17. 魔女と王都と花祭り 2
。よろしくお願いします。
部屋に入ると花祭りの衣装と大量の化粧品があった。
「ロッテ様、まずお風呂に入りましょうね」
「え?お風呂?」
「さあさ、お手伝いいたしますよ」
「いえ、入るなら一人で入れます!」
「そんな事は仰らずに。ユーリ様より完璧に仕上げて欲しいと申し付けられておりますので」
サラサさんが迫ってくる。
「やだっ…!」
今まで他人にお風呂を手伝われた事の無い人間がいきなり、さあどうぞと言われて入れるもんか。
逃げようとすると別の侍女さんが目の前にいて、私の逃亡を阻止する。
「フィオナ、ロッテ様を捕まえて!」
「はい!ロッテ様、諦めて大人しく捕まって下さい」
挟まれた。魔法で攻撃する訳にもいかなし、転移魔法で逃げるか?でも、サラサさん達は仕事を全うしようとしてるだけ……嫌だけど観念するしかないか…。
ユーリ、覚えてなさいよ!
洗われてしまった…。洗った後に香油を擦り込まれて肌がつやつや。マッサージもされた。ちょっと気持ちよかった…。
花祭りの衣装に着替えた後、髪を結われ化粧をされて終わった時には、ぐったりと疲れてしまった。
もう帰っても良いかな…。
支度が終わって、ユーリが待っているという玄関ホールに下りていく。
「ユーリ様、お待たせしました」
「ああ、ありがとうサラサ」
ユーリが私の側に来る。
「ロッテ、綺麗だ。見違えた」
「あ、ありがと。ユーリもカッコいいよ」
花祭りの衣装は凄く可愛い。薄い緑色の生地にレースがあしらわれ、ふわりとしたスカートに花が散りばめられている。頭には小さな帽子が乗せられていたり。
初めてドロワーズなんて履かされてしまったわ…。
ユーリも花祭りの男性の衣装だろうか。白いシャツに薄い緑色のベスト。黒いパンツスタイルだ。
ユーリが花を二本持っていて私の帽子に一本差す。もう一本は自分のベストのポケットに差した。
「これてよしっと。じゃあ行こうか」
ユーリが手を差し出して来る。どうすれば良いのか悩んでいたらサラサさんが教えてくれる。
「ロッテ様、ユーリ様の手に手を乗せてくださいませ」
ああ、そう言う…。
恥ずかしかったけどユーリの手に手を乗せる。
ダルマンさんが扉を開けてくれた。
「行ってらっしゃいませ」
手を繋いだま外に出る。
街は花祭りの真っ最中で、周りも男女のペアでお揃いの色の衣装を着ている。女性の帽子と男性のベストのポケットの花は、同じ物を差しているのは決まりなんだろうか?
道の両脇には色んな露店が出ている。可愛い小物の店やアクセサリーの店が沢山あって、食べ物の店も色々ある様だ。いい匂いがしている。
「ロッテ、あの店に行こう」
ユーリに促され一件の露店に行く。その店は腕輪を売っていて、色んな腕輪がある中で細かい綺麗な刻印の腕輪が目に付いた。
「気に入った物あった?」
ユーリに問われて、綺麗な刻印の腕輪を指差す。
「これ。綺麗だなって」
「ああ、綺麗だな。ロッテに似合いそうだ。よし店主、これを貰おう」
「ユーリ、買うなら自分で買うよ」
「いいから、ここは俺に買わせて。昨日のお詫びって事で。ね?」
そんな風に言われたら断れない…。
店主は、さっと腕輪を包んでユーリに渡し、代金を受け取っていた。
「ありがと…」
「どう致しまして。腕輪は後で渡すね」
腕輪はユーリのベストの内ポケットに仕舞われた。
「次はどこに行くの?」
「ちょっとお腹空かない?何か食べようよ」
街の中央に噴水があり、その周りにはベンチが置かれている。空いているベンチを見つけユーリは私だけを座らせる。
「ここで待ってて。美味しい肉の串焼きの店が近くにあるんだ。買ってくるよ」
「なら私も一緒に行くよ」
「いいよ、待ってて。このベンチを取って置いて欲しいからさ」
「まあ、そう言う事なら。買いに行くのはお願いしていい?」
「ああ、行ってくる」
ユーリの姿が人波に消える。
ベンチに座り、通り過ぎる人を見ているとある事に気付く。女の人だけで居たり、男の人だけで居たり、必ずしも男女ペアと言う訳ではなさそうだ。
女の子だけの集まりの帽子の花は二本。男の子だけの集まりのベストのポケットには花は無い。
不思議に思っていると横から声を掛けられた。声のした方に向くと二人連れの男がいた。ポケットに花は無い。
「綺麗なお姉さん一人?俺達と祭り回らない?」
「私、待ってる人がいますから」
「そんな奴、放って置いて俺達と遊ぼうよ。どうせ待ち惚け食わされてるんだろ?」
ニヤニヤ笑いながら、男の一人が私の腕を取って立ち上がらせようとする。
どうする?魔法で跳ね除けるのは簡単だ。でも、ここで問題を起こせばユーリに迷惑が掛かる。
「離して。帽子の花一本なの。分かるでしょ?」
「そんな事言わずにさあ。俺達、優しいよ」
優しい奴が無理矢理立ち上がらせようとする訳無いじゃない。私の我慢も限界に近づいた時、前方からユーリが走って来るのが見えた。
「ユーリ!」
「お前達、彼女に何をした」
ユーリが二人の男達の前に立ち睨みつける。私の腕を掴んでいた男の手が緩んだ隙に抜け出し、ユーリの背に隠れる。
ユーリから凄い怒気を感じる。ちょっと怖いかも…。折角の花祭りなのに少し残念な気がした。
最後まで読んで頂きありがとうございます。




