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32.やっぱりシーフなんだよなぁ。

翌朝エナ達と宿の食堂でご飯を食べつつ今後の方針についての話をしていた。


「昨日アディにこれまでの経緯と七宝を探していることを話したんだけど、そしたら七宝の噂をアディの故郷で聞いたことがあるらしい。でしょ?」


「兄さんの言う通りだ。僕の国でそんな噂をしていた人が城下町にいたんだ。」


「アディ君の故郷にねぇ。昔はそんな噂なんて聞いたことなかったけど…、それってどんな噂なの?」


「すまないエナ姉さん。詳しいことを噂している人に聞いた訳じゃ無いから知らないんだ…。」


「じゃあこれからアディくんの国に行くの?お兄ちゃん?」


その会話の内容をまとめて方針を聞くようにレタが俺に問う。


「そうだね。何も手掛かりが無いからね、七宝に関する噂があるところに行くのが効率的かなぁって。」


「アディくんの家に行くの久しぶりだね。おねぇちゃんも楽しみだよね?」


「そうね。ヴァルディ家が安定しなくなる3年前から行ってなかったからね。おじさん達元気かなぁ。」


みんな朝食を食べ終えたので早速出発しようと俺は席を立つ。


「じゃあ早速出発しますか!」




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




アディの故郷はどうやらヴァルディ領から大体2週間くらい歩けば着くような距離らしい。


「今までずっと歩いて移動してきたけど別に歩きである必要もないよね?」


「そうね。馬がいればもうちょっと楽に移動できるわ。というか今までなんでそうしなかったの?」


失念しておりました。でも健康には良いんじゃない?


「レタも居るし今回は長旅になりそうだから馬車でも買うか。そうなるとどのくらいの大きさのやつを買うかだよなぁ。」


人数の確認と荷物を確認するためにみんなの手荷物を見る。エナとレタは俺がいるから手ぶらだけど、アディは多少の荷物を持っていた。


「僕は自分の家の馬車でここまで来たから問題ないよ。なんなら兄さん達も乗って行くかい?」


「マジで!?アディ大好きだぜ!お礼にチュウしてあげる!」


「なんでそうなるんだ!か、顔を近づけないでくれ!」


「遠慮すんなって。ほら目を閉じてればすぐ済むから。」


逃げようとするアディを捕まえて手で顔を俺の方に固定するし、唇を突き出しアディに迫る。


「いや!兄さんやめて下さい!」


アディの静止を聞かずに顔を近づける。ちゅっ、俺の唇が硬い何かに触れる。


アディの唇は硬いんだなぁ。でもこれはどっちかって言うと無機物……ってかこれ靴だねぇ!


俺はエナの靴とキスをして後ろに吹っ飛んだ。


「お嫁さんの前で他の女の子にキスしようとするなんて良い度胸じゃない?」


「少しからかっただけだろ!なんで蹴るんだよお嫁さん一号!王様なんだからお嫁さん二号や三号がいてもいいだろ!」


その言葉を聞いたエナの膝蹴りが俺の鳩尾に突き刺さる。


成長したんだね?俺が見たエナの動きの中で一番早い攻撃だったよ?


気絶した俺はエナに服の襟を掴まれて引き摺られ、アディの馬車に乱暴に投げ込まれた。人はおもちゃじゃないんだぞ!




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




俺はエナに蹴られ慣れたのか、みんながアディの荷物を荷台に積み込んで馬車に乗り込んでくる頃には既に回復していた。


俺たちは馬車に揺られアディの故郷に向かう。


「アディの国ってどんなところなんだ?」


「僕の国は傭兵を多く排出しているどちらかと言えば武闘派な国で、今の王様も武勲を上げて国民から支持されて王になった人の末裔だよ。勿論今の王様のクルセイズ・グローレスも相当強いしね。」


「挨拶しといた方がいいかな?」


「兄さんってヴァルディの王様なんだよね?ヴァルディ家の人と結構親交がある国だよ?だから僕もレタちゃん達と知り合いなんだよ。」


「あんまり気のりしないなぁ。いきなり殴られたりしないよね?」


「そんなことしないと思うよ?多分…」


多分なのかよ…。まぁでも七宝の噂を聞きに行くついでに新しい王になりましたって報告しないとな。


「武闘派の国で思い出したけどアディって人種なのに身体能力が高いよな?」


「アディ君の冒険者カード見せてくれない?」


エナに見せてと言われてアディはポケットから冒険者カードをエナに渡す。


「どうぞエナ姉さん。」


戦った時に騎士とか言ってたし、聖騎士とかいうジョブがあるならアディに似合っているなぁ。


と思いながらアディの冒険者カードを俺も覗き見しようとエナの手元を覗き込む。


そこには、


アマンディーナ・ブラスプ

種族 : 人

性別 : 女

ジョブ : シーフ

等級 : ゴールド


と書かれていた。


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