(11)魔王、憧れの町へ
あらすじ***魔王と勇者入れ替わり。魔王(IN勇者)は街へ。
勇者(IN魔王)は聖女を部屋に残し、配下クリスタルと秘密の特訓中。
★魔王(IN勇者)サイド★
おお!これが、夢にまで見た、屋台!人の群れ!喧騒!!
キョロキョロあたりを見回しているところを
剣士アスナに引っ張られる。耳って引っ張られると痛いのだな!
「キョロキョロしないの!スリとかやばい奴に
田舎者だって目をつけられるわよ」
「そんなもの吹き飛ばせばよいだろう。」
「バカねぇ!そんなことしたら目立って余計悪い連中に目をつけられるわよ。
普通の人間は目立たずコソコソしてればいいの!」
なるほどコソコソするのだな。さっきといい今といい
このアスナという女は役に立つな。我の教師として側においてやろう。
「口は汚いですけど、アスナはとてもいい子なんですよ〜。」
とにっこり笑うフワリ。相変わらずストレートに言う。
「まあでもこれほど強い魔力を持つのにこんな状態なら
本当に田舎や山奥からきたのでしょう?」
ずっと隣で腕を組み、やたら胸の間に我の腕を挟むマリーが言う。
広い道幅ではあるが、横並びではない
我とマリーが前、アスナとフワリが少し後ろを歩く。
となると、マリーはやはりリーダーのような役割なのか。
マリーが誘導、アスナが教師、フワリは・・・ツッコミ役という感じか。
なかなかよくできた奴らだ。良いしもべとなろう。いや、人間は友達か?
よくわからないまま歩いて行くと大きな建物に着く。
「ここが冒険者ギルドよ。はじめにあなたの登録をしましょう。
一時的にわたくしたちのパーティに入れてあげるわ。
たまにさっきみたいに危険な時は威圧してちょうだい。
いいかしら?アルデバンさん」
マリーがちょうど良いタイミングで誘ってくれた。
ますます良いしもべ度アップだ。
「いいだろう、つまり友達になるということだな?」
・・・
急に三人でコソコソしだす。我も混ぜろ。
「いいの?なんか頭やっぱおかしいよアイツ」
「でも役にはたちそうですよ〜。」
「彼の魔力なら多少は魔物には役立つわよ、ローゼが参加できない今
最低もう一人は攻撃手がいないとやっぱり厳しいわ」
う〜ん と悩み フワリが答える。
「ダメな時は彼を置いて逃げるというのでどうでしょう〜?」
三人がポンと手を打つ。
我には聞こえていないと思っているようだが
勇者は身体強化で聴力も優れているのだ。
「我にシンガリを任せたいということだな?うけてやろう。」
ギョッとする三人だったが、すぐさまマリーが答える。
「そうです、あなたの魔力を見込んでぜひわたくしたちを助けてほしいの。」
「よかろう、そのパーティとやらに入ってやる。」
これでたぶん友達ということだ。意外と簡単なものだな。
受付でステータスのチェックが入る。
すぐさま受付嬢がギルド長を呼びに走り出す。
「こ・・・このステータスは一体・・・」
なにやら普通とはちがうらしい。これはどうコソコソしたらよかったのだろう。
人間というのはやはり難しいな。




