表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
11/12

猪豚討伐

猪豚型の魔物について、管理官に尋ねたところ、

グンダラー樹海という地域に、

猪豚型の魔物が多数出没するという情報を得た。


グンダラー樹海へは、ここから馬で一週間ほどかかる。

それに多数出没するなんて、危険すぎる。


そこで、

俺らはグンダラー樹海から、はみ出た個体を狙う事にした。

樹海の周辺から徐々に数を削っていく作戦だ。


我ながら、

堅実な作戦だ。


俺は皆の前で作戦を発表した。

「今日はこの街の一番近くの森を探索し、猪豚型の魔物を狩る」


「なるほど。街に魔物がこないようにするという作戦だな」

ビアは頷く。


あぁそうか。

そういう風にも見えるのか?


「さすが親分。お優しいですね」

ノンアル達は感心している。


ヤバイ、

また優しいと勘違いされている。


「お前ら、勘違いするな。優しいからじゃない。あまり遠いところだと、調理ができねぇし、肉を売りにいくのが面倒だろう」

俺は間違いを訂正する。


「捌くときの事まで考えてくださるなんて、親分は子分思いなのですね。俺がんばります」

テキーラは目が潤んでいる。


……なんか腑に落ちないが、

まぁ良いだろう。


「じゃあ行くぞ」

俺らは台車をひいて、森に向かう。


街から近いとはいえ、

森は重苦しい雰囲気だった。


台車を入口周辺で停める。


「では、あっしらは偵察に向かいます」

ノンアルとテキーラは言った。


「頼む」

俺の一言で、

二人は森に入っていった。


ドブロクとビアは周囲を警戒している。


俺は二人が警戒しているので、

ひたすらボーっとしていた。


三十分ほど経ち、

二人は戻ってきた。


「ここから五分ほどの場所に、猪豚型の魔物を一体見つけやした。

ですが気付かれてしまったので、投石して倒しやした」

とテキーラは言った。


「あっしのほうは、十体ほどの群れを発見しやした。テキーラの場所と離れているので、テキーラの方から回収したほうがいいかと思いやす」

とノンアル。


「群れに見つかると厄介だな」

俺は呟く。


「じゃあ、親分たちは回収に向かってください。俺は群れを偵察して、動きがあれば、知らせるか、攪乱させます」

ノンアルは俺をまっすぐ見る。


「よしわかった。行こう」

俺は回収に向かう。


猪豚型の魔物は倒れてはいたが、

完全に死んではなかった。


俺はナイフを手に、魔物の首筋にスーッとナイフを入れる。

血がぶしゅーっと飛び出す……。

いや飛び出さない。

俺の思考は止まる。


しまった。切れないナイフだ。

皆は心配そうに俺を見つめる。


どう誤魔化そう。


「ボロ布かなにかはあるか?」

俺は尋ねる。


「これをどうぞ」

ドブロクはボロい布を手渡す。


「血しぶきを防ぐために使いたいが良いか?」

俺は尋ねる。


「どうぞ。道具の手入れの布ですので、もうそろそろ替えようと思っていたところです」

とドブロク。


俺は布で魔物の首筋を押さえ、切れるほうの短剣でスーッと入れる。

血は飛ぶことなく、すーっと消えるように、布をつたい地面に吸い込まれていく。


「親分さすがですね。それなら穢れない」

皆感心している。


「血抜きはここで済ませたほうがいいか?」

俺は尋ねる。


テキーラは風向きを見る。

「血抜きは早いほうが良いですね。

臭くなりやすから。

幸い群れの風下ですんで、ここでやっても構わないかと。

俺がやりやすんで、周りを警戒しておいてください」


俺たちは頷き、

テキーラは作業にかかった。


十分ほどで、血抜きは終わり、

俺たちは台車に向かった。


台車に積み終わったころ、

ノンアルは戻ってきた。

「戻りやした」


「ありがとな」

俺は短く答える。


「群れのほうは気付いてはいなさそうでしたね」


「そうか。お陰で安心して作業ができた。また頼むぞ」


「へい」


「じゃあ、皆お疲れさん。帰って肉を食らうぞ」

俺が言うと、

皆頷いた。


これがヤマノウエ団の初陣だった。


実質テキーラが活躍しただけに思えたが、

別にそれでも良い。

しかし、

俺は少し困った。

鋲の件だ。

評価基準がなかなか難しい。

今回一番活躍したのは、

多分テキーラだ。

狩りもしたし、血抜きもした。


しかし、

ノンアルも偵察にいったし、

ドブロクもビアも護衛をしたし、

荷物も運んだ。


評価基準が難しい。


しっかりと決めないと、

いずれ反発が来る。


俺は、

想定もしていなかった悩みに直面したような気がした。


街に戻ると、

あの屋台の兄さんとばったり会った。


「これ狩られたんですか?」


「あぁそうだ。今から捌こうと思ってな」


「食いきれます?」


「うちから仕入れるか?」


「はい。喜んで」


「じゃあ、ついてこい」


屋台の兄さんはついてくることになった。


屋台の兄さんは少し緊張しているようだ。

「あの、これは何の集まりで?」


「俺たちは勇者団だ。当面この猪豚型の魔物を中心に討伐する」


「あの。もし良かったら……」

兄さんは愛想笑いをしている。


「あぁ、良い取引になると良いな」


「はい。できる限り、高く買い取らせて頂きます」


「兄さん。お前あれか。安く仕入れる方法とか知ってるのか?」


「もちろん。知ってますよ」


「酒はどうだ?」


「酒なら市販の二割……、いや三割引きで仕入れられますよ」


「じゃあ、代金の一部を酒の現物で取引するのはどうだ?」


「あぁ良いですね。

それなら、うちも利益を出しやすいし、団のほうにも利益がある」


「じゃあ、そういうことでやろうか?」


「はい。わかりました」


そんなこんなで、

あっさりと取引は成立した。


俺らは、

アジトに戻り解体を始める。

俺はふとあることに気が付く。


「この皮はどうする?」


「俺には皮の加工はできません」

テキーラは作業をしながら答える。


「普通はどうするんだ?」


「塩漬けにして、革職人に売ることが多いですね」


「塩漬け?たしか塩って高くなかったか?」


「はい。高いです」


「この街に革職人はいないのか?」


「いますよ。知り合いにいます。紹介しましょうか」

兄さんが言った。


「あぁ頼む。塩漬けしてなくても、買い取ってくれるかなぁ?」


「定期的に入手できる取引先は貴重なんで、買い取ってくれると思いますが。じゃあ俺、聞いてきます」

と兄さんはアジトを出て行った。


十分ほどで、兄さんは一人のオッサンを連れてきた。


解体現場を見ながら、

「そうだな。一頭当たり5Gでどうだ」

そう言った。


「わかった。じゃあ頼む。兄さんありがとうな」

取引は成立した。


それから、

俺らは今日と明日の朝で食べきれる分を確保し、

あとは屋台の兄さんに全部売った。


そして、

金と酒を手に入れた。


俺たちは焼肉を始める。

多量の肉を前に皆のテンションは異常に高かった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ