かわいそうな
この話はシリアスは多分ないですなぁ
ぐきゅるるるるぅぅ…
カルラ王女、嫁いで二ヶ月…早くも死にかけています。
「お腹…すいた……」
『カルラ、大丈夫?』
お昼からだらしなく、というかお腹が空きすぎて動けなくなった私に心配そうに白いリッチョのクォーツが鼻をひくつかせる。
「大丈夫かと聞かれたら大丈夫ではない。確実に、かなり死にかかってると思うよ」
まだこんなツッコミが入れられるだけ余裕があるのだろうか?
とりあえず、状況を整理するために残り少ない紙に文字に起こしてみよう。
その1 国王(父)が森の民との誓約を破って精霊の泉に立ち入って母親に無理やりファイト1発する。
その2 ファイト1発の結果、1発で私身篭る
その3 母が巫女から降ろされついでに当時子供を持っていなかった国王(父)が無理やり母を城に連れ去る。
その4 まさかの同じ日に正妻子供発覚&そのまま出産
その5 母娘共々毒やら嫌がらせやらされる
その5 妹の恋愛結婚に結納金を増やすために無理やり妹とともに大国に嫁がされる。
その6 そこの王子様にいらない宣言された挙句誰もいない後宮に放置←イマココ
この誰もいないってのがミソだよね。
文字通り誰もいない。使用人も、料理人もだれも。
はじめは良かった。私だって自炊くらいは出来た(自国でもあまりいい食事をさせてもらえなかったから出来ないとご飯食べれなかった)から。
材料というのは痛みやすく、無くなっても補充が出来ないもので。
この国の法律にこんなものがある。
【後宮に迎えられた妃は許可なくして前の宮に出てはならぬ。これに例外は認めず。】
実際にこの法律のせいで何代か前に後宮で火事になった時に焼け死んだ人が3分の一、緊急事態に外に出たせいで首を切られた人が3分の一、手酷い火傷を受けて使えなくなった姫が3分の一というひどい有様になったこともあるそうな。
誰だこんなくだらない法律作ったやつ。
『だからぼくは言っただろう?一緒ににげようって』
『でも逃げたらカルラの国が危ないしらしいし、帰るところなんてないのよ?』
『でもここにいても死んじゃうよ?森の民は自然に触れないと死んじゃうんだから。』
「二ヶ月もお外にも出てないもんね…」
くりゅるるるるる…
お腹の音すら弱々しくなっていく…
薄れ行く意識の中で、泣き叫ぶ2匹のリッチョの声を聞きながら私はふと紙に書いた事について思い返した。
うん、ずっと心の中に押さえていたけど…これ全部、私悪くなくない?
もふもふは諦めていませんぞ?(ΦωΦ)フフフ…
リッチョ=ハリネズミのような生き物。危険があったり乱暴に扱われると背後のふわふわな毛がトゲに変わる。基本的には懐きやすい