25話 お茶会の終わり
時刻は0時をまわった頃。
台風はまだ収まるところを知らないが、暗闇のお茶会はそろそろお開きにするべき時間である。
「寝る前にホラー大会の優勝者を決めるか」
「おーっ!」
「賞品とかあるの。」
「あるぞー、まるっこどうぶつ一週間分でどうだ」
一瞬、あかりの目からふっと光が消えたことに誰も気づかなかった。
それ以上にヌーの目が輝いていたからだ。
「どうやって決める。」
「せーので指差すぞ」
小森が間髪いれずに「せーのっ」と言うと、各々があわてて指をさした。
結果は──
小森 0票
あかり 1票
ヌー 2票
という内訳になった。
「はいヌーの優勝……一応、理由も聞いていこうか。あかり君からどうぞ」
少し不満げに先を促す小森。
「はいっ! ヌーさんには好きなものをたくさん食べてほしかったので」
「うむ。まあ俺も同じだな。あかり君のカナブンもそこそこ面白かったが……恐怖度で言えばヌーに軍配があがった」
「小森のはなんか偉そうだからダメ。あかりのカナブンはボクも襲撃受けたことあるからよくわかった。」
小森から優勝者ヌーへ大きめのダンボールが送られる。
内容物は『まるっこどうぶつ』一週間分。うっかり一日で食べれば病院送りになりかねない量だ。
「いちおう形としては渡すが……お前の体調のためにも、食べる量はこちらで制限させてもらうぞ」
「えー。」
「ツナ缶だってなあ、お前、食べすぎるとネコには毒なんだぞ油ぎっとりで。決して気まぐれであげてたわけじゃないんだ」
「ぬぅ……。そうだったのか。」
虚実半分といったところである。
自分の生活さえズボラだった小森が野良猫の生活管理など出来るはずがなかった。
しかし今の小森は活力に満ちている。二人と出会ったことで、自分がどんどん変化している事実に、今でも不思議に思っていた。
「よっし、じゃあ寝るべ。この嵐じゃ明日の配送も絶望だろうから、がっつり寝坊していいからな。復旧前に起きたって時間の無駄だし」
「はーいっ、おやすみなさい!」
「うぬ。じゃあな。」
二人が電灯をもって部屋に戻るのを見送ってから、小森はローソクの火を吹き消した。
「俺一人だったら今ごろイライラしてたまらなかったんだろうな」
暗くなった部屋でぽつりとつぶやく。
台風や停電でどうしようもない状況にも関わらず、小森は満たされていた。
余韻にひたるように、暗闇の中でかすかな雨音を聞いていた。
気づけば落雷の激しい音はなくなっている。
明日はきっと、快晴になるに違いない。
小森はゆったりとした足取りで自室に戻っていった。




