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日清戦争 -59 食料船団

後れましたすんません。

 呉工廠

「急げ!!朝鮮半島の友軍が待っているぞ!!」

 呉工廠では目の前に浮かんでいる艦に色を塗る作業が急速に進められている。旧式の大砲と取り外す工事も。

「作業員が足りません!!急すぎます!!」

「水線付近だけでいい。あとは航行しながら作業する!!」

 とりあえず急いでしないといけない範囲だけでも作業する。急速な用意は何を生むか。意外な結果を今は誰も知らない。


 広島 宇治港

 広島港を出る小型の蒸気船。しかし、それは歓声の中にある。

「助けて来いよ!!」

 桟橋にはカメラを持っている人間もいる。新聞記者だ。まあ、この時代は写真をもとにした絵が新聞に載ることになるのだが。

 蒸気船の後ろには帆をたたんだ和船が曳航されている。

「冬近いのに…和船を曳航するなんて無茶だ…」

 朝鮮半島への食糧輸送を請け負ったが、曳航されることを拒否した和船の乗員がつぶやく。

 荒天が洋上で続けば…最悪曳航索が切れる。その曳航索は人員を殺傷するに十分な威力がある。最悪和船側の船体に甚大な損傷が発生する可能性がある。和船は木造なのだ。

「現地が食料を求めている。それだけの事。我々も早く出航するぞ。」


 改造病院艦 『操向』 黄海南部

 白く塗られた船体そこには赤十字がある。

「曳航されている船に注意しろよ!!」

 病院船それは戦争において攻撃してはならない船である。しかし、それにはいくつかの条件がある。代表例が病人の搭乗である。ただし、現状は病室には患者はおらず、患者用の寝床ですら現地で組み立てられるように片付けられている。そのスペースには大量の食糧が詰め込まれている。

「病院船でも食料を輸送すれば攻撃の対象になるのではないですか?」

 女性が尋ねる。看護婦だ。

「戦地で問題になっている脚気の治療法は雑穀を食うことだ。今、輸送しているのは薬品だ。問題ない。」

 安心させるように艦長は言う。

「しかし、何も知らぬひとが見れば食料です。」

 おびえている若い女性。その後ろから現代でいえば中年、恰幅のいい女性が来る。

「海軍さんにはあれが医薬品に見える事情があるのでしょう。」

若い従軍看護婦の肩に手を当てて安心させるように諭す。

「そうだよ。船乗りなら壊血病という病気と知らない人間はいないよ。壊血病の原因は根本的には脚気と同じなんだよ。『日本人はアホで陸上にいながら壊血病と類似病にかかかるんだ』と説明してやれないいのだよ。」

 ほっとした様子をする。若い看護婦

「それに食料とみなしても病院船を撃沈することはいけないことだからね。列強が黙っていないよ。多分捕まるだけ。戦争が終わったら帰れるよ。」

 さらに安心した表情をして礼を言って若い看護婦は立ち去る。だが恰幅のいい女性は立ち去らずに前に出る。

「それを利用して臨検させてほかの船を逃がすなんてある意味ひどい手ですが。」

 周りの海を見る。そこにはほかにも和船を曳く船が複数いる。その数は10隻近い。

「軍人として…民間人の盾になるのは喜ばしいことだ。それが責務だ。」

 艦長は誰も聞いていないことを核に弑してから話す。拿捕される可能性がある作戦ではみな怖がってしまう…

「生きて帰れるのならいいのです。全員でね。」

 彼女はそう言ってその場を後にすることになる。



 清国通商破壊艦隊 旗艦『済遠』

(まだこの当時は通商破壊艦隊と日本艦隊との交戦がされておらず、通商破壊に赴いていた)

「遅いですね。砲艦。置いてゆきたいのですが。」

「上層部の命令だ。仕方あるまい。それに使い道はあるからな。(殿・捨て駒という)」

 方伯謙は黄海で主力は巡洋艦(史実よりも悲惨な状況)2隻を残し壊滅した北洋艦隊でできる任務としてできうる通商破壊を実施すべく、上奏した。その上奏は認められて通商破壊できたが、何を狂ったか足の遅い船をも全力で使えとのお達しだった。足手まといを承知に連れてくるしかなかった。

「見張り員から煤煙確認との連絡があります。」

「よし。煤煙の方向に向けて全速。低速艦は見える範囲で切り離して構わない。」


 改造病院艦 『操向』

「船がいますね。複数」

 環境からも見える黒い一筋の煙。彼女はそれがよくわかる。『操向』を先頭にした10隻の船団から煤煙の見える距離に同じく10隻の船団がいるのだ。この煤煙と別の同じような煤煙。数こそ違えども複数の船が言う証拠だ。

「とりあえず敵艦隊の可能性大とみなして行動する。敵じゃなかったら胸をなでおろせばいい。信号花火上げ。色は黄色!!本艦以外できるだけ離れて行動せよ!!本艦は煙に近づくぞ!!本艦が囮になっている間…民間船を逃がすぞ。臨検を素直に受け入れるんだ。そして事前の指示通り行動せよ!!」



 清国通商破壊艦隊 旗艦『済遠』

「艦影確認『操向』です。豊島沖で捕獲された『操向』です!!」

 清国の旗艦将兵には見覚えがある船だった

「出港時の報告にはありませんでしたが、塗装・旗を見る限り病院船として運用されている模様ですが、病院船に不要な被曳船を連れています」

「副長それ以上にあの煤煙量1隻ではない。あの船以外に逃走中の船がいる。追うんだ。あの船に対しては砲艦を臨検に残す。」

「砲艦との通信ができない距離…になったら統制が取れませんよ。」

「砲艦2隻1組で旗の中継地を設ける。通信距離は5kmを確保できる。臨検中の病院船を基準に5㎞以上の追撃はしない。」

「しかし花火ですか。これはいい通信方法です。真似しましょう。」

「生きて帰れたらな。」



 改造病院艦 『操向』

「臨検の砲艦2隻を残して追撃に入りました。」

 監視している兵士が叫ぶ

「成功だな。清国艦隊はここに足止めされた。遠くには行けまい。ほかの輸送船は逃げきれる。」

 艦長は兵士に笑いかける。

「では迎えに行くとしようか。」


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