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龍神は異世界で目覚める。そして、人間は平和のために立ち上がる。  作者: なるかわ あみ
中央都とコカリリコ

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8/9

コカリリコの食べ方

『ママは、大丈夫かな?』

『安心しろ、お前のお母さんは必ず助かる』



 じいちゃんは、心配するシンカを最大限慰めようとしていた。

 


『俺も悪かった。魚屋なのに、あの魚に毒があることを知らなかった』


 『くそっ!』と、悔しそうに壁を殴る。

 

 母がコカリリコの肉を食べ、ベットから倒れてすぐに、病院に運び、適切な処置をしたことで一命はとりとめた。しかし、母の身体には消えない傷が残ってしまった。

 

 病室の外から、眠っている母の姿を見る2人。 

 

・・・


『先生のおかげで、娘は助かりました。ありがとうございます』

『私は適切な処置しかしておりません。コカリリコは処置をすれば死ぬことはありませんが、皮膚に触れた瞬間、即時性の毒が全身を巡り、全身はしびれて動けなくなるのですが・・・』


 先生の言葉に、背中が濡れる。


『娘は、看護の道に進むために、回復系の魔法を極めました』

『口の中に入れてすぐに毒が回ることを理解していたのかもしれませんね。もしかすると、皮膚に触れた瞬間に、解毒の魔法を発動させながら、全身に回るのを遅らせていたのかもしれませんね』


 長い診察を終え、『ありがとうございました』と先生に伝えて、診察室から外に出る。

 じいちゃんの手を握りながら自宅に帰宅中、シンカの頭は命を取り留めた母のことでいっぱいだった。


 以外にも、母は1週間で自宅に退院できた。

 先生曰く、日常生活に復帰できるぐらい、毒が薄くなったかららしい。それでも、動くだけで全身にかみなりが通るようにしびれるらしく、長時間の立ち仕事などはしばらくは無理しない方がいいそうだ。


『ごめんね、ママ』


 シンカは、瞳から涙を流しながら、無事に帰ってきたママに抱き着く。手や足など、全身冷たい。しかし、暖かい温もりを今まで以上に感じた。


『シンカが作ってくれたスープはおいしかったわ。入院してるときも、あのスープを飲みたいと思ったのよ』

『で、でも、また・・・』

『ママはね、実はあの白身に毒があるってわかってたの』


 『毒があるって、わかっていて食べたの?』とシンカは、瞳を大きく開いて聞く。

 

『昔医療系の道に進むために回復系の魔法を極めて、食べる前に毒の鑑定ベノム・マスターていうね、魔法を使って、毒について調べてみたの』


 『そしたらね』と、母は語る。


・・・


 白身を食べる時、違和感を感じた。


『これは普通の白身じゃない』


 毒の鑑定ーーーベノム・マスター 

 回復系解毒術に分類される、毒の強さと反応を調べる魔法で白身を調べる。

 毒の強さの最大をデッドレベル5(即死)と呼び、白身は一歩手前のデッドレベル4(呼吸不全後、死亡)だった。

 愛する息子が丹精込めて作った料理を食べたいと思うのは、母として不思議なことではない。

 

 毒の浄化ーーーベノム・アクア

 毒の強さのレベルを1下げる魔法を全身に流しながら、白身を口に入れる。『ビリッ』と一瞬で、手足がしびれ始める。魔法をさらに強く流しながら、すべてのコカリリコの白身をお腹の中に入れる。

 魔法を使って毒を薄くしているとはいえ、すぐに体は動かなくなった。

 『ゴツゥ』と、体を地面にぶつけ、意識をなくする。

 次に目を覚ましたのは、病院のベッドの上だった。


・・・


『って、わけなの』

『どうして、ママはそれを教えてくれなかったのは? 教えてくれれば、違うのを作ったのに』

 

 

 シンカの身体を力いっぱい抱きしめ柄、ゆっくりと答える。



『大事な息子が作ってくれた料理だから、どうにかして食べてみたかったのよ。それとね・・・』

『う、うん』

『食べてみてわかったんだけど、あの白身は絶対に食べれないものではないわ。量や加熱方法を工夫すれば、必ずだれでもおいしく食べれるようになるわ。だからね、シンカにお願いがあるの』


 次の日の朝、シンカは再びコカリリコを釣り上げた。



『毒を分解した感じ、コカリリコは内臓と頭と卵に毒があるから、まずは塩を振って水分を抜くわよ』



 お腹を切り裂いて内臓と卵を取り刺し、塩を振りかけて水を抜く。

 ベッドの上で教えてくれる母の言葉を信じながら、集中して調理する。



『そしたら、最後に沸騰した水に身を入れて10分煮込んだら完成よ』

『ありがとうママ。でも、これを食べたらまた・・・』


 

 心配そうな表情で、ママを見つめる。



『大丈夫よ。ママとシンカの合同料理なんだから、安全に食べれるわ』


 

 鍋の中から大量の煙が飛び出る。煮込まれた証拠だ。 

 ゆっくりと茶碗に移すと、コカリリコのうまみが濃縮された煙が鼻を刺激する。

 『いただきます』と、両手を合わせる。

 

 白身の中まで火が通ったことで、口に入れ噛む前に溶けてなくなる。



『デッドライン2ね。 この料理を食べれるのは、ママとシンカの2人だけ』

『うん! 僕、本格的に料理人になって、このおいしい料理をみんなが食べるように頑張る!』

『おー! よく言ったね。それじゃ、ママもシンカのこと応援しようかな』



 久しぶりに、家庭から楽しそうな声が響く。

 まだまだ始まったばかりだが、シンカは必ず実現させると、心に誓った。

 

『じいちゃん、今日もおいしいコカリリコ売ってる?』

『当たり前だ! 早く、じいちゃんにもシンカの作ったスープを食べさせてくれよな』

『わかってるよ。それまで、絶対に死なないでね!』


 

 笑顔で去る孫の姿に、過去の自分の姿と重ねる。



『シンカよ、お前にはこれから大変なことがおこるかもれしない。でも、お前なら必ずクリアできると信じておる。水の都に生まれたお前に与えられた試練を頑張ってくれ』


 

 シンカが料理を始めて3年、コカリリコのスープが完成した。

 『うまい』と、好評な評価を受けたことで、安定した収益を得られるようになったある日、一通の手紙が届く。


 先に手紙を上げた母は、その場で崩れた。

 『大丈夫!』と、心配して近寄ったシンカもその手紙の内容を見て、驚きを隠せなかった。


次回 父親の死と旅での時。



 



 


最後まで読んでいただきありがとうございました!


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