龍神と七龍ナナの目覚め 3
手から頭に微弱の電流が流れる。
コカトリコの骨は固く、強固なハンマーの攻撃も通さなかった。ハンマーをたたいた衝撃で、ミナト自身が数秒動けなくなる。
数秒の間、コカトリコは不思議そうな表情でミナトを見ていた。
まるで、『どうしてこの男は動かないんだろう?』と、言わんばかりの表情だ。
ミナトがもう少しで体を動かせると思った時、コカトリコは再び攻撃をしようとしている。
右足を後ろに下げ、前に出した左足に重心を乗せ、前傾姿勢になる。
ミナトが防御が姿勢をとった時には遅く、速いスピードでぶつかる。鈍い金属音が響き、ミナトを後方にある山まで吹っ飛ばす。
コカトリコは、ミナトの反撃を許さない。
反撃の隙を与える前に、何度もぶつかり、吹っ飛ばす。
吹っ飛ばされた反動で山の斜面の岩が割れ、人為的な洞窟のようなものができ始める。
入口から10m、いや、25mほどの長さの洞窟ができた。
一切の猶予を許さないコカトリコ。深々と掘った洞窟をさらに深く掘ろうとしているのか、徐々に早く早く、体を動かす。そして、ミナトを吹き飛ばす。
ミナトにコカトリコがぶつかる音、吹き飛ばされた山の斜面に激突する音。その音をナガリコ村の住民は火山が爆発する寸前と思った。
火山が爆発する音は、止まらない。
それがおこったのは、ミナトを吹き飛ばして作った洞窟が30mの長さになった時だった。
徐々に、移動速度が遅くなり、うっすらとコカトリコの姿が認識でき始める。
洞窟の中まで太陽の中に通らない。
ミナトにぶつかる数m手前で、コカトリコは『バタリッ』と床に倒れる。
『危なかった』
全身から血を流しているミナトは、コカトリコが深々と掘ってくれた洞窟に感謝をする。
洞窟の入り口と逆。さっきまで、自身の背中をつけていた石の壁をノミとハンマーを使って掘ってゆく。
洞窟の入り口から31m先の影を割った時だった。削った先から小さな穴を通じて、真っ暗だった洞窟の中を照らす。
興奮するミナトは、疲れていたことを忘れ、無我夢中で石の壁を削り始める。
190㎝を超える大男がしゃがんでやっと通れるサイズの穴を作る。
くぐった先の部屋。大量のたいまつの光が反射する部屋。
側面に書かれたたくさんの動物の絵。動物の骨で書いたのか、1点を除き部屋のありとあらゆる場所に無造作に散らばっている。
ミナトの目に、クリスタルの中に封印さえた人間の姿が映る。
人間のような姿をしているが、両耳が鋭い。
やわらかい皮膚ではなく、龍のうろこみたい。
人間の尾骨の位置から踵まで伸びた尻尾。
正体不明な生物に、ミナトは興味を占める。
上下左右、可能な限り見える方向かその生物を見つめる。
『こんこん』と、クリスタルをノックしてみるが反応ない。
ノミで削ってみようとしたが、何重にも重なっているのにも関わらず、一切削れそうな気配はない。
それでも、何十回何百回と削るのに夢中になっていて、背後の警戒を忘れた瞬間。
『ザクッ』と、鋭いクチバシがミナトの身体を貫いた。
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