龍神と七龍ナナの目覚め ④
『ポタ、ポタ、』
石畳と石畳の間の溝を、腹部から流れた生暖かい赤い液体が染める。
貫かれた痛みは感じない。それよりも、臓器に空気が触れるたび、睾丸を蹴られたときと同じ痛みが全身を駆け巡る。
クチバシが深くまで貫く。裂けた皮膚の隙間から血が滝のように流れ続ける。
青ざめた手から触感が消える。
徐々に身体が言うことを聞かなくなる。
まだ、龍玉を見つけられていないのに と、後悔するミナトは思う。
石畳を触っている感触はない。
呼吸が速くなる。
まるで、ガソリン切れの車のようだ。
血液を失った身体では、身体は動かせない。
最後の悪あがきで、ミナトの身体を支えていた両手足は一瞬で崩れた。
若干、灰色かかる石畳を、腹部から流れた血で赤く染めた。
鋭い歯で動かないミナトの左腕にかじりつく。離れようとしない筋肉繊維を断ち切り、感謝の気持ちを込めながらしっかりと咀嚼する。引き締まった上腕の筋肉をかみ砕くのは時間がかかりそうだ。
骨は、鋭い歯で削って食べる。
頭部以外を食べたころ、胃袋いっぱいにミナトの残骸を入れたコカトリコは少しの休息にはいる。
静寂な神殿内に野生のいびきが響く。
『コケッ!』
寝静まった2人を起こしたのは、急に発光したクリスタルの光だった。
クリスタルの光は一点に集まり、ミナトの頭部を囲う。
約1秒よりも早い速度で、死んだ細胞が光を吸収する。細胞が光を取り込んだ時、再び細胞が働き、体細胞分裂を繰り返し、失った臓器を構成する。
ミナトは、うっすらと目を開ける。
大きく開いた口と目で驚いた表情をしているコカトリコに驚いた表情をした。
活性化した細胞は、強力な力を与える。
コカトリコは蘇えったミナトを再度、標的を定める。右後ろ脚を後方に下げ、左足を前に出して重心を乗せる。クラウチングスタートに似た構えで、間合いを詰める。
クチバシの先端が空気中に存在する空気の膜を破り、『パチンッ』と音を鳴らす。
神殿内に粉塵が舞う。薄っすらと見える二人の陰は、ミナトの身体を再びコカトリコのくちばしが貫いているように見える。
再び神殿内に流れる赤い液体。
粉塵が消えたその時、コカトリコの身体をミナトの拳が貫く。
糸の切れた操り人形のように、その場に倒れるコカトリコ。
再び目を覚ました自分自身に驚くミナト。その背後のクリスタルから、何者かが叫ぶ。
『ミナト・ミミト。俺をこのようによみがえらせた人間』
クリスタルの中から目を覚ました怪物の方を振り浮いた。
それと同じ時間、爆発音とともに、上空から神殿へ1人の人間が落ちてくる。
クリスタルから目覚めた何もと同じ種族のようだが、外見は17~18歳ぐらいの男性のように見える。ミナトと何者かを見たのち、何者かが叫ぶ。
『復活していたのか! 七龍ナナ!!!』
最後まで読んでいただきありがとうございました。
面白いと思った評価をお願いたします。




