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龍神は異世界で目覚める。そして、人間は平和のために立ち上がる。  作者: なるかわ あみ
中央都とコカリリコ

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7/9

その魚は毒魚と母親の料理

 偶然コカリリコを知らずに釣ってしまった少年達がいた。

 両親の喧嘩が絶えない少年は、手作りの釣り竿を持って、近所の海へと出かける。


 少年、シンカの口からため息が漏れる。

 太陽の日差しが照らす気温の高い日、海から吹く冷たい潮風がなければ、暑さで倒れそうな日だ。

 

 釣り竿というにはあまりにもぼろすぎる。落ちていた木の先端に白色の糸を結び、糸の先にはクリップを広げて作った手製の釣り針をぶら下げただけの釣り竿。

 当然、えさをつけなければ魚は食いつかない。少ないお小遣いで、購入した魚の白身を丸めたものを釣り針に着け、『ぽちゃ』と音を立てながら水面に入れる。


 水面に浮かぶ餌に食いつく魚は、数時間経過しても現れない。

 時間が経過し、お腹がすく。だが、今日のご飯は一向に釣れる気配はない。



『はぁ~』



 少年、シンカの口からため息が漏れる。

 


『シンカ、隣に座ってもいいかな?』

『うん』


 

 聞きなれた声がシンカが読んだ。そして、明日の方角を見ている彼の隣へと座る。

 白髪で、ほうれい線が目立つ初老の男性。


『なんのよう? じじちゃん』

『シンカ、お前ももういい年だろう。バカなことやってないで、やるならやるで、覚悟を決めたらどうなんだ。 なんとなくでやっていいのは、何かを始める時だけだ。うまくなりたいならきちんとしたところで、学んだ方が身のためだぞ?』



 『わかってるよ』と、小声でつぶやく。

 


 シンカの夢は料理人になること。

 生まれ育った中央都には全領土の魚が集まり、調理する人の技量で同じ魚でも触感や味は変わる。

多くの魚料理を食べてきた彼のおいしい魚料理ランキング1位は母が作る魚料理だ。素人が作った魚料理の味は、誰にもまねできない。


『じいちゃんも、わかるぜ。娘の料理の味は、お前ほど食べたわけじゃないが、これまで食べてきた料理のランキングを一瞬で覆した』

『だよね』

『そうだ。長年料理をしているバァバでもまねできないだろう。』



 『なんでかわかるか?』と、シンカに質問する。



『わからないよ。でも、俺は絶対にあの味を作れるようになりたい』

『どうしてお前はそこまで、あの料理に固執するんだ?』


 『あれはね、』と、シンカは答える。


 

 シンカがまだ幼く、初めて39度近くの熱を出したある日。

 

『シンカ、起きれそう?』

『うん、ママ』


 母親に背中を抑えてもらいながら、ゆっくりと体を上げる。

 

『今日はね、コカなんとかって動物の肉を使った味噌汁を作ってみたの。具材は、芯まで熱が入っていて柔らかくて、噛みやすいように、少しつぶしてあるから食べてみない?』

『ちょ、ちょっとだけだべる』


 スプーンで少量の具材とスープを救い、ゆっくりとシンカの口の中へ入れる。

 人参やダイコンなどがしっかり熱が入っていて食べやすい。動物のお肉も口に入れ瞬間に本来のうまみが口の中に広がる。

 

『こら、ゆっくりたべなさい』と、急いで食べようとするシンカを見て笑いながら言う。



『すごく食べやすかった! また作って、ママ!』



 食べ終わったシンカが笑顔で言う。たった一人の息子の姿を見て、母は目元から一滴の涙を流した。

 それを食べたその日から、1か月に2~3回の頻度で母にお願いし、鍋が空っぽになるまでスープを食べほした。


『って、分けでさ。もう5年ぐらい食べてるけど、飽きるどころかますます食べたくなるんだ』

『確かに、あのスープはここじゃ手に入らない調味料が入ってるから、うまいよな』

『うん!』


 と、笑顔で答えたシンカ。の心の中で、『手に入らないって何だろう?』と疑問がわく。

 

 太陽の光が半分、水平線に隠れた。その時、浮かんでいた餌が水中に沈み、釣り竿に餌を持っていこうとする魚の感覚が伝わる。


『おぅ! これは、大物だぞ! しっかりつかまれ!』


 釣り竿が壊れそうな力で、魚は餌を引っ張る。負けじと、シンカとじいちゃんの二人は、釣り竿を持ち、沖の方に引っ張る。

 数分の決闘のあと、その魚は水面に姿を現す。

 

 大きくとがった背びれに、鋭い歯。噛まれたら簡単に指を持っていかれそうだ。


『これは、コカリリコじゃねーか』


 水面に現れた魚は、コカリリコというらしい。


『この魚は、珍しい魚でな、なかなか釣れないことで有名なんだ』


 『そ、そうなの!』と、シンカは目を輝かせながら答える。


『あぁ、うまいのかはわからないが、勝ちにしたら家一つ買えるぐらいだぞ』


 わくわくが止まらないシンカ。


『じ、じいちゃん! 僕この魚をつって、お母さんに食べもらいたい!』


 『任せとけ!』と言わんばかりに、じいちゃんはさらに力強く釣り竿を握る。

 コカリリコは、水面から体を出し、地上に体をたたきつける。

 『ピチピチピチ』と、地上ではねる。


『やったな、シンカ』

『うん!』

『噛まれたら一瞬で食いちぎられるから、気をつけろよ』

『わ、わかった!』


 尻尾の近くを注意深く握り、その場を離れる。


 家に帰った後、まな板の上にコカリリコを乗せる。

 包丁で、やすりのようにざらついたうろこを取る。そして、肛門から包丁の先を入れて、頭の方へ。切った腹部の隙間から内臓と卵を取り刺し、血合いを取り除く。

 温められた鍋の中には、味噌と塩と調味料を入れる。水が沸騰したタイミングで、頭を除く部位を入れて、身が白くなるまで煮込む。


 コカリリコは、毒を生成する内臓器官をもつ小魚である。内臓を取ったところで、身にも毒が染みついているから取り除くことはできない。

 

 箸で簡単に崩壊するぐらいまで身を煮込んだ後、母用のお椀にスープを注ぐ。

 

『はい! 僕の初めての料理だよ』

 

 

 『いいねぇ』と、母は嬉しそうに言い、お椀の端に口をつけ、スープから飲む。その後、少量の身を食べる。


『お、おいしいね! シンカ、さすが私たちの息子だよ!』


 シンカは目から一滴の涙を流した。


『いつも、シンカは私が作ったスープ全部食べちゃうから、今日は、私が全部食べようかな!』


 大量のスープを飲み干した母の姿を見て、シンカは『よかった』と本音を漏らす。


『ありがとうママ! 料理は洗い物を終わらせてからでしょ、洗い物も任せて、ゆっくり休んでよ!』

『ありがとね、シンカ』


 ベッドに座る母の姿を見たシンカは、ほほ笑みながら洗い物を始める。

 それはすぐだった。すべての食器に洗剤をつけ、洗い流そうとした瞬間、



『ママッ!!!』


最後まで読んでいただきありがとうございます!


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