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14. 魔女と騎士と日常 2

十四話目です。よろしくお願いします。

朝、いつもの様にユーリがやって来る。


「おはようロッテ。今日はアップルパイを持ってきたんだ」

「いつもありがとう」


アップルパイを受け取る。


ユーリと二人で食べるには一枚は多すぎるから、半分に切って後でエレアに持って行ってあげよう。丁度、今日はエレアの店に納品の日だから。


「ユーリ、今日はエレアの店に納品に行く日なんだけど貴方はどうする?」


「だったら一緒に行くよ。昨日の騎士団の注文も頼みたいし」


「うん。じゃあ村まで行きましょ。歩きだからね。準備するからちょっと待ってね」


キッチンへ行きユーリのくれたアップルパイを半分に切ってお皿に乗せて包む。これはエレアに。


それから注文書通りに薬を鞄に入れていく。それと毛生え薬を入れる。エレアに売り込みをするのだ。




エレアの店に着いて私が扉を開けて中に入る。私に続いてユーリも店に入って来た。


「おはよう、エレア」 


「ロッテ、いらっしゃ…」


私の後にいるユーリを見たエレアが固まってしまった。


「エレア?」


固まっていたのが解けたエレアに腕を掴まれて、耳の側で囁かれる。


(ロッテ、あれ誰?貴女と、どう言う関係なの?)

(前に話した呪われた騎士の人。騎士団から薬の注文があるって言うから連れて来たの)



何となく納得した様な、してない様な微妙な表情のまま、エレアがユーリに話しかける。


「今、ロッテから聞きました。騎士団の方ですね。ご注文を頂けるとか?」

「ああ、これが依頼書だ」


ユーリが羊皮紙をエレアに渡す。


「回復薬五十本、頭痛薬、風邪薬、腹痛の薬を各五本、一週間に一度の納品ですね」


内容を確認したエレアが私に聞いてくる。


「ロッテこの注文、数多いけど大丈夫?無理なら騎士団からの注文でも断ったり、数を減らしたり交渉するよ?」


「うん、大丈夫だよ。元々、薬作りは私が生活するのに必要なお金を貰えれば良かったから、少ししか作ってなかったんだもん。だからまだまだ作れるよ」


「そっか〜、でも無理の無い範囲でやってね」

「うん、大丈夫だよ」


「じゃあ、いつからの納品にする?馬車とか手配した方がいいのかな?」


納品は多分、ユーリが取りに来てくれるだろうから。


「馬車は要らないと思う。多分だけど騎士団の人が取りに来てくれるから。ね、ユーリ」

「ああ、団の者が引き取りに来る」


「エレア、薬は三日位で用意出来ると思うから、騎士団への引き渡しは五日後にしておいて」


エレアは私とユーリの顔を交互に見てニマっと笑う。


「分かりました。騎士団の方が取りに来てくれるのですね?初回の引き渡しは五日後でよろしいですか?二回目以降は一週間毎に引き取りに来て頂くと言う事で。ご了承頂けますか?ユーリ様?」


「ああ了解した。よろしく頼む」


「はい、ありがとうございます。それでは後程、契約書をお渡し致します」


二人のやり取りを横で見ていたら、エレアに手招きされたので近寄る。


「ロッテ、今日の納品分はある?」

「あ、ごめんごめん」


エレアの前に薬を置く。


「うん、注文通りね。次の注文もよろしくね」


エレアに薬を渡し代金を貰い、注文書も受け取って鞄に入れる。


「それから、エレアこれ。新商品として店に置いてくれない?」

「何の薬?」


五本の薬瓶をエレアに渡す。


「毛生え薬。需要あるんじゃない?」

「あるある!前からちょこちょこ問い合わせあったのよ!」


「ロッテ、これの原価は?売値決めなきゃ。絶対売れるわ!さっきの注文書にこれ十本追加しといて!」

「原価は…このくらい。売値はエレアに任せるわ。注文十本追加ね」


エレアにだけ分かるように手で数字を作る。


「了解。また新商品あったらよろしくね」

「うん。あ、忘れる所だった。これ、アップルパイなの。ユーリからの差し入れよ。良かったら食べて」


エレアに包みを渡す。


「ありがとう。ぜひ頂くわ」


エレアは包みを受け取ると同時に私の袖を引く。


(今度、彼の事ちゃんと話してよね?ロッテ)

(うん、今度ね…)


笑顔のエレアが怖い…。 


「じ、じゃあ今日はもう帰るわね」


エレアから逃げるように、ユーリに向き直り声を掛ける。


「ユーリ行こう。帰ろう」


エレアに振り返り手を振る。


「それじゃまたね、エレア」

「またね、ロッテ」


ユーリと一緒にそそくさと店を出る。背中に笑顔のエレアの視線が突き刺さる。


多分、恋愛関係の話を期待しているんだろうけど、エレアが喜ぶ様な話はないんだけどなあ。


次の納品日が怖い…。


「ロッテどうした?変な顔して」

「ユーリ、変な顔は無いんじゃない?」

「それは失礼。薬屋の彼女に何か言われた?」


「言われた訳じゃないけど、エレアに誤解されちゃったみたいで…」

「良いじゃない。俺としては誤解が本物になればいいのにと思ってる」


「…冗談はやめてよ」

「冗談じゃないよ。俺はいつだって本気」


笑ってるユーリの顔を見ても、嘘か本当か読めない。


「この話はおしまい!仕事も沢山貰ったし早く家に帰りたいわ。森まで競争よ!」


誤魔化すように走り出す。


「ロッテ、待って!」


ユーリもロッテを追って走り出す。


今のままが心地よくて、関係を壊したくないから答えを先延ばしにしているのは私の我儘だ。




最後まで読んで頂きありがとうございます。

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