしないと分からないよ?
「コージ君。少しいいかね?」
「なんでしょうか?真珠のことですかね?でも真珠は多分お返ししない方が良いと思いますけど…。」
「あぁ、そのことではなくてアマンディーナのことなんだがね?どうやらコージ君に付いて行くことになったそうだね?」
「そうですね。レタもエナも反対はしてませんし問題はないかなと思ってるんですけど…。まずかったですか?」
「いやいや、とんでもない!寧ろ娘が自分で決めたことをして貰うのが今の私の罪滅ぼしだからね。寂しくはなるが大歓迎だよ。」
?。なら他になんの問題があるのだろう?
「コージ君は蔵の大英雄で仮にもヴァルディの王なんだよね?」
「まぁ。お飾りですけど一応王様ってことになってます。」
「それでねコージ君。もう既にエリアーナ君が君の王妃となっているんだよね?なら、第二王妃として娘を迎えて欲しいと思ってるんだがどうかな?いや!出来ないなら側室でも構わないんだ!どうか娘を君の側に置いてあげて欲しい。」
え?この人どうしたの?自分の娘を愛人として側に置いて欲しいとか頭大丈夫?賢くなる魔法を頭にかけて貰ったら?
「ど、どうしたんですか?なんでいきなりそんなことを?」
「この一週間で娘と色々なことをして過ごしたんだ。その中で短い間だったけど君達と過ごしたときが楽しかったと娘は話していた。自分のことを分かってくれていた君に凄く感謝してる、そしてそんな君のことが好きでどんな形でもいいから側に居たいと言っていたんだ。そんな君だから任せたいんだ。娘の目が曇っているとは思えないからね。」
でも側室だよ?愛人なんだよ?でもお父さんが良いって言うなら仕方ないなぁ。し、仕方なくだからね!
「クアイスさんとアディの意思を尊重出来る様に頑張ります。」
「初孫は娘でよろしく頼むよ。」
「奇遇ですね俺も娘が良いですよ。そして二人目は息子ですよね?」
「分かってるじゃないか君は!」
「「わっはっはっはっ!!」」
俺はクアイスさんと意気投合した様に手を強く握り合う。
背中からピリピリした視線を感じる…。まぁ気のせいだよね!とにかくお嫁さん二人目(親公認)ゲットだぜ!
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出発はみんなで話し合って明日にすることになったので各々支度を整える。
俺は宝物庫があるからなぁ。あんまり支度という支度は要らないんだよなぁ。そうだ!王都の外で宝物庫の中の物の使用感とか確かめないとな!
そもそもなんで今までやってなかったとかは言いっこ無しだよ?え?普通やるって?だってエナ達が強すぎて俺は楽できるなぁって思ってたんだもん!俺悪くないもん!
流石に一人で外に行くのは危険もあるので、家の物で支度が済んでいたアディに声をかけて外に連れ出した。
「にいさ…お兄様の宝物庫にはどんな物が入っているんですか?」
「さあ?多すぎてほんの一部しか把握してないや。こんな変な名前のスコップもあるくらいだから色んな物が入ってると思うけど…。」
そう言って俺は開拓地で使ったスコップを取り出し動かして見せる。
「誰がこんな名前付けたんでしょうか…。お兄様と同じで余程の変人なのですね。」
「…俺はそんなに変人じゃない。」
こんなネーミングセンスの人と同じにしないで欲しい。なんてったって俺は蔵の大英雄だからな!こんな気が狂った様な名前を付けるような奴とは違うからな!
「お兄様。その大きすぎるスコップの音に釣られて何か来ますよ?」
森の方から獣の様な雄叫びが聞こえこちらに迫って来た。
それは三メートルくらいの大きさで牛の頭を持ち、人の体をしたいわゆるミノタウロスってやつだった。
お前なんか蔵の大英雄の敵じゃないな!宝物庫を使った戦闘のカカシとして使ってやるよ!
「一応聞くけどコイツって強いの?」
「間違いなく私とお兄様だけだとあの角に貫かれるますね。」
俺は咄嗟に懐から宝物庫を取り出して鎖をミノタウロスに飛ばし拘束した。
よし!この隙に逃げよう!
俺はアディの腕を掴んで全力で逃げようとしたが、ミノタウロスは鎖を引き千切りその巨大な腕を振りかぶった。
俺は宝物庫から盾を展開して自分達の前を防ぐ様に配置した瞬間にミノタウロスの腕が振り下ろされた。
大きな音がして盾が大きくひしゃげた。
「お兄様!無理です逃げましょう!」
お返しとばかりに俺は剣を数本展開してミノタウロスに向けて投射したが、体が大きすぎて致命傷になっていない様だ。
「やっぱりダメだ。よし。逃げよう!」
アディは俺の合図待ちだったのか両手に光魔法を既に展開していた。そして両手の光魔法を発動させる瞬間にミノタウロスは白い体躯の龍に上から押しつぶされた。
白い龍はミノタウロスよりさらに四倍ほど大きく、俺たちを上の方から見下ろしていた。そしてその白い龍は口を広げた
あ。これヤバいやつだ。アディも立ったまま固まってるし。
俺は口から出る炎に焼かれるか、その大きな口で食べられるか想像してどっちが良いか天秤に掛ける。
「…苦しまない様に食べて下さい。」
龍は俺に頭を近づけ、
「パパ」
と言った。
なんですかお嫁さん二号って!俺にもくれよ!
(お嫁さんどころか彼女居ない)
なんだか書いてて羨ましすぎて腹が立つことってあるんですね。おじさんにも出会いの場が欲しいなぁ。




