43.ゲロゲロパニック
アディとクアイスさんの心温まる家族の愛を見届けた俺はクアイスさんを縛っていた鎖を回収し、レタを縛っている鎖も回収するためにレタに近づこうとする。
「ちょっとレタ!吐き過ぎ!あ、ご主人様!その宝物庫貸して!」
待って?宝物庫に何を入れるつもりなの?これは七宝だよ?バスに備え付けられてるエチケット袋じゃないよ?
「お、おにい…オエェーーーーッ!」
レタ?ふざけるのも大概にしような?お兄ちゃん怒っちゃうよ?
レタがかわいい顔に似つかない嘔吐ショーを繰り広げているので、宝物庫から大きめの革袋を取り出してレタの顔に被せる。
鎖で縛られて顔に袋を被せられた小さい女の子なんて通報ものだなぁ。とにかく辛そうだし鎖を取ってやるか。
レタの身体を縛っているネトネトする鎖をとって宝物庫に仕舞った。
後で鎖を洗わないとな。エナも汚いし臭い…泣きそうな顔でこっちを見ても俺は何も出来ないないよ?
「クアイスさんに風呂場を使えるか聞いてくるから待ってて。」
エナは首をブンブン縦に振り早くしてって言ってるように見える。
アディとクアイスさんのハートフルストーリーを邪魔するのは心が痛むが、ウチの嫁さんがご立腹なので失礼しますよ?
「クアイスさん。お風呂場を借りてもいいですか?」
「…。」
「クアイスさん?」
クアイスさんが目で訴える。アディを引き剥がしてくれと。喋ったら口から出ちまうと俺に訴えかける。
「アディ?そろそろ離れようか?ほらクアイスさんも満足だって。」
「僕は満足してないよ?今までの分を今甘えたいんだ。」
分かるよー。でもね?アディの強い力で抱きしめてたら、アディがクアイスさんのことを嫌いになることが起きるんだよ?
「後で存分に甘えたら良いさ。だから今はクアイスさんを離そうな?」
「兄さんはイジワルだ!僕はもう父様に要らないって言われたくないんだ!」
そう言ってアディは更にギュッと力を込める。
「アディ!そんなに強く…」
そう言いかけたが既に手遅れだった。凄く幸せそうな笑顔で抱きついているアディの頭にクアイスさんの口から内容物が溢れ落ちた。
あーあ。終わったな。
アディは絶叫してクアイスさんを張り倒した。自分のせいだからな?なんなら俺も離れろって言ったし。
父親に頭から内容物をかけられて未だに泣き叫んでいるアディ、妹の内容物を全身にかけられ続けて涙目のエナ、うつ伏せになって顔に袋を被せられているレタ、娘にトドメを刺されて白目を向いて倒れているクアイスさん。もう色々とパニックだった。
これ誰がどうすれば良かったの?
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結局あの場はアスパラさんの攻撃から回復した使用人の人達に、アディが泣きながら事情を説明をして片付けて貰った。
俺は臭くなったエナと顔に革袋を被ったままのレタを引き連れて、使用人の人から聞いていたお風呂場に連れて行った。
「ほら風呂場に着いたぞ?俺は部屋で休んでるから。」
そう言い残して俺は風呂場から立ち去ろうとするが、右手を引っ張られて立ち止まる。
「…待って。」
「?。どうしたの?一緒に入る?」
冗談のつもりで言った一言だったが、エナは首を縦に振っていた。え?マジで?
「え?お兄ちゃんも一緒に入るの?」
革袋を被ったまま驚いたように俺の方を見上げる。エナが一緒に風呂に入りたいって言うなんて俺もビックリだよ。
「…レタが臭いからご主人様が洗って。」
「おねぇちゃん酷い。」
エナがレタの身体を洗いたくないなら仕方がない。仕方ないよね?
俺にレタを丸投げにしたエナは服を脱いでタオルを身体に巻こうとして俺の視線に気付いた。
「なんでコッチを向いてるの!」
俺はエナに思いっきり蹴られてフィギュアスケート顔負けのトリプルアクセルを空中で披露して地面に衝突した。
ですよねー!てっきり一緒にお風呂入るのオーケーなら、色々オーケーだと思ってました!
俺を蹴り飛ばした後タオルを巻いた(音で判断した)エナは先に浴室へと消えていった。
「お兄ちゃん。前が見えないからレタの服を脱がせて?」
「頭の革袋取ったら?」
「んぅっ、んっっ!塩対応!」
えっ?なんでこの子興奮してるの?革袋を被ってモジモジしたままコッチ来ないでぇ!
「もっとレタを乱暴に扱って良いんだよ?お兄ちゃん?」
何を言ってるんだい?レタは変態だけどそんな子じゃ無かったでしょ?
「あのねお兄ちゃん。さっきアディくんを庇った時に、お兄ちゃんに強い言葉で怒られてから鎖で縛られたのが今までで一番興奮したの。だからお兄ちゃん。責任とって?」
え?俺のせいなの?レタに怒ってそれでも退かないから鎖で縛って転がしただけだよ?あれ?相当ヤバいな…。
「レタはお兄ちゃんに乱暴されたいもっとイジメて欲しい。」
顔を赤くしながらレタは俺に抱きつきお願いしてくる。でも前にも同じようなこと言ってたしいつも通りか。
「分かったから臭い身体で抱きつかないで?」
匂いが強いレタを引き剥がす。
「お兄ちゃんの言葉のトゲが強い。んッ!」
「ほら。お風呂に入るよ。」
レタの頭に被っている革袋と服を脱がせて浴室に連れて行く。風呂場はかなり広めに作ってあり風呂場というより大浴場といった感じだろうが、湯煙が多すぎてほとんど何も見えなかった。
うわぁ。湯煙が凄くてなにも見えないや。でもエナが怒らないから好都合なのかな?
浴室に入るなり早速レタの身体をお湯で流し石鹸を使って綺麗にした。
小さい子の身体洗ってもお父さんになった気分にしかならないかなと思っていたが、レタが出会った頃より色々成長していて少し焦った。
「お兄ちゃんの手が、んぅッっ、気持ちいい。」
「レタ?変なこと言うのはやめような?お兄ちゃんが乱暴なお姉ちゃんにボコボコにされてしまうよ?」
「分かった。」
そもそもレタって一人で風呂入れるよな?あれ?なんで俺がレタの身体を洗ってるんだ?
「洗い終わったから浴槽に浸かっておいで。」
「お兄ちゃんは?」
「俺は服を着てるし。そもそも浴槽に浸かったらエナに蹴られるからもう出てくよ。」
「ありがとねお兄ちゃん!」
レタはそう言って湯煙の向こうに消えて行った。さて俺もエナから頼まれたノルマは終わったから風呂場から出るとしますか。
お風呂シーン!ずっと書きたかったんです!でも難しい!
もう少し浩二の美味しいシーンが続く予定です。今後のキャラの位置付けに必要なので(本当は書きたいだけ。)もう少しお付き合いください。




