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6. 新米西の森の魔女と薬屋 1

六話目です。よろしくお願いします。

私は西の森の魔女ロッテ。

と、言っても半年前に師匠から名前を継いだばかりの新米魔女だ。


母さまが乳飲み子だった私を連れて、師匠の所に来たのが十六年前。私に魔力があったからだ。


下級貴族だった母さまは、私が高位貴族や王家に利用されない為に、魔女にする事を選んだ。


私の本来の髪は銀色。瞳は紫だ。この色は目立つ。師匠から最初に教えられた魔法は姿変えの魔法だった。教わった時は分からなかったが、今なら私を守る為の魔法だと分かる。


今の私は茶色の髪に明るい茶色の瞳。どこにでもいる色合いだ。


魔女の修行をしながら、母さまと師匠と生活するのは楽しかった。でも、母さまは私が十ニ歳の時に病気になってしまった。師匠が手を尽くしてくれたが、甲斐も無く亡くなってしまった。


最後の時に、母さまから私が生まれた経緯を聞いた。母さまを苦しめたバーデン公爵にいつか絶対に復讐してやろうと思っている。それからより一層修行を頑張ってきた。


師匠と修行に明け暮れる日々。


それが半年前に突然、師匠は『自分の役目は果たした。独り立ちの時だね』と言った。


『お前には魔女として必要な事は全部教えたつもりだ。お前は自慢の弟子だよ。だからワシは引退する。引退したら世界を見たかったんだ』と言って使い魔と一緒に旅立ってしまった。


大丈夫だと言ってくれた師匠の言葉を信じて頑張ろう。




師匠が旅に出て半年が過ぎた。もう、師匠が居ない生活にも慣れた。


特別な依頼がなければ、村の薬屋に納める薬を作る事が主な仕事だ。


「さて、今日の納品は回復薬十本。熱冷まし五本。腹痛の薬三本。頭痛薬五本だったかな?」


注文書の本数を確認して鞄に詰める。


この世界には薬師もいるが、薬師の薬より魔女の薬は魔力を込めて作っている分よく効く。だから、ちょっぴりお高い。



「あ!湿布と手荒れのクリームを入れなきゃ。追加で注文貰ってた分を忘れる所だった」


ばたばたしていたら、村にあるエレアの薬屋に届けに行く時間になってしまった。


村の薬屋は幼馴染のエレアの店だ。エレアはしっかり者で、七歳の時から店番を任されている。エレアの両親はエレアに薬屋を任せて、父親はギルド長を。母親は村で食堂をやっている。



西の森を出て、村に向かって走っていると鎧を付けた王都の騎士と思しき一団とすれ違う。


「何かあったのかな?」


気にはなるが関わると大抵碌な事にならないので、急いで騎士団の横を走り抜ける。


しばらく走っていると村が見えて来た。村の真ん中にエレアの店はある。勢い良く扉を開けるとエレアが声を掛けてくる。


「ロッテ、今日は遅かったじゃない。忘れてるのかと思ったわ」

「ごめんごめん。入れ忘れが無いか確認してたら来るのが遅くなっちゃったの」


鞄から薬を出して、エレアの前に並べていく。


「ま、納品さえちゃんとしてくれたら多少の遅刻は許してあげるわ」


エレアは薬の数を確認して棚に片付ける。


「うん、注文通りね。はいこれ代金と次の発注書」

「ありがと」

 

お金と発注書を受け取り鞄に仕舞う。


「ねえエレア、西の森の近くで騎士団とすれ違ったんだけど、村で何かあったの?」

「あー、あれね。西の森に大型の魔獣が出たとかで討伐に来たらしいわ。ロッテは大丈夫なの?森の中に住んでるんでしょ?」


魔獣は瘴気から発生する獣の様な物。理性を失っているので人や家畜を襲う。


「え!?そうなの?全然知らなかったよ。森は静かだし?何かあったら動物達が知らせてくれるもん」


「そう?なら良いいけど…。まあ、ロッテなら大丈夫だと思うけど気を付けてね」

「うん、ありがと。エレアこそ気を付けてね」


「あたしは大丈夫!ウチとしちゃあ、騎士団が来て沢山薬買っていってくれたから有難いんだけどね」


「エレア、悪そうな顔してるぅ。いくら上乗せしたのよう」

「少しだけ…ねっ」


エレアがペロッと舌を出す。


「もう!エレアったら悪徳商人みたいよ」

「あははは。ねえ、丁度お昼だし、一緒にご飯食べていかない?今日はロッテの好きなラザニアよ」

「食べる食べる。エレアのご飯は美味しいんだもん」



店の扉の前に『休憩中』のプレートを掛けた。エレアに付いて奥の部屋に入っていく。エレアの料理は本当に美味しいのだ。楽しくお喋りしながらラザニアをご馳走になった。


「ご馳走さまでした。美味しかったよう。エレア、私のお嫁さんにならない?」

「お粗末さまでした。あはは、ロッテなら良いよ。いつでもお嫁に貰って」


二人でいつもの冗談を言い合う。こんな時間がとても楽しい。エレアがお皿を片付けてくれる。


食事を終え、店に戻って扉のプレートを『営業中』に戻す。


「じゃあ、そろそろ帰るわ。次の納品は四日後でいい?」

「うん。それでお願い」


「もし急な薬の注文があれば連絡の小鳥を飛ばしてね」


連絡の小鳥は師匠が作った魔道具だ。急ぎの用がある時の連絡手段に使っている。 


「分かったわ。じゃあロッテ気を付けて帰ってね」

「うん、またね」


エレアにひらひらと手を振る。



扉に向かって歩いていくと扉が壊れそうな勢いで開けられ、騎士が飛び込んで来た。




最後まで読んで頂きありがとうございます。

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