日清戦争 -73 大沽砲台
田中(兄)が海軍兵学校に送られる少し前。
『松島』 1894年 10月24日
「水雷艇に水深を調査させろ!!同時に…停泊中の輸送船も沈めろ。」
日本艦隊は清国の投入可能外洋航行可能艦をすべてつぶした。通商破壊も外交的につぶした。制海権はわが物だ。
だからこそ日本艦隊は揚陸作戦をする。揚陸先は旅順攻略のために 遼東半島南岸だ。
このために日本は情報を操作している。北京を狙うための船団を出港したなどと噂を流していた。それを現実的に思わせることで遼東半島攻略を支援する。そのために大沽砲台を砲撃する。
投入した船は
本隊
『松島』『厳島』『橋立』『比叡』『金剛』『扶桑』
第1遊撃隊
『吉野』『高千穂』『秋津洲』『浪速』『和泉』『千代田』
第2遊撃隊
『筑紫』『天龍』『葛城』『武蔵』『大和』『高雄』
水雷艇 戦隊4隻 4個 16隻
鹵獲艦『鎮遠』
計35隻の大艦隊だった。
「接近厳しいですね。水深が結構浅い。」
水雷艇は砲撃の中でも横一直線の隊列を守り走る。水深を図るために。あらかじめ決められた通り旗の色が変わってゆく。旗の色で後ろの本体は大体の水深を把握する。
「9号!!被弾」
このような戦列歩兵のような突撃では被弾・撃沈艦が出るのは当然だ。しかし主力艦が損失するよりはましだ。
限界と思われる水深まで来ると、水雷艇は引き返す。置き土産の魚雷を置いて。これである程度の水深が分かった。
「22号・9号損失…8号…航行不能。」
「主力を前進させる。8号と沈没艦の乗員救助急げ。」
主力艦は前進する。だが砲台も黙っていない。砲火が艦隊に集中する。
「『鎮遠』に攻撃が集中します。」
特に攻撃を吸収しているのが「鎮遠」。艦首方向に砲撃を集中させる性質上、舷側を向けて航行しながらの砲撃が困難。艦首を砲台に向けての停船状態で砲撃している。最も標的になりやすい。
「『鎮遠』損害拡大。」
定遠級は固いが、陸上砲台からの砲撃が集中すれば危険だ。危険を承知で投入しているが、損失はさせたくない。修理で済むうちに撤退するが吉
「陽動だからほどほどでいい。撤退するぞ。」
この号令とともにすべての艦が射程から離れる行動を始める。日本艦隊は初の敗北…というが、わざと負ける戦を仕掛けたのだ。損失艦は…水雷艇2隻。これでは喜べない。だが、砲台の方角からは歓声のような空気が流れている。
「あちらは皇帝一家には大勝利と報告するんだろうか。陽動の可能性ありと報告するのだろうか。まあ、上の方に行くまでには抜け落ちるか。」
現場と実態…上層部の認識…それすべてが違う。意図的な行動。これこそ過ちを生む根幹なのだ。




