表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
34/35

34. 魔女と騎士と公爵夫人

三十四話目です。よろしくお願いします。

公爵夫人に日当たりの良いサロンに案内された。席に着くと侍女さんがお茶を入れてくれる。


「改めて、ソフィア・ボーデンですわ。ソフィアと呼んで下さいましね」

「ソフィア様。私はシャルロッテ・ロンメルと申します。ロッテとお呼び下さい」


ソフィア様は居住いを正し頭を下げた。


「ロッテ様、夫がご迷惑を掛けましたわ」

「頭を上げて下さいソフィア様。助けて頂いたのは私です」


「あら、ロッテ様は一人で対処なさってたみたいですけど?」

「母さまの恨みを晴らしただけですよ」


二人でくすくす笑いあう。


「やはり貴女はマルガレーテの娘だったのね。どことなく雰囲気が似ていますもの」

「あの時は母さまを助けて頂きありがとうございました。母さまがいつも感謝していました」


「マルガレーテは元気なの?」

「母さまは亡くなりました」

「そう…もう一度会えたら、夫のした事を謝りたかったのだけど…」


ソフィア様は思い出した様に尋ねてくる。


「ねえロッテ様、夫に何の魔法を掛けたんですの?」

「ああ…公爵はこの先ずっと、女性には役立たずになる魔法です」


目をまん丸にしたソフィア様はけらけらと笑い出した。


「まあ可笑しいこと。ざまぁみろだわ」


暫く笑っていたけれど、ソフィア様は笑うのを止めて悔しそうに呟いた。


「私が気付いた時には何人もの娘が犠牲になってましたわ。下位貴族や平民の娘には金銭を渡して口を封じていた様です」

「ソフィア様…」


「陛下にも夫の所行を訴えましたのよ。陛下から何度も忠告やお叱りを受けても、夫は何も変わらなかった。勿論、私も何度も夫に止めるよう言いましたわ。でも聞き入れて貰えなくて…辛かったわ」


「でも、もう大丈夫ですよ。公爵は女性に不埒な事は出来ないんですから」

「そうね。ロッテ様のお陰ね」


ソフィア様が私の手を取って言う。


「ロッテ様、貴女もこの公爵家の娘なのだから、ここに一緒に住まない?公爵家は私の一人息子が継ぐけれど、貴女は義妹なんだもの。きっと良い嫁ぎ先を見つけてくれるわ」


ソフィア様の言葉を聞いたユーリが慌てて話に入って来る。さっきまで空気だったのに。


「ソフィア様、お待ち下さい。ロッテは私の婚約者です」


「ロッテ様、そうなの?」

「まあ…そう言うことです。ですから、ありがたいお話ですが、私は公爵家の人間にはなりません」


「でも殿下に嫁がれるなら公爵令嬢の身分は邪魔にはならないわ」

「私は魔女ですから。身分は必要無いと陛下から言質を取ってますので大丈夫です」

「そうなの?残念だわ。折角娘が出来ると思ったのに…」


ソフィア様は本心からがっかりされた様だ。申し訳ないが今更、貴族令嬢にはなりたくない。ユーリとだって婚約はしたけど、結婚するかどうかは…分からないんだから。


私は西の森の魔女だもんね。


「それはそうとユーリ、よくここが分かったわね?」

「ああ、ロッテには王家の影を付けてあるからね」


なんでしょう、また聞いてないんですけど。


「ユーリ、また私聞いてないんですけど?」

「そりゃあ、ロッテに言ったら魔法で逃げちゃうだろ?だからさ。それに王都にいる間だけだから」


当たってはいるけど反論はする。


「見張られているみたいで、すんごく嫌。影の人を外してくれないと、ず〜っとユーリの事は殿下呼びしますけど良いですか?」


「だって、ロッテが心配じゃないか。今日だって勝手に公爵に付いて行ったりさあ。薬が効いてたら何されてたか分からないんだよ?」


「でも、大丈夫だったじゃない」

「今日はね。でも次は?大丈夫じゃないかもしれない」


ユーリの気持ちも分からないではない。心配してくれるのも嬉しい、だけど嫌なものは嫌なのだ。引かないよ私。


「私は魔女だもの。自分の身は自分で守れるわ!」


二人の会話を黙って聞いていたソフィア様がぼそっと言う。


「殿下の負けですわよ。これ以上しつこくしたら嫌われちゃいますよ。それにず〜っと殿下呼び、良いんですか?」


肩を落としたユーリが呟く。渋々と言った感じで。


「…分かった、影は外す。だから無茶だけはしないで本当に。心配なんだ」


「しない様に心掛けるわ」


ソフィア様がパンッと手を叩く。


「さあさ、仲直りなさいな。痴話喧嘩は見ていて面白いけれど、本当に別れちゃうのは嫌だから。ね?」


ソフィア様のお陰で、ニ人の間に流れていた空気が霧散する。


「ユーリ、心配してくれるのは嬉しいけど信頼もして?本当に自分で対処出来ない時はちゃんと頼るから」

「分かった。信頼するから頼ってくれ。約束だ」

「うん」


恥ずかしいけどユーリと指切りをする。


「ロッテ様、一度私の息子、貴女の義兄にも会ってやって下さいな。夫に似ず真面目で婚約者に一途な子なんですのよ」


夫に似ずの所で、妙に力が入っているソフィア様が可笑しくて笑ってしまう。


「ええ是非。私もお義兄様に会ってみたいわ」

「約束よ。また絶対来てね」

「指切りしますか?」

「もちろんですわ!」


ソフィア様とも指切りをする。いつでも来てと言われたので、今度の日の曜日は義兄も居るらしいので遊びに来る事にした。次に来る時は私自慢の回復薬を持参しよう。



和やかにお茶会は終わり、ソフィア様に見送られてユーリと帰路に着く。帰るのはもちろん西の森の家だ。




最後まで読んで頂きありがとうございます。


次話で完結となります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ